オガトの記憶・2
すみません!
一応更新しますが、改稿をしますので
お許しを
『ノビム』は少年に成長していた。フェリルの縄張りも把握し、道具を使って罠を仕掛ける等の行動もできるくらいに、サバイバルにも慣れてきたのがわかる。
(こんな風に成長していくんだな。すごいものだな。生きるとは失敗と成長の連続だ)
『ノビム』はよく男に叱られた。やれ、気配が消せていない。それ、生き物の居た形跡を見抜けていない。叱られる理由は様々だ。いつしか『ノビム』は彼を父と呼んだ。
「父さん、今日はウサミドリの肉が食べられそうだよ。それにメネの実も採れた」
「そうか、そりゃ気分がいい。俺の方も盗賊を狩れたからな。オガトは飲めんが俺は酒を久しぶりに飲めるぞ」
「あ、ずりぃ。俺にもくれよ酒」
「ダメだね。おまえは味わって飲まねぇからあげる気にならん。それに未成年はダメなんだよアホったれ」
(これが、オガトの記憶か。ノーブフ領の外の世界はこんなにも過酷なんだな)
〝黒髪〟は町に入れてもらうことは出来ない。〝黒瞳〟は大丈夫なのに何故なのか〝黒髪〟の者は三者の考えにわかれた。一つ、それが慣わしならば従おうという者。一つ、いつか仕返しをしてやろうと考える者。一つ、自らを呪う者。
大きくわけて、この三つが〝黒髪〟の選ぶ道だとオガトは父に教わった。
「いいか、酒ってのは味わって呑むもんだ」
オガトに見せつけるように父は酒をちびちびと口にする。
「酒に弱いだけじゃん、父さんの場合」
「うっせぇ。お前がおかしいの!」
しっしっと父はオガトを追い払うような手つきをする。その目は笑っているが。
「ちぇっ、父さんだけいい思いしてさぁ」
「大人の特権ってやつだ。敬いな」
父はふんぞり返ったように、自慢顔である。
「うわぁ、ダメな大人だね。きっと」
オガトは両手を上げて処置なし、とばかりに呆れた表情で父を馬鹿にしている。二人の関係性が見えてきそうなやり取りである。
「お? やんのか?」
「上等だ!」
(この二人は仲がいいのか、悪いのかわからなくなるな)




