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102 新たなる追手との戦い その1

「へぇ、裏切り者と無能が雁首揃えて歓迎とはねぇ」


歪な笑みを浮かべる邪なイケメン。

それが、俺の抱いた安川(やすかわ) (まがつ)という印象だった。

こいつが政治家の息子だという事に色々と不快感を拭えなかった。


「こっちこそ、まさかあんたが来るとはね…」


「ボク達はお前らの行いを忘れたことはないよ!」


七絵や湊も安川に敵意をむき出しにして剣を構える。

やはり、胡桃の件で相容れない感じだろうか?


「佐々木君…、春日部さんに葛野さんも…」


「委員長…、それにお前は鴫野(しぎの)だったか?」


「ああ…まさかこんな状況で出会うとはな…」


一方、俺達のクラスメイトで今回の追手部隊に組み込まれたのは、委員長の京終(きょうばて) 瑠美奈(るみな)と眼鏡男の鴫野(しぎの) 康太(こうた)だった。

ひなた曰く、ガルタイト召喚直後のヘイト国王からの要望には乗り気ではなかったそうだ。


「なんだか乗り気じゃなさそうだけど?」


「安川とその取り巻きに無理やり組み込まされたからな…」


「でも、私たちはあの時…多くの者と同調してしまったからね…。 罪は受けるわ。 それがあなた達からの死罪だろうと」


京終さんは、一応臨戦態勢をしいていた。

あの時と言えば、俺が無能判定をされた時の事だろうか?

彼女もそして彼もあの威圧に屈して、ああしたのか?

ともかく、彼女が罪を背負って戦うとなると少々面倒だ。

時限(パイツァ)爆弾(ダスト)】の呪いもあるだろうが、安川からの仕込みもあるのだろう。


(七絵…、湊…、後輩のみんな…)


後輩達を見ていると、みんな安川や取り巻きに対して臨戦態勢を敷いているが、奴本人は未だに笑みを崩していない。

後輩達も強くなってるとはいえ、安川の強さは未知数だし、厄介そうだから、奴は俺がやるべきだろう。


「ひなたと由奈、そしてアイリスは京終さんと鴫野の相手をして時間を稼いでくれ。 俺は他のみんなと安川とその取り巻きを相手にする」


「うん」


「分かったよ」


「気を付けてね、お兄ちゃん。 あの男、只者じゃない感じだよ」


「ああ、行ってくる。 行くぞ、クリスタ、ザック!」


「はいっ!!」


「おおっ!!」


俺はクリスタやザックと共に、安川の方に向かって走り出す。


「お前ら、やっちまえ!!」


安川の号令と共に戦闘が開始される。

奴らを守っていたホムンクルスの兵士らが先に襲い掛かる。


「う、うわっ…!!」


「湊!!」


(ちっ、今までの奴らとは違うか!)


湊がホムンクルス兵士の動きについてこれず、体当たりを受けて吹き飛ばされてしまう。

それを見た七絵にも奴らの刃が襲い掛かる。

俺が今まで相手にしてきたホムンクルスの兵士より強さが違っている。

このままでは七絵が斬り殺されてしまう。


「おらあぁぁぁぁっ!!」


ブーストを掛けて七絵と奴の間に割り込んで、奴の剣を防いだ後で身体を斬りつけた。


「がはっ…! くっ、お前は…」


「先輩!!? それにザックさんやクリスタさんも!?」


斬られたホムンクルス兵士は腹部を押さえながら踏ん張っている。

やはり、一振りでは死なない位に強化されてるな…!


「七絵! 湊を連れて後方に退避だ!」


「は、はい! 気を付けて先輩!!」


吹き飛ばされて気を失った湊を抱え、門の入り口の奥へと退避する。

奥にはリリアさんがいて、回復をしてくれるそうだ。


「気を付けろ、こいつら今までよりも強化されてる」


「みたいだな。 雰囲気で分かる」


「暁斗様の攻撃でも一振りで死なないのですから、防御力が強化されたのでしょうか」


そんな事を話しながら、俺とザックはホムンクルス兵士を連続で斬りつける。

首の方も一振りでは撥ね飛ばせず、三回斬ってようやく撥ね飛ばすことに成功した。

クリスタも後方から超級魔法で相手にダメージを与えていく。

防御力だけじゃなくあらゆる能力が強化されてるので、一撃で倒せはしなかった。


「くそっ、あんたら…!!」


とはいえ、無傷でホムンクルスの兵士を倒したのを見た安川とその取り巻きが怒りを露にする。


「次はお前らだな…。 悪いが覚悟してもらうぜ」


「くそっ、なめるなっ!!」


「ありきたりな台詞だな! ならばこっちも行くっ!! シンシアッ!!」


「はいっ、兄さん!!」


ザックが安川達4人に仕掛けると同時に、後方からシンシアさんが槍を引っ提げて攻撃を仕掛けた。


「がはっ!!」


その槍に取り巻きの一人が避けられず、貫通させられる。

即座に槍を抜かれ、うつ伏せに倒れると同時に少しだけ痙攣した後に息絶える。


「なっ…!」


「よそ見をしてる場合か?」


「くっ!?」


取り巻きの一人があっさり絶命したことに驚いた安川をよそに、俺は容赦なく攻撃を加えていく。

反応はいいようだ。 剣の攻撃を咄嗟に受け止めているあたり、やり手だろうな。


(だが…、この違和感は何だ?)


安川を攻撃していくうちに違和感を感じ始めた。

反応はいいが、攻撃があっさりしすぎている。

もしかして、奴に何かあるのではないか?

そう考えながら、俺は安川を切り刻んでいく…。



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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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