116 今後の訓練プランは…?
「お、やってるみたいだな」
水の精霊ルサルカとの契約を終わらせた俺達は、転移でガイアブルクに戻ってきた。
時間的には丁度夕方辺りか。
丁度、俺達が転移してきた地点からは、やや遠くから後輩達の訓練の様子が見える。
双方とも、疲労が溜まりながらも一生懸命頑張ってるようだった。
特にひなたに叩き込まれた後輩達は、息も絶え絶えな状態にまでなってるみたいだ。
「一方、魔法優先組はクレアとアイリスちゃんのおかげで物覚えがよくなってるみたいだね」
魔法優先組として魔法を教えてもらっている後輩達はアイリスとクレアによって教えてもらっているようだ。
見たところ、エミリーの言うように二人の教えがいいのか、物覚えがよくなっている雰囲気だ。
ひなたのほうも夕方になっている事に気付いたのか、ここで訓練を打ち切る旨を伝えたようだ。
まぁ、無理して訓練しても意味がないからな。
程よい時間に休憩を挟みつつしたほうがいいのかも知れないな。
「俺達もそろそろ合流しようか」
「そうだね」
俺達も頃合いを見て、ひなた達と合流することにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お疲れ、みんな」
「あ、暁斗君たち、お帰り」
「お兄ちゃん達もお疲れ様ー」
「ただいま、ひなたちゃん、アイリスちゃんにクレアさん」
ひなた達と合流した俺達は、早速後輩の様子を近くで見た。
「そうとう疲れてるな」
「まぁね、基礎体力を午前中にやって、昼食を挟んで午後は模擬戦だったり、魔法の勉強をしていたよ」
ひなたが、訓練の内容を簡単に教えてくれた。
やはり午前は基礎体力中心だった。
そして、午後には魔法組と近接組に分かれて、近接組はひなたと模擬戦をしたりしていたそうだ。
なお、1対複数だったようだが、流石にまだひなたから一発を入れた後輩はいない。
まぁ、訓練を始めたばっかりだし、これは仕方がない。
「魔法組は、すごいね。 物覚えがいい子がいっぱいいたよ。 魔法の使い方も大半がマスターをしていたよ」
魔法組は、アイリスが報告をしてくれたが、やはり物覚えのいい後輩達が多かったそうだ。
大半が魔法の使い方をマスターをしたらしく、後は応用を教えていくのだそうだ。
こっちは楽しみだ。
「ところで、クリスタは?」
「クリスタちゃんは、疲労が溜まってる後輩達を癒しているよ」
疲労が蓄積した後輩は、クリスタに癒されている。
こうして見るとまるで母親みたいな感じだなぁ。
「そういえば、そっちは? 精霊様と契約できおたの?」
アイリスが俺達の事を聞いてきた。
こっちもそろそろ報告しようかと思っていたから丁度いい。
「結論から言えば、契約は出来た。 以後、召喚で分身体を召喚可能なのと、精霊交信で本体とやり取りが可能になった」
「精霊様と交信ができるようになったんだ。 すごいね」
「ただ、今は修復したが水の精霊の結界は、ガルタイトとの戦争の影響と悪魔族の過激派が起こした『スタンピード』の影響もあったが、直接の影響はあの来栖と如月が起こしたらしい」
「あいつらが!? 本当なの!?」
「あ、あぁ、本当だから、顔が近いって!!」
俺が来栖と如月の名前を挙げるとひなたが怒りの表情になった。
「なんで、その二人が精霊の結界を壊したの?」
「どうも精霊の力を無理やり取ろうとしたらしい。 拒否したら意識を失われて精霊の力を奪われたとのことだ」
「あいつら…。 そこまで自分本位で…! 倒しておいてよかったよ」
アイリスに聞かれた俺は、ルサルカが言ってたことを説明した。
それを聞いたひなたが、より一層の怒りの表情をしていたが、ひなたの言う通り、ヘキサ公国の時に倒しておいてよかったと思う。
何せ、ゼイドラムの管理する施設の『ゼイドニウム採掘場』の不法侵入から始まり、悪魔族穏健派を食べ、さらに精霊の結界を破壊しただけでなく力を奪い、ヘキサ公国を壊滅させて、エミリーを恥ずかしい目に遭わせたのだから。
放置しておいたら、さらにとんでもない事になっていただろう。
そんな事を思い出しつつ、俺は今後のプランを口にした。
「とにかく、胡桃にとっても『サモナー』としての実力も上がったので他の訓練もやっていこうと思う。 『ガンナー』とか」
「『ガンナー』かぁ。 そういえば、私の家の地下に射撃訓練セットが届いてたんだったね」
「そうだ。 俺もそろそろ『ガンナー』の練度も上げていかないといけないしな」
「そういえば、暁斗君って基本近接ばっかりだったね。 魔法も使ってるけど」
今後は、俺も胡桃と同様に『ガンナー』の練度を上げていくとアイリスに話をした所で、由奈も納得したようだった。
「じゃあ、明日からは私と由奈ちゃんで後輩の近接訓練をこなしていくよ」
「私達魔法組は、エミリーお姉ちゃんを加えて応用なども教えていくね」
「それで頼むよ。 俺と胡桃も、射撃訓練の合間に様子を見に行くから」
「分かったよ。 そっちも『ガンナー』の訓練、頑張ってね」
「ああ、何としても精度を高めてやるさ。 まずは今日の疲れを癒さないとな」
こうして、精霊との契約を成功させた俺達は、今後のプランを話し合いを終えて自宅へ戻ってお休みをすることにした。
そこからは指名依頼もなかったので、二週間は訓練に費やすことができ、後輩達の強化もさることながら、俺や胡桃も『ガンナー』の練度を高めることに成功した。
後は実戦で、極める事だけだ。
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