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デッドエンドからのリスタート  作者: 笹野ちまき
第1章 白紙の地図編
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006 嘆きの魚を標として

 本日も快晴です。


 昨日の記憶があやふやです。

 ぼんやりとしか覚えていません。


 どうも、昨日食べた【赤オレンジのパンプティング】がいけなかったようだ。

 おかみさんにもらったレシピを見ると、パンプティングの中のパンには、アルコール度数60くらいの、パンチの効いたオレンジリキュールが大量にしみ込んでいた。

 私は昨日、大皿ごと完食した記憶はある。だって、美味しかったのだ。ものすごく。


 パーティ継続の約束をどうにか取り付けたのだけは、なんとなく覚えてるんだけど。


 朝起きると、目の据わったジェイス少年に正座を強要され、くどくどと説教された。


「お前は、酒を、飲むな」

「いや、でも、あのデザートは、不可抗力というか。甘味と苦味のコントラストが絶妙で、つい完食してしまったのがマズかったというか。今までは飲み過ぎるなん事はなかったし、まさかあのくらいでツブれるなんて思ってもなかったいうか」

 今までは。

 ──ああ、そうか。

 今は、私の元々の身体じゃない。それが原因なのかもしれない。体力や持久力が、職業の所為で恐ろしく低くなってしまった。それもあって、【夕月】になって、お酒に弱くなってしまったのだろうか。ものすごく嫌だ。食前酒も気をつけないといけなくなってしまったのだろうか。

「今度からは気をつけます」

「いや、飲むな。禁酒だ」

「えええそんな酷いよ! せめて1週間とか期限つけて下さいお願いしますもうベッドぶんどったりしないから!」

「当たり前だ!」




 * * *




 商業都市ハスラータの海は、紺碧色に輝いていた。

 桟橋には、漁船や、人を運ぶ船、荷物を輸送する船、リゾートボートなど沢山の船が停泊している。

 港は朝からとても賑やかだ。


 私はレフとライを連れて、東大陸に渡る船を探しに港へやってきた。


 ジェイスは、次の依頼を探しに、冒険者協会へ行ってしまった。

 ジェイス曰く、協会に双子を連れていくと暇を持て余してうろちょろするだけだから、一緒に連れていってやってくれ、という事だ。

 そういう訳で、午前中は二手に別れる事になりました。


 あれ? 私、何気に子守り押し付けられてない? 気のせい?

 



 【船舶協会】は、水揚げした魚を競売する倉庫の隣にあった。


「おう、いらっしゃい! 何の用だ?」

 カウンターの奥には、小山の如き巨体の、顎ヒゲのオヤジが座っていた。

 海の男を絵に描いたようなオヤジだった。

 隆々とした筋肉が照り返って眩しい。


 陽にこんがりと焼けた肩から二の腕にかけて、入れ墨が彫られている。


 ムンクの叫びに酷似した顔を持つ巨大魚に、燃え盛る炎に包まれた赤いハートの矢が刺さって──


 すいませんそのセンス、よく分かりません。

 いま流行のキモカワイイってやつですか。


「「お魚! お魚、たくさん!」」

 レフとライは事務所の隣の倉庫に入り浸って、水揚げされた色とりどりの魚を見ては、はしゃいでいる。


 よだれを垂らしながら。


「ちょ、こら! レフ! ライ! 魚食べたらだめだぞ! 触るのも! それ、このおじさん達の大事な売り物なんだから!」


 レフト、ライト、と呼ぶにはあまりにも可哀想なので、略して呼ぶ事にした。ト、を外しただけだけどね。レフト(左)!ライト(右)!と呼ぶよりはマシだろう。


「「はあーい!」」

 きゃっきゃと楽しげな返事が返ってきた。本当に分かってるのか。


 ヒゲオヤジが腹を抱えて大笑いした。

「子守も楽じゃねえなあ」

「ほっといてください。ええと、東大陸行きの船に乗りたいんですけど」


「東大陸かあ」

 オヤジがぽりぽりと顎ヒゲを掻く。

「悪いな。この港からは出てねえ。ここからもう少し北西にいったところに、ここよりも大きな街があるだろ?」

「大きな街?」 


 ヒゲオヤジが、巨大魚のように大きな丸い目を、ぎょろりと開いた。


 だって、大きな街が他にもあることすら、私は知らないし。


「知ってるだろ? 海洋都市リバイアだ」

「ああ、海洋都市リバイアですか」


 あまりにも不審がられたので、ど忘れしてました風を装う事にした。

 余計不自然だっただろうか?


 ヒゲオヤジが腕を組んで頷く。

 特に気にしていないようだ。よかった。


「あそこからなら、東大陸行きの船が出てるはずだ。でも、あんまり便数はないみたいだからなあ。リバイア港の倉庫街に【船舶協会本部】があるから、詳しい事はそこで聞きな」


 ヒゲオヤジが、ハスラータから海洋都市リバイアまでの地図をくれた。


「地図だ!」


 私は感動にうち震えた。


「ありがとう、ありがとうオヤジさん!」


 ここへきて、地図のありがたみを嫌と言うほど痛感した。

 あの、前後左右がわからない恐怖は、できればもう味わいたくない。


 最初に踏み出した第一歩が、今後の生死を分ける、というあの恐怖。


 マップがあるのとないのとでは、精神的な負担がかなり違う。

 いつでも出口まで帰れる、というのは心の平穏を保つのに大きな効力を発揮する。

 これはものすごく嬉しい。


 その肩のキモカワイイ入れ墨のムンク魚が、ありがたい御神体に見えてきました。思わず拝み倒しそうです。


 ヒゲオヤジが照れたように頭を掻いた。

「そ、そんなたいしたもんじゃねえけどな。喜んでもらえてんなら何よりだ。まあ、頑張れよ。海の女神様の加護が、お前らの航海にありますよう!」

「ありがと、オヤジさん!」

 


 * * *

   


 帰り際、海岸通りの屋台で、【白身魚のフライ棒】を一本ずつ、レフとライに買ってあげた。

 私も1つ買って、かじってみる。


「美味っ!」

「「うまっ!」」


 これは美味い。塩胡椒だけのシンプルな味付けだが、外の衣はサクサク、中の魚はジューシー。


 さらに5本追加購入。

 1本はジェイス用に紙に包んでもらった。

 美味い食い物の仲間はずれは、よくない。絶対に。


 残り4本のおやつ用は、長期保存可能な魔法のポケット的旅鞄に収納。これ、すごい助かるなあ。リアルでも欲しいくらいだ。

 食材系のアイテムはそれぞれ期限がついており、期限を過ぎると腐ったりする。

 そこで、この旅鞄のすごいところ。

 消費期限切れの食材が一緒でも、他の食材に一切影響がないのだ。

 しかも、熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいまま保存してくれる。

 すばらしい。

 あっちの世界でも、誰か開発してくれないかな。

 


「よし。私の用は済んだから、ジェイス迎えにいこうか」

「うん、お迎え!」

「うん、行く!」


 双子が両側から私の手を掴む。うん。和むなあ。


 屋台通りをしばらく歩いていると、前方の人ごみの奥から、怒鳴りあう声が聞こえてきた。


「んん? なんだろ?」


 騒ぐ声は徐々に近づいてくる。


 目の前で、人ごみが左右に割れた。


 中から出てきたのは、大股で歩いてくる背の高い女性。


 鍔の反り返ったカウボーイハットを被り、腰まであるボリュームたっぷりな赤毛ウエーブが潮風に靡く。

 赤い瞳は、怒りで真っ赤に燃えている。

 股下5センチぐらいしかないホットパンツからは、すらりとした美脚が伸びている。

 肌は陽に良く焼けており、色っぽいと言うよりは、スポーティで健康的だ。


 革製ショートブーツを石畳に響かせて、ずんずんと大股に近づいてくる。


 ──私の方に。


 私はうろたえた。


「え、なんで?」 

 なんで私の方に来るんだろう。私、なんかしたっけ?

 全く覚えがないんですけど。


 怒りの形相で向かってくる赤毛美女を避けようと、私は後ろに身を引こうとしたが、少し遅かった。

 いつの間にか、私たちの周囲を取り囲むように人垣が出来てしまって、動くに動けない。


 赤毛の女性が、目の前で、踵を高く打ち付けて止まった。


 硬直した私と双子は、赤毛美女を恐る恐る見上げた。双子の耳としっぽは緊張で毛が逆立っている。

 女性は私よりも背が高かった。

 厚手の生成りシャツの胸元は胸の谷間が覗くほど開いている。その胸元を飾るのは、牙と木と貴石の三連ネックレス。

 思わず胸元に見入ってしまった。


 胸、超、でかっ!


 羨ましくなんて、ない。本当だ。くそう、羨ましい。


 赤毛美女は、私達の前で綺麗にターンし、背中を向けた。

 あれ? なんだ、よかった。私に用があるんじゃなかったのか。


 赤毛美女の怒りの矛先にある人垣の奥から、8人の男達が、わらわらと出てきた。


 下卑た笑みを浮かべた男達が、ゆっくりと近づいてくる。

 ファッションなのか、他に着る服がないだけなのか判断しかねる、着崩した服。

 寝癖なのかセットなのか判別不明な髪形。

 らくがきにしか見えない入れ墨。

 濁った白目。


 なんだ、こいつら。場末のヤンキー集団? 背中に世露死苦とか書いてありそうな感じだ。


 脛の辺りが膨らんでいるボンタン風の白ズボンを履いた男が、にやにやと笑みを浮かべながら前に進み出た。

 どうやら、こいつがヤンキー集団のリーダーっぽい。


「なんで逃げんだよ。うちのボスが、アンタと話がしたいって言ってんだよ。悪い話じゃないって、言ってんじゃん」


 赤毛美女は腕を組み、白ズボンの男を睨みつけた。

「断るって言ってるでしょう。しつこいわね」

「ボスはあんたを買ってるんだよ。ちいとばかし、組まないかって話じゃねえか。大金が手に入るんだぜ?」


 赤毛美女は鼻で笑った。

「悪銭は身を滅ぼすわよ。あなた達知らないの? ああ、もう身を滅ぼしてるから関係ないのか」

「なんだと!?」

 男達が色めき立った。


 喧嘩売っちゃってるよ、この人。大丈夫なのだろうか。


「帰ってボスに伝えなさいな。うちの商会はあんたたちとは絶・対・に・組まないって。それから、しけた商品ばっかり扱ってたら、しけた人間になるわよってね。ああ、もういいのか。どうせあんたらもう湿気ってるから」

「この女! ばかにしやがって!」


 ああ、怒らせた。

 こういうタイプの奴等は、一度キレると手が付けられないくて面倒くさい。


 柄の悪い男達が口々に悪口雑言を吐きながら、ナイフや、銃、長剣をとり出した。


 周囲のあちこちから悲鳴があがった。

 それまで興味津々に身を乗り出していた弥次馬な人々が、慌てて四方八方に散っていく。


 あっという間に、赤毛美女と私たちの周りには、すっきりと広い空間が出来あがっていた。


 周囲5メートル圏内には、私たちとヤンキー集団だけしかいない。いつのまにやら遠くの安全圏には、ぐるりと人垣ができている。


「ちょ、皆、逃げるの速くない!?」


「力づくで頷かせてやるぜ! 泣いて××△しても、○△×○で、××○△なんだぜ!」

 私は慌てて、双子の両耳を上から押さえつけた。

 なんてことすんだ。


「おいコラああ──! 子供の前で放送禁止用語使うな!」


「ああ!? なんだ、てめえ! んなこと知るかぁ──!」

「ちょっと、君!?」


 赤毛美女がやっと、逃げ遅れた私たちの事に気づいてくれたようだ。慌てた様子で振り返る。

「何してるの! 早く逃げなさい!」

「いや、もう無理だよ! 完全に囲まれちゃってるし!」


 私は戦闘モードに切り替えた。

 左手に暝の書が現れる。


 辺りを素早く見回す。

 視認できる範囲に、敵は8体。


「 ──我、アイテールを通し土の元素へ干渉」

 魔道書の上に正6面体が光りの筋で描かれ、詠唱に合わせて回り始める。


「【泥化】」


 唱え終わると同時に、ヤンキー集団の足下の石畳から、土色の泥が沸いて盛り上がった。

 【泥化】は、雀の涙ほどのダメージしかないが、発動が一番早い足止め魔法スキルだ。


 沸騰する湯のように湧き上がり続ける泥は、男達の足首を次々と取り込んでいく。


「うわ!?」

「な、なんだ!? 泥に足がはまって動けねえよ!」


 狼狽えるヤンキー集団の1人が私を指さした。人様に指を差すな、指を。

「あいつだ! あいつ、魔道士だ!」

 いや、魔道士じゃあないんだけど。


「レフ! ライ! 向かってくるヤツの足狙って!」

「「うん! まかせろ!」」

 双子がショートボウを撃った。

 運良く泥沼から抜け出して駆けてきた1人の両足に、1本ずつ命中する。

 男は弧を描いて転倒し、顔面を床に打ち付けて動かなくなった。


 残りは7人。

 足止め効果はまだ継続中だ。


「我、アイテールを通し、土と空気の元素へ干渉」

 正6面体を囲うように、正20面体が描かれて、回る。


「【刃風】」

 周囲の砂塵が舞い上がり、突風と共に飛んでいった。


 火・水・土・空気・天の五大元素の属性の掛け合わせで、多種多様な魔法スキルがあるのが、【魔導学者】の特徴だ。

 使いどころが全くないものから、果ては戦況をひっくり返すような大規模なものまで。

 その種類はやたらと多く、ちょっと懲りすぎな感がしないでもない。

 きっと、【魔導学者】担当プログラマーに、偏執的に凝り性なヤツがいたんだと思う。


「ぎゃあ!」

 無数の砂塵は、微小な無数の刃となり、ヤンキー集団を縦横無尽に切り裂いた。



 足止め効果が切れる頃には、戦闘は終了していた。

 リーダー共々、戦意喪失状態で全員路上に倒れている。


 【索敵】スキルで他に仲間がいないのを確認し、私は息を吐いた。

 戦闘モードを解除する。

 暝の書は黒い煙となって霧散し、どこかわからない亜空間へと戻っていった。




「君たち、冒険者だったのね」

 赤毛美女は、口と目を丸くして、私たちを見た。


「私てっきり、民間人のお兄さんと子供を巻き込んじゃったのかと思って。もう本当、焦ったわ〜」

「お兄さんじゃなくてお姉さん、です!」

 どいつもこいつも!

 私だって、お姉さんみたく胸があれば……!


 赤毛美女がきょとんとし、破顔した。

「ああ、ごめんごめん! いえね、お兄さんにしては綺麗すぎるかな、お姉さんにしてはちょっと細いし、とは思ったのよ。ごめんね」

 なんだろう。この、褒められた気がするんだかしないんだかの微妙な感じ。


「でも本当のところ、助かったわ。1人じゃちょっと危なかったかも。ありがとう」

 ちょっとどころじゃない気がするんですが。

 なんだか、色んな意味で大ざっぱな人だなあ。

「どういたしまして」

「ふふ。おちびちゃんたちもありがとう」

「「どういたしまして!」」

「それにしても、君、詠唱早いのね。驚いたわ。魔道士って、長々と呪文唱えてる印象が強いから」

「私は【詠唱短縮】スキル、マックスなので」

「え、短縮できちゃうんだ!? いろいろあるのねえ……と、いけない! 早く行かなきゃ次の商談に間に合わなくなっちゃう!」


 赤毛美女はウエストポーチの中を慌ただしく探り、1枚の緋色の名刺を取り出すと、私に差し出した。


「ごめんね。お礼はあとできっちりするから! 私は、ローザウィ商会のマゼンダ。あなた達は?」

「【蒼銀の風】メンバー、夕月です」

「レフト!」

「ライト!」

「……先にいっておくけど。命名は私じゃないから」


 マゼンダが笑いをこらえながら頷いた。

「ふふ。【蒼銀の風】ね。覚えておくわ。本当にありがとう。じゃあ、また後でね!」

 マゼンダは大きく手を振ると、突風のように駆けていった。



 * * *



「と、いうことがあったんだ」

 協会から出てきたジェイスと合流し、宿への道を歩きながら、先程の巻き込まれ事件の報告をする。

 今日は朝から説教されるわ、船は無いわ、ヤンキーどもには絡まれるわ、戦闘に巻き込まれるわ。

 散々な一日だった。


「まあ、大変だったな」

 ジェイスの声が笑いを含んで震えている。

「ちょっと。君。笑い事じゃないんですけど」


「そうだ、依頼の件だが」

 ジェイスが数枚の紙を取り出す。【依頼掲示板】に貼ってある依頼書のコピーだ。

「良さそうなのがいくつかあった」

 私は差し出された紙束を受け取った。目を落とす。どれどれ。


 1枚目には、血塗られた野兎ブラッディ・ヘア討伐。

 もう、それはいいです。

 ていうか、まだ他にもいるんか!

 

 2枚目には、海洋都市リバイアまでの護衛。

 お、これいいかも。


 3枚目には──


「東大陸までの護衛急募。募集人数15名程度……」


 私は紙を握りしめてジェイスを見上げた。


「東大陸までの護衛!」


「やっぱりな。それに食いつくと思った」

 ジェイスが笑う。

「それに決めるか?」

「もちろん! ……って、いいの?」 

 私が決めてしまっても。


 片道約30日。

 少なくても2ヶ月以上は、西大陸に戻ってこれないことになる。


「別に構わん。俺もチビ共も、日々、街を転々としてる気楽な身の上だ。それに、待たせるような奴もいないしな」

「え、いないの?」

 君、イケメン候補生なのに。あの受付のお姉さんズの反応を見ても、ファンクラブとかありそうな勢いだったけど。他の冒険者の女の子とかもちらちら見てたし。


 ジェイスは、お姉様たちが激写しまくりそうな笑みを浮かべながら、私の鼻を捻った。

 力一杯。


「ふがっ!?」

「お前だっていないだろうが」

「い、いだひ! ふ、ふいまへん!」


 ちょ、鼻がもげたらどうしてくれる! 身体パーツ欠損ありな世界なんだぞ!


「お前らもいいだろ? 東大陸までの船旅だ」

「「わあーい! 船! 楽しみ!」」

 双子が飛び跳ねる。


「いや、ちょっと君たち。遊びに行くんじゃないからね」 


 私は再度、依頼書に目を落とす。



【東大陸までの護衛】

 急募

 募集人数 15名程度


 ソロレベル 50以上

 パーティレベル平均 50以上


 報酬 1人につき10万シェル/片道


 依頼内容 海洋都市リバイアより出港し、東大陸スターリィコースト港到着までの護衛

      片道約30日程度の航海予定です


      朝昼晩食事付


 注意事項 船酔い注意 


 依頼者 ローザウィ商会社長 マゼンダ・ローザウィ


    

「あれ?」

 依頼者名に見覚えがあった。

 そういえば、と先程貰った名刺を取り出す。

 

 緋色の名刺には、


 ローザウィ商会社長

 マゼンダ・ローザウィ


 と印字してあった。


「どうした?」

「この依頼者……さっき会った、赤毛美女だ」


 しかもあの人、社長だったのか。

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