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第三章

「わたし――――お兄ちゃんと一緒に生きたかったよ……」

 幼い少女が涙をこぼしながら、メルトローズに悲しげな微笑みを浮かべる。


 そして……――――


 ……。

 …………。

 目を開けると陽の光は、空のかなり高い所まで来ていた。

 二日酔いの頭で、ぼんやりとメルトローズはベッドの上で状況を確かめる。


(懐かしい……昔の夢か。久しぶりに見た気がする――――)

 


 


GM メルトは、“朝露の薔薇亭”で基本的に寝泊まりしているんだよね? マリーは?

(マリー あたし? あたしは、自宅持ち。だから、酔っぱらって家に帰ったら、特注で作ったバスタブに浸かるのが日課よ)

GM なんかエルフっぽい……のかな?(笑)

(メルト まあ、昨日は店に戻ってから、さんざん飲んだからなぁ……)


GM “朝露の薔薇亭”でメルトとマリーが、遅い朝飯か早めの昼飯を食べている時に、ユリフィーユと父親のラッセル・サヴェイが訪ねてくる。

 ちなみに、ラッセルは頼りないけど、人の良さそうなおじさんだね。

マリー わざわざ、訪ねてくるなんて……ねぇ、坊や。まさか、送った時になにかやらしいことでもしでかした?

メルト いやいや、メルトさん。ちょー紳士だからそんなことしないぜ?

マリー (ため息をついて)……ああ、そう。

GM/ラッセル・サヴェイ 「(メルトたちに自己紹介をした後)昨日は、娘のユリを助けていただいてありがとうございました。ユリにはあれほど知らない道は入るなって言っておいたのに」と、ぺこぺこと頭を下げる。

メルト (なぜか紳士風に)はっはっは。いやいや、お父さん。そんな頭下げないでください。ユリさんが大事に至らなくてよかったですよ。

 この街は「(悪党声で)カワイイのが、いけないんダー!」というのがまかり通る所ですから、気をつけないと。

GM/ラッセル 「確かにそうかもしれません。ただ、そんな街だとしても、皆さんのような方に巡り合えたことを感謝しますよ。

 ……それに、ユリがもう一度お会いたいようでして」

メルト (まんざらでもない様子で)おや、そいつは嬉しいこと言ってくれるじゃないですか。

GM/サヴェイ親子 「(顔を赤くして)お、お父さんっ」「なんだか、照れているみたいでして」「お父さんっ!!(赤面)」「あはは。可愛い娘でして」「……もうっ(ふくれっ面)」

マリー (呆れ気味に)場違いなほどに、仲のいい親子って感じね……。

メルト そう言えば、ラッセルさんは最近この街に来たって聞きましたが?

GM/ラッセル 「ええ。なにせ、ナインテイルにはいくつもの魔剣の迷宮もありますから、商品には事欠きません。……前は色々とありましたが、おかげさまで僕みたいな商人でもなんとかやっていけてますよ」

マリー 確かに、ここは一攫千金も夢じゃないからねぇ。

 


 


 そんな話をしていると、扉に付けられた鈴が響き渡る。

 そして、ステラが営業用の笑顔を向けた先には、メルトローズたちのよく知る顔がそこにあった――――

 


 


GM 外見は、日焼けした肌に白髪・白髭。体格のいい老紳士で、名前はザイン。“シルバーフォックス”の幹部で、ステラの身請け人でもある。

  /ザイン 「よぉ、邪魔するぞ」

メルト ザインのおっさんか。

GM/ステラ 「いらっしゃい、ザイン」

  /ザイン 「おお、ステラは相変わらず若くて美人だな!」

  /ステラ&ザイン 「(くすりと笑って)ザインは日に日に白髪が増えていくわね」「なぁに、ハゲないだけいいだろう。わっはっは」

マリー ……あんたたちも相変わらず、仲いいわね。

GM/ザイン 「むぅ……マリーも相変わらずけしからん胸をしているな。冒険者をやめて“碧の森”で働きたくなったら、いつでも言ってくれ。お前ならナンバーワンも充分狙えるぞ」

マリー (すげなく)悪いけど、性にあわないね。

GM/ザイン 「やれやれ、あっけなくフラれちまった。

 ついでにメルトも、そのツラを活かして男娼になりたかったら言ってくれ。なに、お前は黙っていればかっこいい――つまり、残念系イケメンなわけだが」

一同 残念系イケメン!?(笑) 

GM/ザイン 「……まあ、なんとかなるだろ(投げやり)」

メルト 俺だけ扱いがぞんざいだな、おい!?(笑)

マリー (メルトを無視して)……で、ザインはなにか用なのかい?

GM/ザイン 「ああ、実はお前らに用事があってな」と言いかけた所で、サヴェイ親子に目を向ける。

 その視線にラッセルが気づいて、“シルバーフォックス”の幹部であるザインに挨拶をして。「それでは、僕たちはこれから用事がありますし、この辺りで退室させていただきますよ」と空気を読んだのか、去っていこうとする。

  /ユリ 「メルトさん……昨日はありがとうございました」と、はにかむような笑みを浮かべて父親の後についていく。

メルト ああ、それじゃあね、ユリちゃん。

GM/ユリ 「(笑顔で振りかえって)はいっ。それでは、また」という感じで、サヴェイ親子はいなくなる。

マリー …………あの分じゃ、また来るね(ジト目)。

メルト ま、俺には、彼女の行動をどうこうできる権利はないさ。

GM/ザイン 「ナイスハンサムだな、メルト(サムズアップ)。

 さて、そんなイカすお前らに、今日は俺が飯をおごってやる。奥の部屋で、ゆっくり食おうじゃないか」

メルト おいおい、そいつは裏があるって言っているようなもんじゃないか。今度はいったいどんな厄介事だ?(苦笑)

GM/ザイン 「なぁに、大した話じゃねーよ。ステラ、適当に酒と食い物を持ってきてくれ」というのに対して、厨房へ入ったステラが「はいはーい」と返事をしてくる。

マリー ま、酒も飲めて、仕事も受けられるならいいじゃないか(と、席を立ちあがる)。

メルト それもそうか。……懐もだいぶ寂しくなってきたし、な――――

GM では、君らは“朝露の薔薇亭”にある奥の部屋に行く。言わなくても分かると思うけど、その部屋は聞かれたくない依頼の話などをするために設けられたものだ。

 


 


GM ザインは席に着くなり、ニヤリと笑って。

  /ザイン 「どーせ、お前ら。仕事も迷宮探索もせず、今暇してるんだろ?」

マリー 迷宮探索なんて面倒なこと、率先してやりたくはないねぇ。

GM/ザイン 「おいおい、お前ら仮にも“冒険者”だろ?(苦笑)

 ――――ま、そういうお前らだからこその依頼さ。ちょいと“シルバーフォックス”のことで頼まれてくれないか?」

マリー それは話を聞かなきゃ、あたしらも判断できないねぇ。

GM/ザイン 「それもそうだな。――最近、この界隈で“シルバーフォックス”の関与していない人身売買が行われているらしい。そいつの調査だ」

メルト ……やれやれ。人身売買とは、また面倒な代物だな。

GM/ザイン 「解決してくれれば、一人2万Gは出す。……最悪、情報だけでもいい。その時は内容次第だが、多くて5千ってところだ。どうだ、引き受けてみるか?」ちなみに、相場からだと倍以上の報酬だね。但し、成功報酬のみで前金などは一切ない。

マリー 少しばかり退屈もしていたし、あたしは引き受けるわ。それで、坊やはどうする?

メルト ま、ザインのおっさんが直々に来てのご依頼だ。断れねーな。

GM/ザイン 「助かるぜ、二人とも。じゃあ、詳しい内容だ――――

 ここ最近、浮浪者を含め行方不明者が何人か出ている。それと合わせて、ここの歓楽通りの娼婦が引き抜きにあっているようだ。最初は逃げ出したかと思ったんだが、追跡がうまくいかない。少なくとも、手引きをしている連中がいる」

マリー 心当たりは、あるのかい?

GM/ザイン 「さあな。だがな――この地区で“シルバーフォックス”をなめた行為をした連中には、きちんと指導してやらんとな」と凄みのある笑みを浮かべる。

一同 ……。

GM/ザイン 「それと、こいつは俺のカンだが。この2、3日でなにか大きな動きがあると見ている。だから、信頼もできて腕の立つお前らにも動いてもらって、短期間でカタをつけるつもりだ」

マリー ……なるほど、分かったよ。さて、さっそく取り掛かるかね。

GM/ザイン 「ああ、それと。“猟団(りょだん)”の連中が動いているという話もある。気をつけろよ」――“猟団”とは、金次第で殺しを請け負うフリーの暗殺者ギルドのことだ。

メルト そうか、あいつらが……。


 *メルトローズは『元殺し屋』という設定です。


GM/ザイン 「ま、ともかく事件解決に向けて」とグラスを掲げる。

三人 「「「乾杯」」」

GM …………そうそう。食事をしながら雑談の中で、こんな話も出る。

  /ザイン 「もしも、金が入用になったら“シルバーフォックス”に言ってくれ。いつでも、貸してやるぜ(ニヤリ)」

マリー それはあんまり、借りたくないねぇ(苦笑)

メルト まったく同感だ(相鎚)。

 


 

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