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悪役令嬢、おばあちゃんの知恵で大聖女に?! 〜『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件〜   作者: 小早川真寛
3章 聖女篇

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手作りスポーツドリンク~熱中症予防にはコレ!~

 一年を通して大きな気候の変化がないこの世界だが、工場の中に入ると熱気が肺の奥まで入り込んだかのように錯覚する。梅肉エキスだけでなく、フローラルウォーターの製造も本格化しているため仕方ないのかもしれない。心なしか工場で働く人々の顔には疲れと必死さが滲んで見えた。


 そんな異様な雰囲気に二人の小さな獣人の女子達は脅えたような表情を浮かべ、私の後ろに隠れる。


「大丈夫よ。ちょっと納期が迫っていて忙しいけど、みんな優しいから」


 ディランの営業効果か王都外でも、『梅肉エキス』を求める人が増えている。ただ王都外に出すためには商会の荷馬車に商品を載せなければいけないため、必然的に納期が発生するのだ。これまでは『作った分だけ稼げる』とのんびりした雰囲気の中で作業していたことを比べると、だいぶストレスになるに違いない。



 軽く殺気立っている作業場を横切り、教室スペースに彼女達を案内した。


「ここが教室。もう少ししたら昼休みになるから、授業も始まるわ。明日からは同じぐらいの時間に工場に来てちょうだいね」


「グレイスさん、その子達、誰?」


 既に席に座っていたリタが不思議そうに首を傾げる。人と動物の中間点に存在する獣人が存在しないわけではなかったが、この国では少数派の存在だ。


「新しいお友達よ。お姉ちゃんの方がパウラで、妹がモニカ」


「ふーーん。フワフワで可愛いね。よろしくね!」


 獣人の生徒が増えることで問題が起きないか心配したが、さすが子供だ。すんなりと受け入れている。


「リタ、今日はみんなにジュースを持ってきたから、注ぐのを手伝ってくれる?」


 私はそう言って抱えてきた大瓶を机の上に置く。


「何のジュース?元気でるの?」


「そう。これだけ熱いと汗かいちゃうでしょ」


「それなら水でよくない?」


 半透明の液体が入った瓶をリタは不思議そうに見つめる。


「汗って、ちょっとしょっぱいでしょ?体内から塩分も出ちゃうから、このジュースで塩分と糖分を補給するの」


「美味しいの?」


「ちょっと味見してみる?」


 私はリタ、パウラ、モニカに少しだけ手作りスポーツドリンクを飲ませた。


「美味しい!」


 三人は笑顔でスポーツドリンクを絶賛しつつ、もっと飲みたいというような表情を浮かべている。夏になるとおばあちゃんがよく作ってくれていたが、いつも「もう一杯飲みたいな……」という不思議な気持ちにさせられる味だった。


「でしょ?作り方は簡単なの。水に塩、レモン汁、砂糖を加えて混ぜるだけ」


・水:1リットル

・食塩:小さじ1/4

・レモン汁:大さじ2

・砂糖:大さじ7


 と梅干し同様、材料が少なくて簡単に作れるのが魅力だ。日本では熱中症対策にスポーツドリンクを飲むと糖分を摂取しすぎるため、身体に良くない……という意見もあったが、ここで働く人の大半が一日を通してほぼ砂糖を摂取していないので、ちょうどいいぐらいだ。


「明日から材料は用意するから、ここに来たらパウラ達が作ってくれるかな?作り終わったらリタがしているみたいに、みんなのコップに注いでおいてくれると嬉しいな」


 熱中症予防もあるが、必死で働く工場の人達を前に仕事がないのは逆に居心地が悪いだろうと思い用意しておいたのだ。案の定、簡単とはいえ仕事を与えられたことにパウラ達の表情はパッと明るくなった。


「ねぇ、グレイスさん、この酸っぱい感じって梅肉エキスでもいいんじゃない?」


 指についたスポーツドリンクをなめながら、リタは思案顔になる。


「よく気付いたわね。梅肉エキスの場合は、お湯で一度溶かしてから蜂蜜を加えて冷やして飲むのがオススメよ。ちょっと面倒だけど、熱さで体が疲れている時にはピッタリの飲み物なの」


 私は笑顔でリタの疑問に答える。ディランさんの授業は週に一回程度だが、それでも彼女達に大きな変化をもたらしているのかもしれない。


【参考文献】

月向農園の直売所:楽しみ方いろいろ(最終閲覧日:2019年05月22日)

https://minabe.net/ume/ekis_eat.html



【御礼】

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