真実の愛に目覚めたので婚約破棄をしました
婚約破棄物の習作です。よろしくお願いします。
誤字報告ありがとうございます。助かってます。さっそく修正しました!
※ 何度か読み返しておかしかったところを随時修正しています。
「アナスタシア嬢、今日をもって貴女との婚約を破棄する!」
なんとも物騒なセリフだがそれを口にしたのは俺だ。
時は年末。明日からは新年と言う年越しパーティの真っ最中。
しかもたくさんの貴族たちが集まる王宮の広間のど真ん中である。
相手は王国でも1.2を争う名家、グッドウィル公爵家の令嬢、アナスタシア。8歳の時に初めて会って以来婚約者として横にいた女の子だ。
花が咲くような、とか、月のような、とか、名前の前に形容詞がたくさんつく美少女で、いつも麗しく微笑んでいると有名だが、さすがに今は笑みはない。
「どういうことで、しょうか……」
青ざめて震えるアナスタシアの目の前で、俺は傍らにいた少女の肩を抱いて引き寄せる。
「真実の愛に目覚めた、とでもいえばいいか?」
会場が凍り付いたのは俺の冗談が寒かったからではないと信じたい。
思えば8歳のあの日から始まっていたのだろう。
あれはとても晴れた春の日だった。5月にしては日差しが暑く、首の詰まった服がやけに暑苦しかったのを憶えている。
俺は兄である第一王子、アーチボルトとともに茶会に出席させられていた。兄と言っても半年違いなので同い年ともいえる。兄と一緒に参加できたのはありがたかった。
赤子のころから人見知りしない性格のアーチーと、目が合っただけで睨んでいると言われるほど愛想のない俺。日の光のような金髪と夜の闇のような黒髪の俺たちだが、森の緑の瞳だけは王家のあかしとして父方の血を映している。性格も容姿も全く似ていなかったが、似ていない部分が良いようで気が合った。
まあ似てないのは仕方ない。兄は側妃の子、俺は正妃の子なのだ。この国では最初に生まれた者から王位継承権がある。さらに言うとアーチーの母の側妃は辺境伯家、俺の母の正妃は公爵家の出身で、身分にも差がある。
そんなのは気にしない俺はアーチーの予備だと子供心に理解していたが、母を始めとする親戚たちは自分より下の爵位の母を持つ兄に対して心にいろいろあるようだ。母や母方の親戚と一緒の時はよくあちらの悪口を吹き込まれた。呪文のようにねちねち言われても悪意に染まらなかったのは、厳しい監視の目をくぐって兄がほぼ毎夜遊びにきてくれたからに過ぎない。子供心に母より兄のほうがいいと思ったんだな。
まあそれはともかく。
この日の茶会は子供たちは知らなかったのだが、王家とつながりを持ちたい貴族たちが自分たちの子供を売り込むための顔合わせ会だった。
ついでに言うと婚約者探しでもある。同じくらいの年の子たちを集め、親同士でつながりを決めるのだ。お互いの家の損得を考えつつ、家の格が合うもしくは利害が一致する家を探すこと、これも高位貴族の仕事だった。
そうなると子供の気持ちなどどうでもよいことだ。実際、親たちもほぼ全員が好きあった者同士で結婚しているわけではない。もちろん例外もあるが、義務として行動を共にしている家が多い。だからというか、まるで取引のように話が進められていく。
まあそんな感じで俺たちは呼び出され、一人の女の子を紹介された。
緊張した顔で、見事なカーテシーを披露した女の子。
バラ色の頬と青い瞳だけが目についたが、俺にとってはそれだけだった。
彼女、アナスタシア=グッドウィルは顔をあげるとにっこり微笑んだ。そのころから彼女はほかの誰よりも美しく、花の化身のような姿にため息が出ると言われてたよ。
俺はそのかわいらしい顔を眺めつつ、これからお互い大変だな、と心で呟いた。
彼女が俺かアーチーの婚約者となり、ともに王家にふさわしい人間になるための教育が始まるのだと気づいたからだ。
ただ、顔を真っ赤にして固まっていたアーチーにはわかってなかったみたいだけどね。
想像通り、次の日から帝王学の授業が始まった。
1聞いたら2くらいしか理解できない俺と対照的に、アーチーは1聞いて7理解する男だった。腹立たしいがいろいろ出来が違ったのだろう。
仕方ない。辺境伯は優れた武人であると同時に文官でもあった。まさに文武両道。その教育は側妃であるアーチーの母、セリア様も受けていた。当然幼い時からアーチーも仕込まれていたようだ。俺はと言うと、母方親族による悪意ある言葉のシャワーと放任という名の手抜き育児でここまで来ている。正妃である母、ベリンダは王家の仕事に忙しいから、という名目で茶会ばかりに出席していた記憶しかないんだけど、母がいないときはのんびりできていたので結果オーライだな。
ただ、俺の出来が悪いことで母は相当イラついていた。アーチーより成績が悪いと見えないところを鞭で叩かれる。武術鍛錬の時にばれるのでやめてほしかったが、よけるとさらに暴れるので仕方なく受けた。肉が割けて血が出るまでやめないのは本当に困った。
そんなすごい怪我をしてよく鍛錬ができたな、と思われるかもしれないが、実は俺には秘密がある。誰も知らないことなのだが、治療魔法が使えるのだ。聖女や神官が使う奇跡のような魔法ではなく、ささやかに傷を治したり毒を消したりする程度なのだが、毎日の折檻を耐えるくらいのことはできた。これがなかったら死んでいたかもしれない。神に感謝だ。それにしても毎日毎日殴る蹴るをしても、次の日には治っている俺を不思議に思わなかったのかねえ。
帝王学の授業が進むにつれ、アーチーと俺の差も目に見えて開いてきた。
講師どもは報告をするときに口をそろえて言った。
第二王子殿下は優秀です。他国の王子と比べても優れていると言えるでしょう。
しかし、第一王子殿下はそれを上回って余るほどの素質です。すでに小国でしたら立派に統治できる才をお持ちだと言えます。第一王子殿下がこの国の王になれば、国は盤石です。
父である王は講師たちにますます励めとだけ言った。
隣にいたベリンダ正妃が扇を折りそうなほど握りしめているのは誰にでもわかった。
その夜のことだった。
兄の住む離宮が襲撃された。
使用人のほとんどが殺されたが、セリア様と侍女頭は何とか生き延びた。生き延びたと言っても重傷で、すぐに当時の聖女に治療を受けたが、体の半分が動かない身となってしまい、辺境の屋敷に返されることになった。
襲撃で兄は死んだ。
顔と手足を潰された無残な死体で発見され、王宮は騒然となった。
王は優秀な息子を死に追いやった輩を全員探し出せと命令したが、結局、賊は見つからなかった。文字通り影も形もなくなっていた。
言葉には出さなかったが、誰もが正妃を疑った。第一王子がいなくなれば、王位を継承するのは当然第二王子である自分の息子だ。優秀だと褒められはしているが、第一王子にはかなわないと言われる息子。王が死んだら自分を支えてくれる者がいなくなる母は普段からセリア様を目の敵にしていた。疑われるのは当たり前である。
しかし、母は涙を見せつつ王に縋りついた。
「セリア様とは仲が良かったですし、アーチー殿下はわたくしにとてもなついておりました。二人がいなくなって悲しいです。早く賊を捕まえましょう」
王は母を心優しいと褒めたが、俺はそんな両親をアホ親だと冷めた目で見ていた。
だって、母が兄たちを襲撃したのは誰だってわかるだろ?
賊が母の手の者なんだから、全員うちにいるに決まってるじゃないか。探したところで見つからないのは当たり前だよ。というかみんなわかってるから探さないんだよ、アホじゃないか?
まあ、王もそのあたりはなんとなくわかりつつ、そこそこに手を引くのではと思った。ひょっとしたら自分の地位を脅かすかもしれない息子はいないほうが楽だしな。
その後、帝王学の授業は俺とアナスタシアだけが受けることになった。途中からアナスタシアは王妃教育に移行して別々になったので、孤独に勉学に励む日々が続いた。
勉学は性に合っているのかそこそこよかった。語学も楽しい。つづりは憶えにくくて苦手だけど、話すだけならほぼすべての言葉を使えるようになった。
だが、体を使うのは難しい。もくもくと武術を学ぶ俺を周囲は嗤った。正直俺は武術に向いてなかった。重たい剣は苦手だし、体力もさほどない。えいやと振り下ろした剣がすっぽ抜けて飛んでいくなんてよくあることで、文句を言えない騎士たちからは失笑が飛んだ。
生き残ったのがアーチーだったらよかったのに、と皆言うが、俺だってそう思うんだから勘弁してほしい。
魔術は得意なんだけどなあ。
15歳になり、学院に入ることになった。
学院とは貴族の子供達や魔力の多い平民が国のために学ぶところだ。15歳から18歳まで、身分に関係なく学ぶ。王家に来ている講師全員がここの教員も兼ねている、国の最高学府だ。
一般的に貴族はここで社会の縮図を憶えると言う。めんどくさい。
俺は水と土の魔法に適性があることがわかり、そちら方面のクラスに進んだ。勉強してわかったが、水と土は治療に適した魔力なんだそうだ。それで治療が子供のころから使えたんだと納得。とはいえその魔法には治療術はないとあるのでレアケースなのかもしれない。めんどくさいから聞かないけど。
アナスタシアはここでも美しく、人目を引いている。
学院に入る前に俺はアナスタシアと婚約していた。アナは婚約の時にも見事なカーテシーでよろしくお願いしますと言ったが、それくらいだった。子供のころに親しくしていた笑顔はなくなって、なんだか張り詰めた印象だ。美人なのに、と思っていたらそれがいいらしいのでびっくりした。好みはさまざまってことか。
婚約者がいる貴族が多いのでちょっかい出してくる輩はいなかったけれど、その美しさと凛とした姿勢は生徒たちのあこがれとなっていた。高嶺の花と言った感じかな。
入学してしばらくたったころ、俺はミランダと出会った。
ミランダは平民上がりの男爵令嬢だった。なんでも孤児院にいたところ、魔力検査で最高位の光属性をたたき出したらしい。するとフールー男爵が「昔、自分が手を付けた侍女の娘を見つけた」とか言い出して屋敷に引き取り、学院に入れたのだそうだ。なんともご都合主義なことで。
ピンク色の長い巻き毛がふわふわした、なんともかわいらしい系の令嬢は、なぜか角から走ってきて俺にぶつかって転んだ。
「いったぁい」
なぜ舌を出す。そしてなぜ片目をつぶって自分をげんこつでこつんと殴っている。
そう思いながら手を貸して立たせると、なぜかよろけて俺の胸に顔を付けた。髪が鼻にあたってくしゃみが出そうだ。勘弁してほしい。
「ごめんなさい。私はミランダ=フールーです。助けていただいてありがとうございます」
ミランダはペコリとお辞儀をした。カーテシーではないんだなあとだけ思う。まあそれで平民(ミランダの場合は元平民か)だと気づいたんだけど。
その後も何度かミランダに絡まれた。
絡まれた、でいいんだよな? 廊下でぶつかりそうになったり、食堂で手を振られたり、目の前で転んだりして、そのたびこちらに声をかけてきた。確かに学院ではみな平等を謳っているけれど、一応第二王子の俺にまあ馴れ馴れしい。最近じゃ勝手に名前で呼ばれる。ろくに知らない相手に愛称のベルと呼ばれたくないし(名前のベルグリフでも嫌だけど)、正直、好みのタイプではないのでやめてほしい。
そのミラだが、最近では宰相の次男サイラスや騎士団長の三男ライル、王室付商人の四男のジャスティンとも仲良くしている。話を聞いたらやっぱり廊下で転んだりなぜか水をかぶったりしているそうだ。3人に言わせると『ほっとけない』らしいのだが、それでいいんだろうか?
ある日、噴水のへりに座ってのんびりしていると、ミランダがこちらに走ってくるのを見つけた。
その時はちょいと余裕がなかったので、素早く木の陰に隠れて気配を消す。幸い水が近くにあるので隠形の魔法がよく効いた。鍛錬しているものならともかく、彼女程度ではわからないだろう。
「あーあ、いなくなっちゃった」
案の定、ミランダはつぶやくと噴水のへりに腰かけた。
「ここでイベントのはずだったんだけどなあ。第二王子の好感度上げ、ヒロインなんだから成功するよね」
イベント?
好感度?
ヒロイン?
なんだかどこかで見たような気がする。
少し考えた末、気づかれないように離れて図書館に向かった。
「君は転移者? それとも転生者?」
裏庭でぼんやりしていたところに飛び込んできたミランダに尋ねると、紫色の目が面白いくらいまんまるになった。
たしか昔読んだ文献にあったなと思いだし、図書館で調べると、158年前に転移者が現れていたことが分かった。
文献によると、転移者と転生者は異世界から前世の記憶を持ったままこちらに来ている者のことで、転移者はそのままの姿もしくは若返った姿で、転生者は生まれ変わっているそうだ。
共通するのは、女の場合、自分のことを『ヒロイン』と呼び、意味不明な単語を口に出していたこと。ちなみにヒロインではなく『勇者』とか『聖女』と名乗るときもあるらしい。勇者は男が多く、聖女は文字通り女だ。文献にないだけで実は多いのかもしれないが、そのあたりはわからない。
自分を『ヒロイン』と名乗る転移者・転生者は、当時の権力者と接触して時代を動かす。読んだ文献では第二王子を含む複数の権力者子息と交流し、その知識を世に広めたのだとか。手近なものでは醤油や味噌、水洗トイレなど。なかなか素晴らしい。ただ、同時に災いを呼ぶ者でもあるそうで、274年前の転生者はその時の王家を破滅させたとある。
「……、何で知ってるのよ? あなたも転生者なの?」
ミランダはしばらくうつむいていたが、やがてばつが悪い顔で答え、座り込んだ。
ドレスが汚れるよ、と上着を脱いで草の上に敷き、座らせると、王子様みたいと言って少し笑った。
いや、俺、王子様だと思うんだが。
聞けば、ミラは俺より20歳ほど年上の自立した女性だったそうだ。シャチクという名の職に就いており、寝る間も惜しんで働かされた挙句、事故で亡くなったとのこと。
「死んだと思ったら真っ白い世界にいてね。なんかイケメンな神様が好きなところに行かせてあげるって言うからさ、幸せになれる世界に行きたいってお願いしたの」
それでここか。ついてないなあと思う。というか、イケメンってなんだ?
「でも転生者だとわかったのは最近で、フールー男爵と馬車に乗っていた時だったかな。急に目の前にいろんな景色が流れてきて、あ、ここ、以前やってたゲームの世界だって気づいたのよ」
ゲームの世界。よくわからないが、ミラの中ではこの世界は作り物らしい。だから自分の覚えていた筋書き通りに進んだら幸せになれると信じているようだ。
なるほど、それがあの不審な行動か。
「シナリオではヒロインは王子を含む多くのイケメンたちに愛されて幸せになるの。私はヒロインだし、神様に送り出されたんだから、ここで逆ハーレム作って満喫できるはずなのよ」
逆ハーレム? いろいろわからない単語が出るな。
それにしたって矛盾がありすぎる。今のままではどうやってもミランダの望む状態にはならないだろう。事実、俺はミランダがしてきた行為を好ましく思っていない。
「申し訳ないが、今のままの君の行動では男はみんなドン引きだ。イベントとやらが成功しないのはそのせいではないだろうか?」
ミラは一瞬で蒼白になった。ショックを受けているらしい。というかなぜ気づかなかった? ゲームとやらでは貴族のルールなどはすっ飛ばしていたのだろうか?
「私、幸せになれないの? 断罪されちゃうの? 死んじゃう?」
また意味が分からないことを。
ガタガタと震え、冷や汗を垂れ流しているミラ。元がかわいらしいだけになんだか申し訳ないが、真実なので仕方ない。
そういえば、彼女は光魔法の達人だった。治療を始め、あらゆる光魔法が彼女に力を貸す、と講師がうっとり言っていたっけ?
使わない手はないか。
「断罪なんてとんでもない」
俺は優しく彼女の肩に手を置いた。
紫色の瞳に見上げられる。そんなに泣きそうな顔しなくていい、と言いたいところだけど、これから何度もそういう顔をさせそうだな。
「この世界がゲームだと言うんなら、俺のゲーム盤に乗ってみないか?」
俺はにやりと笑った。
それからの学院生活は少しばかり慌ただしかった。
王子と言うことで生徒会長をやらされた。ミランダは俺とともに生徒会に入り、仲が良かったサイラスやライル、ジャスティンも加わって実に華やかだった。アナスタシアは役員ではなかったから少し疎遠になったが仕方ない。
勉学以外の帝王学の授業にも精を出した。一通りの外交もこなした。
武術訓練は相変わらず苦手だったけれど、なんとか無事に単位は取れた。ほぼライルのおかげだったな。騎士団侮れない。
生徒会役員だからと、ミラといる時間が多かったので、いろいろなところから苦言が来た。俺はいいんだが、ミラに傷がつかないか心配し、大丈夫かと聞いたら「攻略に適した環境♪」と言われた。また意味不明な単語だが、本人がいいのならとそのまま過ごした。
そしたらいろいろと大変な目にあったらしい。植木鉢が落ちてきたり、教科書を捨てられたり、令嬢たちに囲まれて嫌味を言われたりしたそうだ。目を輝かせて「イベントキター!」と喜んでいたのだがいいのだろうか?
そうしていると、ミラと俺がアナをないがしろにしているという身に覚えの無い噂が立った。そう見えるのなら仕方がない。たまに会うアナは寂しそうな顔をしていたので申し訳ないとも思ったが、話す機会がないまま時は過ぎていく。
そして時は流れ、今に至る。
「アナスタシア嬢、今日をもって貴女との婚約を破棄する!」
ついにこの日が来た。
蒼白なアナスタシアはそれでも白い月のようだ。静まり返った広間の真ん中で震えているだけなのに引き付けられるほど美しい。それでこそアナだ。
「貴女の振る舞いにはもう我慢がならない。貴女は王妃としてふさわしい女性で私にはもったいない存在なのに、私の婚約者として尽力しているからだ。私は自らの浮気による婚約破棄の代償として王位継承権を剥奪され、王家からも追放されるだろう。空席になる王太子には私の兄、アーチボルトが座ることになったから心配はいらない。貴女はその婚約者として、正妃教育に邁進するように」
ざわり、と空気が動く。
死んだ王子を王太子に? と皆がこちらを見つめる。気が狂ったのかと言いたげだ。
俺はにやりと笑ったのち、扉の前に立つライルに合図を送った。
ギイ、と扉が開く。
そこに立っているのは。
「やっと出てこられたな」
死んだと思わせていた兄、アーチボルトだった。
襲撃の日、俺は騎士の誰より早くアーチーのところに向かった。
嫌な予感とかそういうのではない、襲撃があると確信があったのだ。
報告から帰ってきた母は夕食の時姿を見せなかった。いつもなら俺の分まで食べそうな勢いの母がだ。
何かを企んでいると思った。だから早く寝たように見せて部屋を抜け出した。普段から放置されているので誰にも見つからずに済んだのもよかった。
急いでいくと、屋敷から出てきた黒い影を見つけた。素早く隠れたのと同時に、離宮から爆発音がした。頭の中が真っ白になったけれど、体はちゃんと動いた。
煙をよけながら進む。知った顔がたくさん、無残な死体となって転がっていた。優しくしてくれた庭師の顔もあった。涙が出そうなのを我慢し、進む。
兄の部屋はひどく荒らされていた。
ベッドの上の死体を見て動揺したが、確認するとアーチーではなく、似ていると言われていた使用人のハンスだった。身代わりになったのだろう。探すと、虫の息のアーチーがベッドの下に横たわっている。申し訳ないと思ったが、ハンスの顔と手足を潰した。これでアーチーは死んだことになる。
大きな体をなんとか引っ張り出し、見つからないように細心の努力を払いつつ、信頼している神官のいる神殿に向かった。
神殿は王宮の外れ、離宮の近くにある。神官長とは赤子のころからの付き合いだ。ここで裏切られたら自分が悪いが、信じるしかない。
幸い、神官長は俺を迎え入れてくれ、アーチーの手当てに協力してくれた。俺はほったらかされているのをいいことに、兄のために治療魔法を使い続けた。微々たるものだった魔力がそのおかげで上がったのは皮肉だな。
眠り続けたアーチーは襲撃から1か月後にようやく目を覚ました。
事情を説明すると、アーチーは無言で目を閉じた。
なんだかいたたまれない。俺の体には襲撃犯である母とその親族の血が入っている。
「俺を憎むか、兄上?」
アーチーは何も言わなかった。俺も答えはいらないと思った。
その後、アーチーは神殿から一歩も出ない生活を送った。人目についてはいけないので、神殿の最深部、ほぼ神様しか来ないところにひっそりと隠れている生活だ。申し訳ないとは思ったが、本人はあまり気にしていない様子で、地味にスクワットなどで体力錬成をしたり、書にふけったりしている。
俺は毎日神殿に通い、その日の帝王学の授業を兄にも伝えた。同じことを2回なので復習になってより頭に入った。兄は独自の視点から質問をしてくる。これが王の資質なんだと感心した。
学院に行くようになると、通信魔法を使って授業内容を送った。俺の片耳につけたイヤーカフから直接音声がアーチーのイヤーカフに届く仕組みだ。資料は週末に帰るときにまとめて持って行った。必要なところは二人で複写した。子供の時より長い時間ともにしている気がする。
光魔法の使い手、ミラに口外しないことを固く誓わせてからアーチーを紹介した。ミラは「ファンディスクキター!!」とものすごく喜んでいた。また意味不明なことをと思ったが、アーチーはおもしろいと笑い転げていた。器が大きいな、兄よ。
ミラの光魔法のおかげで、アーチーの体は完全に回復した。俺のなんちゃって回復に比べたら雲泥の差だった。ミラと出会えてよかったよ。
日々を重ねるにつれ、俺の中に違和感が育っていく。
兄やセリア様がいなくなってから、母とその親族であるウエイル公爵家の力は手が付けられなくなっていた。最近では耄碌してきた王の代わりと言っていろいろと手を出している。このままでは国が心配だ。
俺は唯一の王太子として周りからはちやほやされているけれど、王には向かない。がり勉タイプの王は天才タイプの王にはかなわないのだ。
王にはアーチーがふさわしい。講師たちだって口をそろえて言っていた。今だって「アーチー様がいたらこんな問題簡単に解きますよ」と平気で言うしな。
この世界はゲームだ、とミラは言う。それを聞いた時、なるほどなと思った。ゲームだったら、挽回のチャンスはある。
俺は王族なのだから、この国にとって何が一番いいのか、考えなくてはいけないのだ。
アーチーが出てきたことで広間は騒然となった。
「静かに!」
俺はざわめきを手で制す。
再び、静寂に包まれる広間。なんだか下手な演劇みたいだな。
アーチーはゆっくりと俺の前に立った。相変わらず豪奢な金色の髪、深い緑の目。がっちりとした筋肉質の体躯にはスクワットってすごいんだなと感心した。身長も俺より高い。陰気な黒髪に生白い肌、ひょろっとして頼りないと言われる俺とは雲泥の差だ。申し分のない王になるだろう。
恭しく兄のもとに跪く。
「お待ちしておりました、兄上。この度の騒動、お許しください」
そのとき、大きな音がして反対側の扉が開いた。
勢い込んで入ってきたのは俺の母である正妃ベリンダとその一族のウエイル公爵家一同。悪人勢ぞろいみたいな感じで思わず笑いが漏れる。
「これはなにごとか!?」
母は烈火のごとく怒っている。自分が一番な母はパーティの主役であることを好むが、まさか『悪役らしいバカ王太子の母親』役になるとは思わなかったのだろう。王太子、ゆくゆくは王になる息子の母として思いのままの生活をしているのになんということをと言いたげだ。誰もいなかったら鞭が飛んでいただろうな。
祖父のウエイル公爵も同じ顔をしている。あの顔に自分が似ているかもと思うとなんだかがっかりするがこればかりは仕方ないな。
「見てのとおりです、母上。私はこのようなところで愚かな行為をしたために断罪され、廃嫡されました。故にこの国の王太子はここにいる兄、アーチボルトです」
「馬鹿な!アーチボルトは10年前に死んだであろう!そこにいるのは真っ赤な偽物ではないか!」
「偽物ではございません。あの日、私は兄上のもとにおり、死んだのが使用人のハンスだと確認したため、神官長に依頼して、魔力により本人確認いたしました。きちんと書類も作っています。兄上は命の危機にさらされていたため、神殿深くでかくまわれておりましたが、ここにいるミランダ=フールー嬢による光魔法によりすっかり体も癒えたため、今日より王宮に上がっておりました。陛下からも許可をいただいたことです。ご存じなかったのですか?」
母の顔がどす黒くなる。幼い時の記憶がよみがえって少し震えが来たが堪えた。トラウマは成長してもなかなか消えないようだ。
俺がこの茶番をする前に何も手を打たなかったと思っているのだろう。兄より出来の悪い弟だと皆に言われている。バカ王子と皆が思っているのは知っていた。ありがたく利用させてもらったよ。
それにしても一番の曲者は父だったかもしれない。
この国の王はウエイル公爵の一族が王家に並ぶほどの力を持つことを快く思っていなかった。母が正妃らしい働きと王を思い敬う温かさを持っていなかったのも敗因だと思う。だから、俺が唯一の王太子だけど王に据えるのは嫌だとかねてから思っていたようだ。
そこに、アーチーが生きているとの報。嬉しくなかったはずはない。伝えたのは俺だけど、目の前であんなに喜ばれたのは正直複雑だった。これでも帝王学の授業頑張ったんだぜ……。
まあそれはいいとして、王が一枚加わったので話はとんとん拍子で進んだ。
アナスタシアには内緒だったが、グッドウィル家とは話をした。アーチーが生きているので俺とアナの婚約は解消してほしいと告げると大変驚かれた。当主のシド様は子供のころから親しくさせてもらっているが、こんなに驚いた顔は初めて見たよ。眼福だった。
アーチーがアナを好きなのは知ってたし、アナも俺よりアーチーを好きなのは子供のころからわかってる。もちろん俺もアナは好きだが、多分そういう好きではない。なんせアナと目があっても赤くならないし、呼吸だって正常だ。貴族の結婚なんて心は別物なんだが、今まで苦労させてしまった二人には個人的に幸せになってもらいたい。
というわけで、アーチーとアナの婚約は王とグッドウィル公爵に正式に認められた。
俺とアナの婚約は問題なく解消、になるのだが、せっかくだから『破棄』という不名誉なことにして、それを理由に廃嫡して王位継承権をなくそうと言うことになった。俺が王子でなくなれば、ウエイル公爵家は甘い汁が吸えないし、さらに言うとそのせいで力を大いにそがれることになるだろう。ざまぁだな。
さらに、公衆の面前でやらかせば効果は倍増だろうとなり、パーティの真っ最中にやっちまおうってことになったのだ。
この時になってようやく、俺は信頼できる友人に協力を頼んだ。
ミラ、サイラス、ライル、ジャスティン。今では一枚岩ともいえるくらいの仲だ。
防音魔法をかけ、事情を説明したのち、アーチーを紹介すると、驚きつつもみな手を貸すと言ってくれた。友達はありがたいな。ジャスティンが「本物の王太子はすごいなあ」と呟いたのはあえて聞かなかったことにしよう。
唐突にラッパが響いた。
王がパーティ会場に到着したのだ。
周囲の皆が王座のほうを向き、跪く。感情をあらわにしているウエイル一族だけが立ち尽くしているがそこはスルーだ。
「皆の者、今宵はよく集まってくれた」
一段高いところにある王座に就いた王が微笑みとともに言った。
「明日より新年。新しい年を迎える前に、この喜びを皆に伝えようと思う。アーチボルト、ここへ」
兄が小さく頷いて立ち上がり、王座の隣に立った。
「皆も驚いたと思うが、アーチボルトはこのように息災だ。命の危機があったために神殿で生活をしていたが、王太子であった第二王子ベルグリフがこのように王にふさわしい者でないため、再び表に出すことにした」
王の横でアーチーが恭しくお辞儀をする。神官長に厳しく叩き込まれていただけのことはある、美しい礼だった。周りでため息が漏れる。あの王子スマイル、なんかイラっと来るな。
ちなみに、王座の隣の正妃の席に母は座っていない。行こうとしたところ、衛兵たちがそれとなく妨害した。いい仕事してる。
アーチーに頷いた後、王は厳しい目を俺に向けた。
「この度の騒動、聞き及んでおる。王として、父として嘆かわしいことだ。よって、ベルグリフは王位継承権を剥奪。アーチボルトを王太子として次期王にすることにした。アナスタシア=グッドウィル嬢はベルグリフに婚約を破棄されたが、正妃教育をものにしており、次期王妃として申し分ない姫である。よって、アーチボルトと婚約させることにした」
隣でアナスタシアが息を呑んだ音がする。目だけ横を向ければ、頬を赤くし、涙を浮かべている春の精霊がいた。喜んでくれているといいな。幸せになってくれるといいな。それだけが心配だ。
「お待ちください陛下!」
硬直していたウエイル公爵が叫んだ。
「アーチボルト様は死亡届が出ていたはず。10年前にすでに王太子ではなくなっているはずです。ベルグリフ様の王位継承権は一位のはず。この程度のことで剥奪など、ありえません」
「この程度、とな?」
「はい。ベルグリフ様は確かにこのような場でそぐわない発言をしました。しかしそれは若気の至り。証拠として、アナスタシア嬢へ『王妃としてふさわしい女性で私にはもったいない存在なのに、私の婚約者として尽力しているから』とおっしゃった。アナスタシア嬢を貶めたわけではありません。婚約者がいるが他に心を移してしまったことへの罪悪感からこのような振る舞いに出たものと思われます。寛大なお心で対処いただきたく平にお願い申し上げます」
ありゃ、詰めが甘かったか、と少し反省する。そりゃあ何もしていないアナに対して濡れ衣は着せられなかったよ。
「黙れ!」
王はぴしゃりと遮ったが、ちらりとこちらを見た目には苦笑がにじんでいた。本当にごめん、父上。
「王が決めた婚約に逆らうことがすでに罪だ。貴族間のつながりは個人の感情のみで動かせるものではない。しかもきちんと契約をしてるのだ。グッドウィル公爵家はこの国にとって大事な存在。無下にすることは許さぬ」
さすが父上。いい着地点を見つけてくれたな。
ぐっと言葉に詰まったウエイル公爵は縋るように母を見た。母は憎しみの目で俺を見つめている。腹の奥がぞわりとしたが、隣にいたミラが光魔法で悪意を散らしてくれた。守られている感じが情けなくもありがたい。
さて、そろそろ仕上げようか。
「廃嫡となった王子の私が陛下と話すのはこれが最後でしょう。最後に私の話を聞いていただきたい」
俺は王の足元に近づき、臣下の礼を取った。
「10年前、アーチボルト殿下とセリア様を襲ったのはウエイル公爵家の影です。私は現場にて確認しております。また、当時お世話になりました神殿の神官たちに現場の調査を依頼し、証拠となる物件を集めさせて保管しています。幼いゆえに告発できませんでしたことをお許しください」
突然の告発に広間がざわついた。
「たぶん調べればいろいろと出てくることでしょう。私はウエイル家の一員として、同じように罰を受けます」
深く首を垂れる。
母が悲鳴を上げて倒れるのが見えた。ウエイル一族は衛兵たちに囲まれている。視線で殺されそうだ。邪眼持ちがいたら俺、即死だな。
その後すぐ、ウエイル一族は衛兵に連れられて広間を出ていった。こちらに向かって呪詛の言葉が延々と放たれていたが気にしない。というか「死ね」とか「滅びろ」とか、語彙が少ない。子供の時にずっと言いたかったことを言われている気がしたよ。
すべて終わった。
ああ、これでやっと、違和感から解放された。
今この時をもって俺はウエイルの名を外され、ただのベルグリフになる。平民になって町に降りるか、どこかの騎士団に下っ端として配属されるかわからないけれど、貴族としてここに来る立場ではなくなったことは確かだ。ここに来られないのでもう父上や兄には会えなくなるが、兄が憎んでいるだろうウエイルの名から外れたことが素直に嬉しい。
やっぱり俺は王には向かない。父のように生きられないし、兄のように王の資質はない。押し付けたみたいで悪いけれど、アーチーなら立派にこの国を治めてくれるだろう。
というわけで、俺は王城から出ていった。
はずだった。
なぜか俺は今も王城におり、廃嫡もされず、第二王子として働かされている。
「私をかくまい、傷を癒し、ここまでにしたのは弟ベルグリフだ。弟の献身的な行いでこの国の膿が出されたともいえる。よってこの度の騒動は不問にし、ベルグリフは第二王子のまま。もちろん、この国に留める」
ウエイル公爵一家が出て行ったあと、平伏している俺に向かってアーチーが言い放ったのだ。
唖然とする俺のそばに来たアーチーは膝をついて抱き着いてきた。
「この、バカ、弟……。俺がお前を憎むとか、ありえないじゃないか」
涙声が聞こえる。申し訳ないが俺は最初、押し付けられたアーチーの胸板って厚いわとか思っていた。すまん。
「確かに、ベリンダ達ウエイル公爵家は憎んでいるが、お前は別だ。子供のころ、虐待されてたのも知ってる。何もできなかった自分が悔しかった。そんなときに助けられて、なんと言ったらいいのかわからなかった。あの時ちゃんと答えなかったこと、すまなかった。だから、いくな。俺と一緒にこの国をよくしていこう」
俺が頷く前に、隣にいたミラが「ええ話や」と泣き出した。周りの貴族たちももらい泣きしている。
なんだかなあと思いつつ、この国をもっと良くしようと決意した。
2年後。
王は突然引退表明をし、王位をアーチーに譲った。40歳になったので隠居ジジイとして領土を回っていきたいのだと言う。ジジイと言う年じゃないだろうと言ったが却下された。世の40歳に叱られるぞ。
アーチーは王になり、アナと結婚。少女のころに会えなかったゆえに拗らせた初恋を満喫するアーチーを見ていると微妙に情けなくなるが、アナが喜んでいるようなので良しとしよう。美男美女の結婚とそこまでのエピソードは諸外国にも知れ渡り、戯曲になるなどして大いに歓迎された。俺だったら恥ずかしくていたたまれないが、アーチーは芸術の振興にと歓迎している。頼むから出さないでくれと泣きついたが、実物よりかっこよく脚色されて出演している。呪いたい。
ミラは、なんと父上と結婚した。なんでも「前世では38歳だったので、年齢的にドストライク」だそうだ。20歳の年の差なんてない、らしい。学院にいたとき俺らにしていたのは芝居だったんだと理解したほど押しに押していた。身分が相当違うのでどうなることかと思ったが、神殿でミラが聖女と認定されたため、一気に問題がなくなった感じだ。そして今、父上と二人で仲良く諸国漫遊している。聖女なのにいいのかと言ったら「聖女だから回るのよ」と返された。まあきっとそういうゲームなのだろう。
サイラスは次期宰相として、ライルは次期近衛騎士団長として、ジャスティンは王室ご用達商人として、それぞれ修行をしている。しょっちゅう遊びに来ている感じだ。ここにきてようやく、それぞれ婚約者ができた。今まではミラに惚れていると思われていたらしく、縁談が来なかったそうだ。話していると砂糖吐きそうになるのでちょっと泣ける。
辺境にいるセリア様とケガをした人々はミラの光魔法でほとんど回復した。時間が経っていたので欠損したところは戻らなかったそうだが、よかった。
ウエイル公爵家は爵位を剥奪されて国外追放された。どうなったかは不明。噂では兄の影に殲滅されたらしい。まあ自業自得だな。俺の出番はなかったよ。
で、俺はと言うと……。
「こんにちは、ベルさん。今日はどんな依頼を受けますか?」
冒険者ギルドに登録し、魔術師として働いている。
たまにアーチーを手伝うこともあるが、王位を狙っていると変な噂を立てられたり担ぎ上げられたりされないよう、できるだけ王城にはいないようにしているのだ。
一番下のFランクから始めて、2年たった今ではBランクになっている。目標はAランク。稼いで国の財源に協力しているよ。
豊かな国になって、幸せに暮らしました、で終わるのが理想。
俺はこの国を愛しているのだ。
兄を愛している。
家族を愛している。
友を愛している。
これは真実の愛だよなと思う。
真実の愛を見つけたから婚約破棄、これはそんなよくある話。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
よくある設定なので逆に難しいですね。楽しく書かせていただきました。
書いているうちにどんどん変わってしまうのはよくあることですよね。
最初はベル君は国から旅立って他国でこっそりと冒険者をする予定でした。
ミラはベルとはくっつかないものの一緒に冒険者する予定だったのに(他国の王子様とラブラブする予定だったのに)おじさまとくっついてしまった。本人曰く「中身38歳なのに20の若造とくっつくなんてありえない」そうです。外見20なんだからいいじゃんなあ。
他の話を書いているのですが、そちらが煮詰まってしまっているので、こちらを長編で続けられたらいいなあと思ってます。その際はよろしくお願いします。
※ その後のお話をハイファンタジーカテゴリで書き始めました。(恋愛薄いので)
「真実の愛を見つけた王子のその後の生活」です。
https://ncode.syosetu.com/n6329fv/
タイトルそのまんまやん、ですが、よかったらこちらもどうぞ
※ 2019.11.2 ランキングに入りました!! ありがとうございます!
日間異世界〔恋愛〕ランキング 1位
日間ランキング 2位
※ 誤字報告で「王教育」を「帝王学の講義(授業)」とご指摘いただきました。
王妃教育と並べていたので王教育のほうがいいかと思っていましたが、違和感がありましたね。
「帝王学の授業」に修正します。ありがとうございました。