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第六章

GM じゃあ、翌朝になりました。

 (メルトたちの行動を聞いて)……この二人が朝の7時に起床って珍しいよね(笑)。では、そんなメルトにステラから一言。

  /ステラ 「昨夜はお楽しみでしたね(にっこり)」

メルト だから、ちっげーよ!!(一同笑)

GM/ステラ 「宿屋のマスターなら、一度は言ってみたい台詞なのに(笑)」


 *そこから、アリエールのデートを視野に入れながら念入りに行動を決める。


メルト 朝一番にシマの中立地帯に行って、『怪力無双の腕自慢』にカチコミに行くぜ!

マリー ……ま、情報を得るなら早いうちがいいし、仕方がないねぇ(苦笑)。

メルト よし、善(?)は急げだ。

GM/ステラ 「(そんな二人に)いってらっしゃい~♪」と笑顔で見送ってくれる。

 


 


GM 『怪力無双の腕自慢』に8100Gを払わずに、戦闘を仕掛けるんだね?

二人 (臨戦態勢で)もちろん!

GM/怪力無双(以下、怪力) 「あ、朝からいったいなんなんだ、こいつらはぁぁぁぁぁ!?」(笑)


 *《運命変転》を使用して、先制判定に勝利する。しかし、メルトの《ファストアクション》の一回目の攻撃を避けられ、勝負はつかないように見えたが……。


マリー 近づいて、《投げ攻撃》。

GM/怪力 《カウンター》を宣言! ここで、転ばされたら勝負にならない。

マリー (ころころ)……命中して、威力表で二度も回ったわね(笑)。36点ダメージ。

GM/怪力 「(HPを計算して)ら、らめぇぇぇぇぇ!!? 1ラウンドも持たないぃぃぃ!?」

マリー (ころころ)さらに、《踏みつけ》で14点ダメージ。

GM/怪力 「ぐふっ……ま、まいりました」と倒れる(一同喝采)。

マリー (髪をかきあげて、余裕の笑みで)“腕自慢”も大したことはなかったわね。

GM ――YOU WIN! では、こいつからの情報はこんな感じです。

 


 


「最近の人身売買は、このエリアで昼の12時~16時と夜の22時~1時の2回行われている。それに、売られる商品は色々な地区から集めてきたものらしく、中には“シルバーフォックス”の上級区からさらってきた人族も混じっているってんだから驚きだぜ」

 


 


メルト (舌打ちをして)そこまで入り込んでいたか……。

GM/怪力 「会場の護衛には雇った何人かの蛮族がいるようだが、中には“猟団”らしきメンバーも出入りしているようだ。それと、近頃は入場時にかなりのチェックされるんだが……」と、ここで詳しい会場場所を教えてくれる。

 「こいつを持っていれば、中に簡単に入ることができる」と一枚のカードを渡してくる。

メルト こいつは……?

GM 人身売買の会場に入る時のフリーパスみたいなものです。これがない場合は、お金を払ったりと色々と面倒なことになる。ってところで、怪力無双は気絶します(笑)。


(マリー ……かなり状況が進展したわね)

GM 時間内にシマの中立地帯に来て宣言すれば、いつでも人身売買の会場に入れる。ちなみに、今は朝9時です。

(マリー 少し今日の予定を見直した方がいいわね?)

(メルト だよなぁ。アリエールのデートを、すっぽかす訳にもいかないしな(笑))

(マリー 12時にここへ来ると、そのままシナリオ終了もありえるわね(苦笑))

一同 (一人待ち続けるアリエールを想像してみた)……最低野郎だな、メルトっ!!!


 *この辺りの話をしながら、GMは内心でドキドキしていた。なにせ、メルトたちは、最短ルートでここまでたどり着いている。ゆえに、ここで選択する行動によって、シナリオの展開は大きく変わることになるからだ。

 そして、メルトたちの選んだ行動は――――


GM (二人の行動を聞いて)……じゃあ、マリーは“シルバーフォックス”に行って、ザインへ報告をしに。メルトは市場で戦利品を換金した後に、“朝露の薔薇亭”へ戻るってことでいいかな?

二人 (頷いて)OK。


 *そして、二人は市場で別れる。マリーはザインとは出目が悪く会えず、メルトは換金を終えた後、“朝露の薔薇亭”まで戻ってきた。


GM/ステラ 「あら、お帰りなさいメルト。随分と早いわね?」

メルト ああ、ちょっと時間が空いたから戻ってきたんだよ。

GM/ステラ 「そう言えばユリちゃん、今日も来ているわよ。(歌うように)だーれかさんはモテモテねぇ♪ モテ期ねぇ♪」(一同笑)

メルト まさかのモテ期、到来!? って、そういうのはいいから(笑)。

GM そんな所で、ユリフィーユが嬉しそうに駆け寄ってくる。

  /ユリ 「あ、メルトさん。こんにちはっ♪」

メルト ああ、こんにちは。でも、ユリちゃんはどうしたのかな? 昨日も来てたし、どうしてこんなお店(ステラ:こんなお店で悪かったわね!)にいるのかな……?

GM/ユリ 「え、あ……と。その、ここのご飯が美味しいし、ステラさんとのお話も楽しいから。(ごにょごにょと小声で)メルトさんもいるし……(もじもじ)」

メルト (聞こえないふりをして)そ、そうか。確かに、飯はうまいよなぁ。

GM/ステラ 「うわー、この子可愛いわぁ。こんなウェイトレス欲しい~」

メルト なんなら、雇ってやればいいじゃないか。いつも、人手不足だって言ってるだろ?

GM/ステラ 「あら、メルトにしては名案ね♪ ふむふむ……(急に棒読みで)あー、困っちゃったわー。実は、夕食に使う香辛料と食材が足りないのよ~」

メルト ……。

GM/ステラ&ユリ 「そこで、ユリちゃん」「は、はいっ」「ちょっと市場まで買い物頼まれてくれないかな?」「え、あ、はい。それぐらいなら全然構いませんけど」

  /ステラ 「これがまた、結構量があるのよ~。誰か、荷物持ちとかしてくれないかなぁ? かなー?」とメルトをしっかり見ます(笑)。

メルト (肩をすくめて)それぐらいなら構わないさ。昼間だからと言って、可愛い女の子一人も危ないしな。……買い物、俺も付き合うよ。

GM/ユリ 「ほ、本当ですか!?」と、ぱーっと嬉しそうな顔になる。

メルト (時間を確かめながら)――よし、これならデートのダブルブッキングはしない。行けるっ!(一同爆笑)

 


 


 メルトローズたちは人通りの多い市場を歩きながら、ステラから渡されたメモ通りの買い物をしていく。

 最初の頃は、緊張をしているのかユリフィーユは全然しゃべらなかった。そんな彼女にメルトローズは街であった面白い話をしたり、くだらない冗談を飛ばしていた。

 その内、ユリフィーユは堪えられなくなり笑い出す。そして、メルトローズも笑う。

 いつしか自然と二人は話をするようになっていた。

 


 


GM そして、いくつか話す内に、話題はユリフィーユ自身の話になっているね。

 


 


「最初はこの街に来た時に、驚いたし怖かったんです。外に出るのも怖くて……。

 前にいた町はみんないい人ばっかりだったんです。隣に住んでいる人に挨拶して、争いごとも本当になくて。

 でも、この街は――――」

 


 


GM/ユリ 「ここに来たばかりの頃は、あの家に引き籠っていました。ほんと、情けないですよね……(少し泣きそうな顔)」

メルト (優しげに)そんなことはないさ。

 確かにさ、外から見れば口げんか、(いさか)いの絶えない街かもしれない。だけど、それは俺たちも言いたいことを言ってもいいってことでもあるんだぜ?

GM/ユリ 「メルトさんは、素敵なことをおっしゃるんですね。……今なら、少しだけ分かる気がします」

メルト 「なんか、照れるな……」ま、内心では綺麗事だと分かっているが(苦笑)。

GM/ユリ 「でも、わたしはそこまで分かりませんでした。ただ、あの家にはお父さんとわたししかいないんです。だから、この街に来て大変な思いをしているお父さん一人に頑張らせるわけにはいかなくて」

メルト そっか……。

GM/ユリ 「だから、少しずつ、家の外に出れるようになって。買い物ぐらいならなんとか一人で行けるようになれたんです……でも、そんな時にあんなことがあって――――」

メルト ……それがあの夜、か。

GM/ユリ 「もしも、あの日。メルトさんが助けてくれなければ……わたしはもうダメだったんだと思います。

 だから、メルトさんのおかげで、この街を少しだけ好きになれました。この街で頑張ろうって思えました。本当に、本当にありがとうございますっ」

メルト それなら、助けて良かったよ。

GM/ユリ 「……うちは、本当はお金なんて全然ないんです。あの家だって、本当はすごく無理をして借りているんですよ。

 借金だってあるのに、新しい場所での商売には、やはり見栄えがいるとかで」

メルト ああ、舞台づくりとかそういうことなのか。

GM/ユリ 「だから、家の調度品とかも、お客さんを通す場所しかちゃんとしたのがないんですよ」だから、ユリフィーユの服装も普段は質素なものばかりです。

メルト そっか。まあ、すごく重たい話なんだが……。でも、そういう話を聞くと、ユリのことを身近に感じるよな(爽やかな微笑み)。

GM/ユリ 「あ……す、すみません。メルトさんがいると、つい色々なことを話したくなっちゃって」

メルト 嬉しいこと言ってくれるねぇ。(空気を変えるように明るい声で)よしっ! お兄さんが欲しいものなんでも買ってあげるぞ!

GM/ユリ 「え。で、でもそんな悪いですし……」

メルト いやいや、さっきも話しただろ。言いたいことを言ってもいいってさ。

GM/ユリ 「でも……」と少し逡巡する。

 「あ、だったら……」と露天で売っている安物のブローチを指して。「き、記念にこれ欲しい、です」

メルト そんなんでいいの? じゃあ、これもらうよ(と、露天商に金を払う)。

GM/ユリ 「あの……これ、宝物にしますっ」と大切そうにそのブローチを握りしめる。

 


 


 本当に嬉しそうな顔をするユリフィーユを眺めながら、ふと思い出す。


あいつ(・・・)も生きていたら、これぐらい年なんだよな……)


 取りこぼした過去。

 忘れられない、忘れたい過去――――

 


 


GM/ユリ そんなメルトに対して、まっすぐな笑顔で聞いてくる。「ねえ、メルトさん」

メルト (笑顔で)ん、なに?

GM/ユリ 「メルトさんは、この街が好きですか?」

メルト ――――俺は(空を仰ぎ見る)。

 


 


「よく分かんない、かな? 俺はここでしか生きていけないから」


 だから、メルトローズはからっぽの笑顔を作る。

 


 


 そこから、事件は終わりへと収束していく。

 ユリフィーユと買い物を済ませた後、アリエールとおちゃらけたデートをする。

 そして、陽が暮れる頃には、人身売買の情報を聞くためにアーディリアと会うメルトローズの姿がこの街にあった。

 彼女たちの前のメルトローズは笑って、喜んで、お道化(どけ)ている姿しか見せないのであった――――

 


 

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