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悪役令嬢、おばあちゃんの知恵で大聖女に?! 〜『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件〜   作者: 小早川真寛
1章 梅干し編

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梅番茶~二日酔いはコレで決まり!~

バックアップシステムがあることを発見し、誤って削除してしまったエピソードを追加しました。

「俺は絶対にそれは食べない」


 先ほどまで机に突っ伏すようにしてヘロヘロになっていたオリバーだが、梅干しを持ってくるとパッと起き上がって拒否する。


 梅干しができた日、彼らに試食してもらったのだが、驚くほど不評だった。梅干しを子供の頃から食べていない彼らからしてみれば確かに珍味なのかもしれない。口にはしないが、キースさんも一度食べて「こりごり」と言った表情だ。


「二日酔いには『梅茶』が一番ですの!」


 私はそう言って湯気の立つカップをオリバーの前に置く。


「これは、梅干し?」


 キースさんはカップを覗き込むようにして、そう尋ねる。


「梅干しを一~二個ティーカップに入れて、熱いお茶を注いでよくかき混ぜただけですわ。胃のむかつきや、吐き気が消えてスッキリしますのよ?」


 日本では『番茶』を使っていたが、祖母いわく「お茶ならなんでもいい」らしい。


「飲みやすいように蜂蜜も入れましたので……お飲みください」


「いや、俺はキースの魔法で治療してもらおうと……」


 その言葉を遮るように私はキッとオリバーを睨みつける。


「キース様の魔力に限度があると分かっていらっしゃって、そんなことをおっしゃるのですか?!」


 回復魔法には数種類があり、使い方を間違えなければ大半の病気やケガを治癒することができるといわれている。ただ一方で、その魔法を使うにも魔力が必要であり、一定以上の魔力を使うと神殿で回復するか魔力を回復する薬を飲まなければならない。勿論、自然に回復するのを待つこともできるが、そのためには半日以上休む必要がある。


「ちゃんと金は払うつもりだって」


 普通の病院で診察料を支払うのは、診察料だけではなく魔力を回復する薬代も含まれているのだ。だがここでは、診察料を払えない人が多いため、キースさんが『どうしても治癒しなければいけない人』を選んで回復魔法をかけているのが現状だ。


「これを飲めばタダで治るんです。飲んでください!!」


 診療所の立て直しのためにも無駄な魔力消費は控えて貰わなければならない。私のそんな気迫に押されたのか渋々といった様子でオリバーはカップを口元に運んだ。


「あ……意外に飲みやすいな」


 その味に安心したのか、二口目からはごくごくと勢いよく梅茶をオリバーは飲み干す。


「この梅干しは食うのか?」


「勿論です」


 飲み込むようにして梅を食べたオリバーだが、少しすると驚いたような表情を浮かべる。


「スッキリするな……」


「よかったですわ」


 転生前、両親が二日酔いで苦しんでいると困ったような表情を浮かべて祖母が『梅番茶』を出していた。何時も祖母に対して不平不満しか口にしない二人だったが、この時ばかりは素直になる瞬間でもあった。


「そういえば、オリバー様って何をされている方ですの?こんなになるまで飲まれて……お仕事に差しさわりはありませんの?」


「オリバーは騎士団で働いているんだ。今日は非番だから、昨日の夜、隊の連中と飲んだんだろ?」


「あぁ……」


 少し気まずそうにしているオリバーを見ると、今回のように二日酔いに悩みキースさんに泣きつくのは初めてではないのだろう。


「それでは、この梅干し一壺差し上げますわ。二日酔いの日には、ご利用ください」


 私がそう言って梅壺を差し出すと、オリバーは「いらん」と手で押し返す。


「元々、オリバー様がくださった梅で作ったものですもの。遠慮なさらないでくださいませね」


 と再び差し出そうとすると、キースさんが呆れたように笑いながら、それを優しく制止する。


「自分で作るのが面倒なんだと思うよ?」


「まぁ、呆れた。梅干しが作れたのはオリバー様のおかげですので、作って差し上げますけど……」


「ま、飲み過ぎるなよ。酒も飲み過ぎると体に悪いからな」


 そんな私達の言葉にオリバーはうるさいと言わんばかりに「あぁ」と短く返事をした。


【注意】

今回紹介した『梅番茶』による効能はあくまでも民間療法です。経験に基づいた知識であるため体質に合わない場合があります。体調に異変を感じた場合は、直ぐに使用を中止してください。


登場人物が一定の効果を感じておりますが個人の感想です。必ずしも効果を保証するものではありません。


【御礼】

沢山のブックマーク、評価ありがとうございます。大変励みになっております。


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