表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノビムに約束の花園を  作者: 山波斬破
ノビムの初めての願い
7/14

ノルンとノビムとノブフの花・6

スノーフラワー→ノブフの花に変更しました。

特にストーリーに影響はありません。

混乱させてしまい申し訳ございません。

これからも「ノビムに約束の花園を」をよろしくお願い致します。

 チットはここ最近の出来事をエナトと共に、思い返していた。ノビムはノブフの花を見ることを望んだ。喜ばしいことだ。



 4歳くらいの頃のことだっただろうか? ノビムが花を愛でなくなったのは。



 それ以前は他の女の子と同じように人形遊びやおままごとなど、エナトとよく遊んでいた記憶があった。



 最近の話をしていても、過去が蘇ってくる。記憶は不思議なものだ。



「懐かしい事ね? ふふ」



 エナトは笑顔で幸せそうだ。それだけでチットは自分も幸せになれるとその時、思った。



「あぁ、あの頃はエナトも元気だったな。体の不調も、そんなに無かった」



 そんなに急に、遊びの趣味は変わるものだろうか。そういえば、その日あたりからだったろうか。たまにだが、ノビムが地下を抜け出すようになったのは。



 なんてことを、エナトと心配したものだが、それがずっと続くと、少し気になる程度に変わっていった。



 そういう性格の子なのだろう、と。



 それに、只でさえ地下に閉じこもりきりならば、他の子供との関わりが断たれている状態なのだから。地下をたまに抜け出すくらいどうということは無い。他のものにバレなければ。



 その分、城の外の知識を少しでも教えてあげられればと〝本〟を与えたのだ。



 しかし、ノビムは女の子が好むような〝本〟を好きになることは無かったのだ。〝冒険〟やそれを読むのに必要な〝知識〟の詰まった本ばかり要求した。



「そのノビムが花をな……」



「あら、不思議でも何でもないわよ。私にはわかるわ? あの子の気持ちが何となくだけれど」



 エナトは顎に手を当てて、小首を傾げながら微笑む。ベットの上からしばらく動けていないが、その表情に悲嘆の色はない。



「女同士のわかり合える何かがあるのかな?」



 チットは少し不満そうに言葉を漏らしたが、そこに本気の色はない。いや、わからない事が少し残念そうではある。



「わからないのは、あなたが自由だからよ。そして強いから、かしらね」



「強いから? ますます、わからんぞ」



 眉根に皺がよるほどチットは悩み始め、腕を組んでそれきり押し黙ってしまった。



「ふふ、当たり前よ。だから、わからないんだもの」



 エナトは思う。どうしてこうも、自分は弱くなってしまったのか。ノビムとノルンを産んでからというもの、体調が優れないことが多かった。



 それが、去年からさらに悪くなってしまった。治らないほどの病ではないが、体調が(かんば)しくないことが続くと不安にもなってしまう。



「本当に、困ったものだわ?」



 エナトにとって、子供たちとの触れ合う機会が減るのは辛いことだった。いや、親の誰もがそう思うことだろう。特に成長が著しい時に立ち合えないのは苦渋の連続だろう。



「しかし、だ。話は変わるが、勇敢と無謀を履き違えないように、ノルンに伝えることが出来たか俺は不安でならないぞ」



「あら、あなたの息子なのよ? きっとわかっているわ。ノルンも、もう5歳なのよ? そろそろ、男の子らしい所もでてきて大人のノーブフへ近づく頃よ。成長はあっという間だわ」



 エナトは思い出す。ノルンはいつも、ノビムについて回るお姉ちゃんっ子だったことを。



「ノルンも、成長したのはわかる! しかし、しかしだ! ちと、寂しくもあるな」



「あらあら、親なんですもの。それは、当たり前よ。お義母様も、きっとあなたの事をそうやって見守っていたはずだわ?」



「む、ちょっと恥ずかしいな」



「お母さんっ子ですものね。あなたは」



「それを言われると、ちと辛い。が、事実だからなぁ」



 二人はまだまだ、語り足りなかった。時間はどれだけあっても足りないのである。子について語ることに、無駄な時間などない。



 そんな二人が語り合っている最中(さなか)に、ノルンとノビムが部屋からいなくなっていた。しかし、二人がそれを知るのは夜中になってからであった--。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ