協力者
宮沢と雑談をしていると、部屋にノックの音が響いた。どうやら宮沢が呼んだ相手が到着したらしい。
宮沢が「入ってきていいわよ」というとガチャリとドアが開いた。
ドアの向こうにいたのは、ふわふわした可愛らしい女の子だった。肩までの栗色の髪はふんわりと巻かれており、可愛いワンピースが良く似合っている。
しかし俺はどこか違和感を感じて首を傾げた。
その女の子は事務所内をきょろきょろと見渡した後、宮沢を見てプクーっと頬を膨らました。
「酷い宮沢先輩! 名取さんいないじゃないですか!」
「いるなんて言ってないじゃない」
「名取さんの役にたてるって言った!!」
「そりゃ今回の依頼、名取さんの紹介だから。解決したらちゃーんと名取さんの役にたてるわよ」
「絶対ですね? 絶対解決したらヒロが名取さんのためにがんばったおかげだって伝えてくださいね??」
「はいはい」
話が一段落したところで、女の子のぱっちりとした大きな目が俺を見た。
「そちらはどなた?」
「新入りよ。今回の依頼で女装することになったの。女装経験はあるから服と化粧道具だけ貸してもらえればいいわ」
「誤解される気しかしない説明やめような?」
宮沢の端的な説明に、女の子は何とも言えない表情になった。あの顔は、俺が女装趣味だと誤解している顔だ。
「神崎和泉だ。宮沢先輩ってことは後輩か? とりあえず俺は元演劇部ってだけで女装趣味ではないからな?」
「あ、ああ、そうなんですね。初めまして。八千草宏明です。よろしくお願いします、神崎先輩」
「おー、よろしく。別に先輩とか敬語とか気にしなくていい……ぞ? ん? 宏明ちゃん?」
「心は乙女の宏明くんよ」
「ああ! なるほど、なんか違和感あるなーって思ってたらそういうことか! あーすっきりした」
俺が1人納得していると、宮沢と宏ちゃんはきょとんとした後、2人して不満そうな顔になった。
「はぁ~~~、相変わらず良く気が付くことで! 八千草に騙されてデレデレになったとこでネタばらししてからかってやろうと思ってたのに」
「いや、たとえ女の子だったとしてもデレデレとかしねーよ? 俺のことなんだと思ってんの??」
「む~~~納得いかない! 違和感って何ですか? 大抵の男は騙されてちやほやしてくれるんですよ?」
「あー……ただなんとなーく違和感を感じただけだから何がどうとかじゃないんだよな」
「む~~~」
「心配しなくても、ちゃんと可愛いとは思うぞ?」
「ならいいです」
うまく説明できなかったことをもっと追及されるかと思ったが、意外にもあっさりと納得してくれてほっとした。意外にさっぱりとした性格なようだ。
「じゃあちゃちゃっとやっちゃいますか!」
笑顔の宏ちゃんに促され、俺は顔が引きつりながらも覚悟を決めて頷いた。




