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99 再会と解呪依頼

『エルオー』の町。

その町は、ガイアブルク領の西部に位置し、ヘキサ公国東部との境界線付近に位置している。

ヘキサ公国の国民との交流も多く宿屋が多いので、今や宿泊の町として有名だ。


その町に着いた俺達は、専用の宿を取って一息を入れた。

その後、ヘキサ公国出身の冒険者達が泊まっているという多くの宿屋の中の一つ、『ウサギ亭』に俺達はやってきた。

カイゼルさんやクレアさんがここにいるという事らしい。


アイリスがフロントに事情を話すと、スタッフは彼らが利用している三つの部屋を案内してくれた。

三階の303号室、304号室、305号室…この三つの部屋をクレアさん達が使っているという。

まずはクレアさんをエミリーさんに会わせることだ。

彼女は303号室にいるので、ノックをしてみた。

そしてドアが開いて、顔を覗かせて来た時に、エミリーさんの存在に目を見開いた。


「…エミリー?」


「うん、エミリーだよ。 ただいま、クレア」


「エミリー!!」


クレアさんはエミリーさんに抱き着いてきた。

そうとう仲がいいんだろうな。

無事に顔を見せてくれたことでクレアさんの目から涙が流れていた。


「なんとかなったね、お兄ちゃん」


「そうだな。 この喜び具合からしてすっごく仲が良かったんだろうし」


「確かに、クレハ解放戦も一緒だったし、由奈ちゃんを救う時の追手戦も一緒だったよね」


俺とアイリスとひなたがひそひそ話で二人の事を話していると、クレアさんがこっちに来た。


「エミリーを…助けてくれてありがとう。 暁斗くん…」


「あ、い、いえ…」


クレアさんが俺達に頭を下げた。

なんだかんだで俺は感謝されるのには慣れていないから、上手くは返せない。


「エミリーが無事だったんだって!?」


「あ、暁斗さん達もいらっしゃいますよ!」


「リックさん、リリアさん…」


そんな時に、リックさんとリリアさんが304号室から出て来た。

おそらく、エミリーさんの声がしたことに反応して出て来たのだろう。

二人の存在に気付いたエミリーさんは申し訳なさそうにしながら…


「二人とも、ただいま」


と、言った。


「本当にエミリーさんなんですね!? よかったですぅ」


「本当に感謝したいな。 暁斗くん達、ありがとう」


「いえ、私達も父…クリストフ国王から報告を受けてすぐに行ったので…」


エミリーさんの件でリックさんやリリアさんからも感謝された。

エミリーさんもみんなに色々話しているが、もう一つの目的も遂行しないといけない。


「お話の所申し訳ないですが、カイゼルさんの件で…」


「ああ、そうだった。 彼は未だに意識がない状態でね。 命に別状はないのだが…」


「回復魔法で体力は回復してはいますが…意識がずっと戻らないんです。 もしかしたら呪いの類かも知れないので解呪の札も使ったのですが…呪いの種類を知らないので効果があるかは未知数でして…」


「なるほど…」


やはり解呪の札は使っていた。

あれは最低三日はかかる代物だ。

俺が解呪のスキルを専用の札に注ぎ込んでも最低三日の壁を崩せなかった。

種類次第ではどうしても直接解呪をしないといけないのだ。 あの【時限(パイツァ)爆弾(ダスト)】の呪いみたいに。


「お兄ちゃん、もしかして睡眠の呪いかもしれないね」


「召喚されて間もない時に俺が受けた奴か?」


「うん、実際にサーチしてみればいいけど多分そうだよ。 ずっと意識が戻らないというからには昏睡状態になってるって事だから」


アイリスが睡眠の呪いなのではないかと推測していた。

それは俺が召喚されて間もない時、『無能』扱いされた時に今は亡きアンから受けた呪いなのだ。

人によっては昏睡状態のまま死に至る危険な呪いでもあるのだが、俺は無事に目を覚ますことができたのだ。

そうなると一応、確認をして解呪しないといけないな。


「リックさん、リリアさん。 カイゼルさんが寝ている部屋に入ってもいいですか?」


「暁斗さん、解呪できるんですか?」


「ええ、呪術師を極めた時に解呪のスキルも使えるようになってるので」


「なんと…!!」


「そうだったの…!?」


俺が解呪のスキルを使えることにリックさんやエミリーさんは驚いていた。

声に出していないが、リリアさんやクレアさんも驚きの表情を見せているようだった。

そういえば、解呪スキルの事については言っていなかったかも知れない。


「そういえば、盗賊集団『漆黒』戦の時は、お兄ちゃんが魔封じの呪いのスキルを使える事しか言ってなかったよね…」


「ああ、あの時かぁ…」


「え、え? どういう事?」


「由奈ちゃんはあの時ガルタイトにこもってたからな…知らないのはしょうがないよ。 暁斗君は盗賊集団の『漆黒』の殲滅作戦の指名依頼が入る前に『呪術師』を極めちゃったんだよね…」


「ほえぇぇ…、暁斗君はすごいねぇ」


ひなたが、俺が呪術師を極めたタイミングの事を語っていると由奈は驚いていた。

と同時にさらなる尊敬の眼差しを向けていた。

それをよそに俺はリリアさんとリックさんに向き合ってこう言った。


「とにかく今の俺は解呪のスキルが使えるんで…カイゼルさんの解呪をしてもいいでしょうか?」


「ああ、ぜひお願いするよ!」


「こちらとしても願ってもない事です! ぜひ、カイゼルさんを助けてください!」


そして、リックさんとリリアさんにせかされる形で俺はカイゼルさんが眠っているという305号室に入っていった。





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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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