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第三世界で終わる君へ  作者: 尾張 東水
First Of The Year
5/16

1 2-1  bulleseye

二人の学生が店の前で騒いでいる。

「ラルド君、私チョコばなながいい。生クリーム増してほしい。」

カウンターから辛うじて頭が見える小さな栗色の少女は、ディスプレイの中にある、食品サンプルを覗き込みながら騒いでいる。

「生クリーム増やせますか?」

隣にいる癖毛の少年はため息交じりに財布から野口を取り出す。

「追加料金になりますが…。」

バイトの女性は栗色に戸惑いながら、営業スマイルで対応する。

「彼氏さんは何かご注文なさいますか?」

癖毛の少年にも一応メニュー表を差し出す。

「ラルド君彼氏だって、よかったね。彼女が私だよ、完璧だよ。」

栗色が少年に抱き着こうと両手を広げるも、少年は右手でその頭を押さえつける。

「ツナサラダ」

「何で甘いの食べないの!?」

少年はお釣りを受け取り、クレープの完成を待つ。

「何なの?クレープ屋来て、何で惣物頼むの?君は焼肉屋でビビンバ食べるの?バカなの?死ぬの?」

「甘いの苦手なこと知ってんだろ。ってか焼肉屋でビビンバは普通食うから。」

「でも、ここのキャベツは作画がいいね。」

「それはレタスだ。」

クレープの生地を鉄板に流しながら、店員は気付く。

単純な話だ。この二人が騒ぐと客が入らなくなる。

「鉄板の上でアイス作る奴あったよね。」

「今からクソ甘いの食うのに、何でアイスの話振るんだよ。」

「あれすごいよね、イチゴとかオレオとか砕いて混ぜるんだよ。」

「鉄板を親の敵みたいに叩きつけるんだろ。あのアイス地味に高いんだ・・・。」

「あっ!」

「「おっ!?」」

店員がアイスの話につられて、クレープにアイスを乗せてしまった。

チョコバナナの方だったなら別にいい。栗色は甘党というかともあり、寧ろサービスになっていた。

だが、店員がアイスを乗せたのは、ツナサラダの方だった。

「すいません、サービスでアイス乗せときますね。」

「お願いします!!」

栗色からの了解は得た。

チョコばななの方にもアイスをトッピングする。


「ありがとうございましたー。」

ドナドナ。

バニラツナサラダは出荷されていった。

二人の学生は町中に消えていく。


「甘っ、バニラこっちにも入ってんのかよ!」

「アヒャヒャヒャヒャ」

ラルドのしかめっ面に、秋は腹を抱えて爆笑する。




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