111 水の精霊を求めてその1
歓迎会から三日。
俺達は後輩達に色々と伝えた後、ひなた達に後輩の事を暫く任せてエミリーを案内人として、水の精霊がいるという北の湖に向かう事にした。
彼女が言うにはヘキサ公国首都跡から北上した森を通らないと北の湖に着けないという。
なので、まずかつて行ったヘキサ公国首都跡には転移で移動し、そこから北へ向かって歩いていく事にした。
当然ながら、簡易コテージが入ったカプセルも複数購入した。
俺以外は女性なのでトイレ対策も兼ねており、簡易コテージは森の中でも使えるのでありがたい。
「それじゃ、行こうか。 エミリー、案内頼むぞ」
「オッケー! 北の湖はよく行っていた場所だしね」
エミリーは気合を入れて案内をしてくれるそうだ。
もう少し力を抜いてもいいのだが…。
「まぁ、暁斗君の役に立てるから嬉しいんだろうね」
「んっ」
由奈がエミリーの心情を察し、胡桃も同意するように頷く。
まぁ、俺としては役に立つとかは二の次なんだがな。
「おっと…!」
そう考えていたら、突然魔物の襲撃に遭った。
鳥型のモンスターらしいな…。
「ハーピーだね。 ランクはC。 常に空中に佇んでいるから魔法が有利だけど、暁斗くんは気の力も使えたんだよね」
「ああ、気功を使って仕留めようと…。 魔力の温存の為に」
「私の『マジックアロー』もそんなに魔力は使わないからいけるよ」
「じゃあ、ボクは胡桃ちゃんを守る役に回るから、二人はハーピーは頼めるかな?」
「うん、いいよ」
「任された!」
俺達を襲ったハーピーは、占めて六体。
一人当たり三体を相手にすれば大丈夫だろう。
「くらえ! 『気功波』!!」
「ギャアァァァァッ!!」
「マジックアロー乱れ撃ち!!」
「ピギイィィィ!!」
俺の気功波と由奈のマジックアローによる乱れ撃ちで一気に四体もハーピーを駆逐できた。
一撃で駆逐された事を知った後二体のハーピーは、おそれおののいて逃げようとしたが、そうやすやすと逃がすわけにはいかない。
ここで一気にカタを付けさせてもらおう。
「マジックアローの束ね撃ち!!」
「衝撃波!!」
「「ピギャアァァァァァッ!!」」
逃げようとした残り二体のハーピーも容赦なく一撃で駆逐に成功。
これで先に進むことができそうだ。
「いやー、一撃とか二人ともすごいねー」
「うん、すごい…」
胡桃は目を輝かせていたが、エミリーは少し引いていた感じがした。
もう少し力をセーブすべきだったかも知れないな。
「ここら辺はハーピーのみか?」
「ああ、ハーピーだけじゃなくビッグアントという大きな蟻の魔物も出現するよ。 後、森の内部は植物系の魔物も出るからね」
「植物か…」
俺はエミリーからそれを聞いていやな予感が拭えなかった…というか何故かいかがわしい映像が頭から離れない。
「暁斗くん?」
「あ、いや、なんでもない! 早く先へ進もうか」
「大丈夫ならいいけど…」
なんとかごまかしたが、エミリーは心配そうに見ている。
植物の魔物と聞くとアレが思い浮かんでしまうからだ。
まさか、こんな煩悩を浮かばせるとは思わなかったが…。
とりあえず、気を取り直して先へ進むことにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
北上して数時間。
ハーピーやビッグアントが何度か出現したが、俺と由奈の敵ではなかった。
後方からエミリーや胡桃が援護してくれたおかげでより手早く倒せた。
そうしてたどり着いた森の入り口で、トイレ休憩のためにコテージを設置した。
「じゃあ、ボクは先に入ってるね。 トイレ、トイレ…」
コテージを設置した直後にエミリーが先に入り、由奈や胡桃も続けて入った。
特にエミリーはそこそこ我慢していたようで、足早にコテージに入っていったのだ。
あの一件のせいで、エミリーはトイレが近くなってしまったのかも知れない。
こればかりは俺ではどうしようもないなぁ。
トイレの後は軽く食事もした。
腹が減っては戦は出来ぬというからな。
「よし、休憩が終わった所で先に進もうか」
「うん、行こう」
「そうだね。 早く精霊さんに会いに行かないとね」
トイレと食事を済ませた俺達は、コテージを仕舞い、森の中に入ることにした。
その森の内部は、かなり深く感じた…。
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