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第八章

 廃墟にしか見えない入り口で、門番の蛮族にメルトローズとマリーが一枚のパスカードを見せると、地下へと案内をしてくれる。


 そこは、廃棄された地下の劇場を利用した会場で、ホールのようになっていた。

 壇上にいる仮面をつけたルーンフォークの執事が「さて、今回の商品は――――」と人族を次々と紹介していく。とりわけ、若い女や子供が人気のようだ。

 そして、観客席では、蛮族や豪華な服を着た人族たちが品定めを行っているのが、メルトローズたちの目や耳に嫌でも入ってくる。


「ぐへへへ、あのガキうまそうだな。オレは生きたまま足を食って、次に腕を食う。それから、少し放置して見るのがなによりの調味料になるんだ」

 蛮族がよだれを垂らしながら、笑っている。


「あの若くて綺麗な娘……さぞかし、いい悲鳴をあげてくれそうね。この前のは、もう悲鳴をあげなくなったからつまらないわ。今度は、もう少し長持ちするようにしないと」

 貴婦人が楽しそうに、上品な笑みを浮かべている。

 


 


 ここでは人間が安く買い叩かれていく。中には、売られている状況が分かっていない者もいるようだ。

 だが、これもナインテイルでは決して珍しい光景ではない。


 “シルバーフォックス”で行われているのは、ある程度の権利が保障された奴隷契約に過ぎない。

 だから、売られていく者たちには若干“マシ”かそうでないか――それだけでしかない。

 


 


メルト (会場を眺めながら)こういう最悪に近いのは、久しぶりに見たな。

マリー まあね。でも、ナインテイルはいつも通り。見えていないだけで、こいつも日常ってわけさ。……なにせ、あたしたちは今日の昼間はここには(・・・・・・・・・・)来なかったんだからね(・・・・・・・・・・)

メルト ああ、分かっているさ。情報の裏を取るために、俺たちは見捨てたんだからな。

マリー ……さて、この胸糞悪い集会をさっさと終わりにさせようか――――


 *その言葉を合図にマリーは“シルバーフォックス”に連絡をする。“シルバーフォックス”の突然の乱入に悲鳴と怒号が飛び交い、会場は大混乱となった。


GM その混乱に紛れて、壇上のルーンフォークの執事は逃げ出す。

マリー あいつを逃がすわけにはいかないね。

GM では、君たちは走って追いかけていくと、劇場の裏口がある。その奥にある道を見ると、途中でなにかの遺跡と繋がっていたようだ。

メルト 遺跡……だな。そっちに行くぞ。

GM それでは、かなり進んだ先に隠れ家らしき場所が見つかった。

 


 


 その部屋から漏れ聞こえる声がメルトローズたちの耳にも届く。

「くそっ、まさかこんなにも早くばれるだなんて! それもこれもラッセル、貴様が悪い!!! 貴様はさっさと遺書を書いて死ね!!! 今回は全てサヴェイ商会がやったってことにしろ!!!」

 感情を露わにした聞いたことのない男の声。

「お、お父さん、そんなことしちゃだめ!!!」

「……いいんだ、ユリ。僕はお前を守るためならなんでもするから」

 そして、ユリフィーユとラッセル・サヴェイの声が聞こえてくる。

 


 


GM そこにはユリフィーユが人質に取られていた。そして、その傍に父親のラッセルと中年太りしたコルネロがいる。

 後は、ルーンフォークの執事と白い服を着た子供。さらに、剣を持ったスケルトンが二体。ちなみに、その1体がユリフィーユを人質にしている状態です。

  /コルネロ 「忌々しい銀狐(シルバーフォックス)めっ! もう東地区では大した商売もできんではないかっ!!!」

メルト (身を隠しながら)奴がコルネロか。他の二人は護衛……いや、“猟団”か。

GM/コルネロ 「ラッセル、お前がそう書いてここで死ねば、わしが全て丸く収めてやるさ。娘が大事なんだろう? なぁに、後は悪いようにはしないさ」

メルト ……そろそろ、出るか。

マリー (頷いて)――悪いけど、後の心配はもう必要はないんじゃないかねぇ。

GM/コルネロ 「き、貴様らは!!?」

メルト あんたらの悪事もここまでだ! ……もっとも、俺たちは正義の味方じゃないが。

GM/ユリ 「メルトさんっ、マリーさんっ!」

メルト 大丈夫か、ユリちゃん(安心させるように笑いかける)。

GM/コルネロ 「ちっ、近頃周辺を嗅ぎまわっていた銀狐の小汚い飼い犬か!」

マリー (否定もせず)ああ、痕跡がたっぷりあったから、追いかけるのが随分と簡単だったね。

GM/コルネロ 「ぐっ、お、おのれ……ええい! “猟団”、奴らをやってしまえ!」というわけで、ルーンフォークの執事と白い服の子供が動き出す。

  /ルーンフォークの執事(以下、クロ) 「これはこれは、かの御高名な“猛毒の花(フラワーオブマリス)”と魔剣“ギロチン”の使い手――今回の仕事は、我々に護衛をさせるなどとつまらないものでしたが、こうして楽しませていただけること、恐悦至極」と両手にナイフを構える。

 さらに、白い服の子供はナイトメアで、異常なほど大きい片目の持ち主だ。

  /白い服のナイトメア(以下、シロ) 「壊れちゃっていいのヨ。ニンゲンが壊れて、中から汚いハラワタを見せて欲しいのヨ」とケタケタと笑いながら杖を構える。

メルト こいつら、かなり(イカ)れた連中――しかも、殺る気充分か(苦笑)。

マリー 話し合いは最初から無理さ。それに……かなり歯ごたえがありそうだねぇ(愉悦)。

GM/コルネロ 「チッ、殺人中毒者(キリングジャンキー)どもめ……」というわけで、戦闘開始です。


 *メルトたちは先制判定に勝利し、魔物知識判定は失敗する。


メルト 《ファストアクション》で【ヴォーパルウェポン】のSランクを俺とマリーに使う。これで、物理ダメージに+4点。二回目の行動で執事に攻撃。(ころころ)……ダメージは23点か。

GM/クロ 「どうしました、わたくしの首はまだ繋がっていいますよ? 魔剣の名も大したことはない(冷笑)」

メルト (余裕そうに)なに、まだほんの小手調べさ。

マリー 「それに、あたしもいるからねぇ。悪いが、二人掛りで行かせてもらうよ」【キャッツアイ】【ガゼルフット】【ビートルスキン】から《投げ攻撃》《踏みつけ》……(ころころ)19点、27点。

GM/クロ 「ふ、フフ……本当に貴方がたは魅せてくださる! 次はわたくしがお見せする番。実は、唯一の趣味はダーツでして。こうして……人間を的にするのが、大好きなんですよ!!」――立ち上がりながら、《双撃》で二人にナイフを投げてくる。

二人 (ころころ)回避!

GM/クロ 「残念、外しました(アウトボード)か」

  /シロ こっちは呪文を唱えて【ブリンク】、さらに片目が妖しく光る。ちなみに、シロは一度死んでから、〈バグベアードの目〉を埋め込まれて『魔改造』されています。「クスクスクス……みんな、死んじゃえばいいんだヨ」と、マリーに……抵抗されたか。

 主行動で【エネルギー・ジャベリン】を二人に。(ころころ)……こっちも抵抗されたかぁ(苦笑)。なら、半減した魔法ダメージで12点。

マリー これだから、ソーサラーは厄介だねぇ(苦笑)。

GM 最後にラッセルが「ユリ、絶対に助けてやる!」とコルネロに掴みかかる。

  /コルネロ 「く、離せ!!!」っていうところでラウンド終了。

メルト (状況を見ながら)こっちも動けないし、早めに片付けるしかないか。

GM ちなみに、後ろにいるスケルトン2体は行動しません。

マリー コルネロの命令で動くのかね……?


 *次のラウンドは一進一退で決着はつかず。3ラウンド目の後攻。


GM/シロ (HPを確認して)深智魔法の【ライフ・デリバー】で自分たちを回復させつつ、メルトたちにダメージを(ころころ)メルトに19点、マリーに10点。

メルト こいつ、魔術師(ウィザード)か!? ……く、抵抗失敗したのは、かなり痛いな。

マリー 次のラウンドで、さっさと執事を倒さないと魔法で削り倒されそうだね。


 *そして、マリーの《マルチアクション》からの【フォース】+蹴り+蹴りで執事のHPをかなり削った後。


メルト 《必殺攻撃》の【クリティカルレイ】で……42点。

 


 


 刀を鞘に納めてからの、居合斬り――――

 魔剣“ギロチン”はその名の通り、斬首を執行する。

 


 


GM/クロ 「さすがは、あの“■■……」

メルト (感慨もなく)その名前の男はもう死んだ……。もういない――――

GM そして、ルーンフォークの首がごとりと落ちる。


 *魔剣“ギロチン”は〈首切り刀〉と〈斬鉄剣〉の効果を持ったオリジナルの魔剣です。だから、“斬首刀(ギロチン)”と名付けています。


GM では、それを見たシロが。「(淡々と)クロが死んじゃったのネ。まあ、弱い奴だったし仕方がないカ。なら……」と臨戦態勢を解く。

メルト (少し驚いて)なんだ、降参する気があるのか? だったら――

GM/シロ 「(にやっと笑って)契約通りに、コルネロとラッセルを殺すのネ」と動いていなかったスケルトンに指示を出して、シロはさっさと扉の向こうへ逃亡します。

二人 な!?

GM/コルネロ 「(ラッセルと揉み合いながら)なっ、わしはそんな話しとらんぞ!? ……ま、さか!?」とラッセルを見る。

  /ラッセル 「もう僕たちは、どうあがいても助かりません。だから……」と微笑む。

 


 


「お父さん!!?」


 熟練の冒険者と言えど、最大の攻撃を繰り出した瞬間は隙ができる。だから、この場でスケルトンを止められる者はいなかった。


「ユリ、お前だけは幸せになってくれ…………」


 それが、ラッセル・サヴェイの最期の言葉となった。

 


 

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