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第二章

 うっすらと甘い香りがする歓楽通り。

 まだこの通りの夜は始まったばかりで、賑わいを見せ始めている時間帯である。


 その大通りの中でも、ひときわ目立つ建物である高級娼館“(みどり)の森”――冒険者の宿“朝露の薔薇亭”の女マスターが昔いた娼館でもある。その入り口の前に、肌も露わな薄着の二人の美しい少女が立っていた。

 ただ、身に付けた『銀狐印の首輪』から少女たちが“シルバーフォックス”の所有物であることを表している。


 そして、その一人がメルトローズと目が合うと、ふわっと微笑む。

 


 


メルト (ぎこちなく笑みを返しながら)く、なんだ? このデートしている最中に、知り合いに会ってしまったような、いたたまれない感じは!?(笑)

GM では、少し垂れ目でおっとりとした印象を与える美少女が、反応の薄いメルトに対してアピールするために大きく手を振る。

メルト 「(ユリに)あ、ちょっとした知り合いなんだ」と小さく手を振り返す。

GM/娼婦の少女 「メルトだっ! やっほー♪ おーいっ」まだ反応が小さいので、今度はぴょんぴょんと跳びながら手を振る(笑)。

メルト 「(ユリの視線を感じて)あー、あいつも落ち着いて欲しいなー。あははー(軽薄な笑み&なんか汗)」……もう諦めて、話しかけるか。「はーい、メルトさんですよー」

 


 


 太陽のような明るい笑顔で声をかけてきたのが、この娼館“碧の森”で売上の1、2位のアーディリア。そして、月が照らすような柔らかな会釈をしてきたのがアリエール。アーディリアと売上が並ぶ、もう一人である。

 そんな二人がなぜか客引きをするわけでもなく、店前でおしゃべりに興じているようだった。

 


 


メルト どうしちゃったの、このかき入れ時に?

GM/アーディリア 「今日はなんかどこかのお金持ちさんがあたしたち二人を指名してくれたので、ここでお出迎えちゅーなんだよー♪」

メルト (うんうんと頷いて)そうかー、お出迎え中かー。

GM/アリエール 「メルトさま。こんばんは、ご機嫌はいかがですか?」

メルト あー、ぼちぼちだな。二人の方は、元気そうだな。

GM/アリエール 「ええ、身体が資本のお仕事ですから(柔らかな微笑み)」

メルト (優しく微笑んで)……そうか。

GM/アーディリア 「(ユリに気づいて)あれぇ? 横にいるのマリー姐さんじゃない! えー、誰だれ?」

メルト ん、ああ、友達。そう友達なんだ。

GM/アーディリア 「(まともに聞いていない)むー? メルトの恋人? つきあったりしてんの? ねえねえ?」と顔を寄せてくる。

メルト だから、友達だって(苦笑)。

GM/アリエール&アーディリア 「――はいはい、アーディリアもあんまり詮索しないの。大事なお客様がそろそろ来るんだから、きちんとしていなさい」「ぶーっ。はーい、分かりましたよぉー。まったく、アリエールは真面目だなぁ」

 ちなみに、ゆるふわ系のアーディリアはナイトメア、丁寧な口調のアリエールは人間。二人は姉妹のように仲がいいことで知られている。


(マリー ……なにか色々とありそうな二人ね)

GM まあ、この街の象徴みたいな職業の一つだからね。PCはもちろん、この街の住民は色々な事情があって生きているんだよ。


GM/アリエール 「メルトさま、いつでもお越しください。御指名していただいた際にはサービスさせていただきますよ(にっこり)」

メルト いや、そんな常連客みたいな感じ……じゃないよね、俺?

GM/アリエール 「(やっぱり聞いていない)あ、うー……そか。メルト、またねー。いつでも遊びに来てよ♪」

メルト “また”って、だから……。(ため息をついて)分かった分かった。今度、なんか土産でも持ってくから。

GM/アーディリア 「わーい、メルトありがとー、大好き(ハート) 待ってるね♪」と娼婦二人に見送られて、この歓楽通りを通り抜けていくメルトたちであった。

 ……ちなみに、アーディリアたちとは“シルバーフォックス”絡みの仕事で知り合っただけで、メルトが常連客かどうかはGMも知らない(笑)。

 


 


 娼婦の中でもアーディリアとアリエールの二人は稼げている分、かなりマシな部類だ。

 ナインテイルでの娼婦の末路はひどいもので、夢も希望ない彼女たちはいつしか病気にかかったり、薬に溺れてカビ臭い部屋で死んでいく者たちが多い――――

 


 


GM 力がない者のお金を稼ぐ方法は、この街では限られている。だから、ステラのように身請けでもされない限りは、誰かの所有物であるあの首輪から解放されることは難しいんだ。

メルト なるほどな……。

 だったら、いくらか歩いた所でユリに声をかけるか。「――あいつらも、ああいう仕事をしているけど、気のいい連中なんだ」

GM/ユリ 「そうですね……。それに、ちょっと驚きました。あの方たちが……すごく明るいので」

メルト (夜空を見上げて)ああ。こんなクソったれな街でも、まっすぐに生きているすごい奴らなんだ。

 ――――だから、俺はあいつらを尊敬している。

GM/ユリ 「……えっと、分かりますっ」

メルト そっか。

GM/ユリ 「その……男の方ですから、そ、そういうのは仕方がないって聞きますし――――(赤面)」

メルト え、分かるってそういうこと!? ちゃんと俺の話、聞いてた!!? ねえ!?(一同爆笑)

GM/ユリ 「はいっ(なぜかイイ返事)」

メルト ユリちゃん、絶対に分かってないよね!!?(笑)

 


 


 人気のない広場を通り過ぎ、上級区が見え始める。

 そこはきちんとした石畳がひかれており、ゴミなどは落ちていない。浮浪者のいる路地裏などでは土がむき出しで、雨が降ると水はけが悪い場所にはボウフラなどの虫が湧くことさえあった。


 そんな貧富の差がはっきりと分かるこの上級区では、衛兵が見回っており治安もいい。

 ただ、治安がいいとは言っても夜も遅いので、メルトローズは上級区特有の馴染めない空気を感じながらもユリフィーユの家のそばまで送っていった。

 


 


メルト もう、あんな危険な場所に行っちゃダメだよ?

GM/ユリ 「あ、はい――――あ、あの」

メルト ん、なに?

GM/ユリ 「わたし、先月にこの街に父と一緒に来たばかりなんです。それで、この街の噂は色々と聞いていたんですけど……その。

 ――――この街には、メルトさんみたいな優しい人もいるんだって分かりました」

メルト 優しい……、俺が?

GM/ユリ 「はいっ! だから、本当に今日は助けていただいてありがとうございましたっ(信頼の笑み)」

 


 


 その澄み切った笑顔に対して、メルトローズはただ作った笑顔を返すことしかできなかった――――

 


 


GM では、メルトはユリフィーユを家まで送っていった。

メルト (一人で道を戻りながら)さあて、立ちションでもして帰るか。

一同 なんかもう色々とひどいよ!(爆笑)

 


 

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