3話 神崎さん 街に着く
「ヒュー、流石アリカちゃんの極大魔法だぜ。サラマンダー共がみんな消し炭になってるぜ!」
「そんなにおだてないでほしいの〜」
「いえいえ、お世辞ではなく、純粋に素晴らしいと思うであります。」
そんな会話をしながら3人の男女が歩いてくる。
まず目に付くのは背の高く体格のよい男である。全身に鎧をまとって、背中には2mほどの大剣を担いでいる。他の2人を率いているようなのでリーダー格のようだ。
その横には黒いローブを着た小柄な女性がいる。18歳くらいの見た目であろうか、手には杖を持っている。
最後の一人は眼鏡をかけた青年で身軽そうな軽装である。喋り方からしてマジメそうな性格なのだろう。
「よーし、これでクエスト完了だぜ。マルス、証拠はちゃんととったか?」
「ばっちりであります。しっかり『フォト』の魔法で記録できています。」
「じゃあ、ギルドに帰るぞー!」
「やっと帰れるのね〜!!早く帰ってシャワー浴びたいわ!」
「確かに疲れたでありますな。なぜか昨日はサラマンダーたちが警戒して、囮装置に近づいてくれませんでしたからね。」
「ああ、理由は分からんが何かに怯えているようだったな。一応、ギルドに報告しとくか…」
「そういえば知ってる?ギルドの横のレストランにね新メニューで来たんだって…」
周りを少し警戒しながらも雑談しながら3人は引き返して行った…
やあ、神崎 勇人だ。この世界には地球と同じく人間がいるようだ。しかも、言葉まで同じようだ。
だとすると、ここは別の惑星というより、パラレルワールドみたいな感じなのか?
そんな感じで色々考えながら、今俺はなにしているのかと言うと…
雑談しているその三人の後ろを付けているところだ。(もちろん、透明化している)
イヤ、別にストーカーとかそういうのじゃない。ただ、こいつらに着いて行けば、街に着くと考えただけだ。
それにしても、あれはなんだったんだ…?
数分前…
「極大魔法『プロミネンス』発動です‼︎」
その声が聞こえた瞬間、このサラマンダー?って言うらしい獣たちの頭上に巨大な火の玉が現れ、そして、落ちてきた。
その瞬間、俺は『擬態』を解除して、本気で横に向かって飛んだ。
そして、ギリギリ火の玉の直撃を避けたわけだ…
いや、危なかった…あれはまともにくらったら再生できないレベルまで焼かれて死ぬところだった…
話は変わるが 、久しぶりに擬態を解除したな…
擬態の解除というのは人間の姿を解いて、元の姿に戻ることだ。
元の姿に戻れば、人間の姿の時よりも数倍身体能力が上がる、いうなれば奥の手ってやつだ。
ただ、あんまり元の姿にはもどりたくはないんだよな…
だって…
よくある宇宙人のイメージであるグレイ型に長い尻尾の生えた姿なんだよなぁ…
なんと言うか、自分の姿なんだけど…ダサいんだよ‼︎
俺の故郷でも、みんな基本擬態して暮らしてたよ⁉︎人間でいう裸と一緒だよ⁈
透明化があって本当に良かった…
さて、話を戻そう…
あのアリカとかいう女が呪文?らしきものを唱えて火の玉を出したようだな…
あの三人の会話を聞く限り、この世界には魔法があるらしい…
しかも、ギルドという施設にいくらしい。
好都合だな…そこで情報を集めるとするか…
あれ…?あいつら何処へ行った…?
「よし、みんな準備できたか〜?」
リーダー格の男の声が聞こえ、振り返ると…
三人とも馬に乗っていた…
「じゃあ、出発するぞ〜」
ヒヒ〜ン!!
・・・どうやら街までかなり距離があるようだ。
5時間後…
「ふ〜、やっと着いたぜ。俺はギルドに報告しにいくから、マルスは一緒に来いよ。アリカちゃんはここで解散してくれていいぜ。」
「了解であります。」「了解〜」
俺の目の前には予想よりもはるかに大きな都市がひろがっていた。
「ゼー・・・ゼー・・・息が・・・」
五時間もの間、馬と同じ速さで走ってきた俺は道の端で息切れしていた・・・
街の中を散策するのは明日にしよう・・・
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