短篇『REpeat』
夢を見る。
僕は君の上で馬乗りになって。その細い首に手をかけた。
可憐で脆弱なその首を。過敏に残酷にへし折るように。
君はうめき声を口ずさむ。僕は涙で頬を飾る。
君が何も言わなくなって。僕の涙が君に零れる。
愛しい君の声を聴けなくなった。
そうして僕は目が覚める。また今日が始まった。
また今日を始めようか。
いつも通りの朝食を口にして、いつも通りの鼻歌を奏でながら、いつも通りの通学路。君は今日も僕の前を歩くんだ。時々振り返って、君は微笑む。いつも通りのその笑顔に僕は救われた気になって。でも君の隣には並ばない。僕は今日も君の後ろを歩くんだ。
安定した日常。安寧に甘んじる君。いつも通りがそこにある。
授業中。君のことを考えていると、時が経つのが一瞬のようで。でも、君に会うまでが永遠のように思える。その瞬間を待つこの時間の、不安と幸福感に酔いしれる。
退屈で窮屈で幸福な学校が終わると、僕は君の待つあの場所に行く。二人っきりの秘密基地。薄暗いそこに、秋の夕陽が差し込むと、君はやっぱり振り返って、微笑むんだ。
遅かったね。待ってたよ、って。
君は両手を広げて、僕を迎え入れる。僕は飛び付くように君を抱きしめ、キスするように押し倒した。
そして。
僕は君の上で馬乗りになって。その白い首に手をかけた。
綺麗で虚弱なその首を。過激に過剰にへし折るように。
君がうめき声を口ずさむと。僕の頬は涙で湿る。
でも、君が何も言えなくなる前に。
君はナイフを突き刺して。僕の赤色が君を濡らして。
愛しい君に想いを囁けなくなった。
そうして僕は目を閉じる。今日もまた失敗だった。
明日は君をどうしようか。明日は君を切り刻もうか。
また今日が始まるんだ。