ゴブリン遭遇
闘技場に戻ってきた俺たちは一人の監督のもと町の外で
魔物を狩ることになっていた。
「私があなたたちの監督になったニーチェです、はじめ君はもう知っていると思うけどね。」
そこには見慣れた冒険者ギルドの受付ではじめの担当のニーチェさんがいた。
「え!?たしか監督はCランク以上の冒険者であるはずじゃ、、、」
一般的にギルド内でのランクはS~FまでありCランクからは上位の冒険者といわれ
難易度の高いクエストを受けられることになる。
しかしCランクになるためには大きな壁があり厳正な試験の元行われる。
この壁を越えられない冒険者たちがほとんどなのだ。
俗にいう一握りのエリートだけなのである
「とすると、、、、ニーチェさんはもしかしてギルドの受付をやりながら
Cランク冒険者ってこと?」
自分でも何言っているのかわからないが彼女がここに監督としているってことはつまり
そういうことなんだろう、
「ええ、治癒魔法の分野で他の人より優れた部分があってね。
まあいろいろとあって今の冒険者ギルドの受付をやっているんですけどね。」
彼女にはいろいろあったのかもしれない。なにか触れてはいけない気がしてその理由
は詳しく聞けなかった。
「そんなことより着きましたよ、ここがゴブリンの草原です。ゴブリンといえども
魔物ですから気を付けてくださいね。私はここで休憩しときますから。」
といって彼女は木陰にあった石の上に座り込んだ。
「やっと僕たちの出番が来たね!」
ペルセウスは非常に上機嫌そうだ。騎士学校で習ってきた成果を試したいのだろう。
「私の魔法をみせてあげるわ。ということではじめとペルセウスは前衛で
ゴブリンの動きを止めてね。」
とミトンは嬉しそうに杖を振っていた。
「来た」
ペルセウスがそうつぶやくと1.5mのゴブリンが走って近づいてきている。
ゴブリンの手には自身の半分ぐらいあるだろう大きさのこん棒が握られている。
恐怖で足がすくむ、こんな相手に本当に勝てるのか、ケガはしないのかと
「はじめっ!!」
敵が来てもいまいち反応ができてないことを警告するようにペルセウスは叫ぶ。
ゴブリンに対して彼女の剣が対峙する。
こん棒に対し流れるような剣さばきで受け流しそのままとどめをさした。
「はぁ、はぁ。つかれたー」
「って何やってんの私がとどめを刺すって言ってたじゃない」
「ごめんごめん、ちょっと訓練でのとどめを刺す癖がでちゃった」
ミトンはペルセウスがとどめを刺したことに不満があるようだ。
そしてミトンはこちらに向き笑みを浮かべた
「足が止まってたけどハジメもしかして怖かったんじゃないの」
と、ミトンはからかう
「な、こ、怖いとか思ってねーしただペルセウスの力量みてただけだし。」
くそ、いや全然怖くなかったんだよ、うん、あんな魔物の中で最弱とされる
ゴブリンに対して恐怖など、、、、うんしてました。ごめんなさい。
日本にいたときはこうした命のやり取りとは縁がなく平凡な人生?を送ってきた
俺にゴブリンと対峙するのは結構なハードルだと思う、いやマジで
「ほんとに?」
「お、おう。こんな雑魚俺が一人で倒したるわ。」
「はじめ、無理しなくていいんだからね。」
と、ペルセウスがまじめに心配してくれる。ハジメの近くにいたぶんハジメの
言葉はただの虚勢だと感づいていたのかもしれない。
「おう大丈夫だから任せろ。」
大丈夫相手は雑魚だ、こんなところでかっこ悪いところを見せるわけにはいかねえ
すると、遠くにいるゴブリンと目が合う、、『え、ちょっと待って。』と心とは裏腹に
ゴブリンは全速力でこちらに向かってくる。
鉄の剣を抜刀しゴブリンに振りかぶる。剣術の習ったことのない大ぶりなハジメの
初撃はたやすくかわされゴブリンのこん棒の餌食となる。
とっさにガードした左腕からから鈍痛が走る。
「痛っ。」
怪我をするのを覚悟のうえ挑んだハジメだったが痛みの大きさに改めて実感する。