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妹を愛人にしたいと言われたので、弟を愛人にもらう。

作者: 久世朱里
掲載日:2026/09/08

「実は、俺は君の妹と愛し合っているんだ。君との婚約を解消するのは可哀想だから、妹を愛人にさせて欲しい……!」


 婚約者の王太子がいらん優しさを発揮してきた。


「わかりました。では私は殿下の弟を愛人にさせていただきます」


「ありがとう! さすが聡明な公爵令嬢だ! で、どの弟がいいんだ?」


「全員ですわ、殿下」


「三人も! 俺は妹一人なのに、割に合わないだろう!」


「そんな事はありません。殿下はたった一人の愛する妹を手に入れて、私は特にいらない弟を三人も引き受けるんですから、殿下の方がお得です!」


「確かに!」


 こうして私は要らない王子を三人も愛人にした。


◆◇◆


 とある夜会に、王太子セドリックは愛人の妹マリアベルを伴って参加した。


 正式な婚約者の私、オフィーリアも同じ夜会にいるというのに。


「セドリック様、踊りましょう」


 マリアベルは私に気付くと、これ見よがしにセドリックに甘えて腕に絡みついている。


「ああ、マリアベル」


 セドリックは嬉しそう。


「結婚前にすでに愛人を連れて夜会に参加しているなど、周りからどう見られるか……自覚がないなんて困ったものだわ」


「でも、オフィーリア、君だって愛人を三人も連れているだろう?」


 私の愛人一号の第一王子、エドワードが言う。


「愛人三人なんて、セドリックより大分印象が悪いですよ」


 愛人二号の第二王子、ルーファスだ。


「自覚ないのかい? オフィーリア」


 愛人三号の第三王子、ヴィンセントだ。


 私の愛人三兄弟は呆れたように私を見てる。


「あのね、三人男を連れているからって愛人三人だなんて誰が思うのよ。私と王太子は今日はそれぞれの兄弟との交流を深めているのよ」


「「「なるほど!」」」


 こいつらは、お兄さんとそっくりだわ。



「王太子のセドリック様と婚約者のオフィーリア様は、ご兄弟それぞれと仲が良いのね」


「王家のご兄弟が力を合わせ頑張ってくださっているんです。我が国は安泰ですわね」


 私の狙い通りに思われているようだった。


「え? 俺、オフィーリアの愛人なのに!」


 思われたところで、真実になるわけでも有能になるわけでもないけど。




 後日、私は三兄弟を王宮の一室に呼び出した。


「愛人のことをちゃんと知りたいから、あなたたちのことを教えて」


 私は長テーブルの窓側に座って、紙と羽ペンを持って聞く。


「俺は、エドワー……」


「名前はいいわ、知ってるから」


「誕生日も知っていますか?」


「……知らないけど、別に知らなくていい」


「じゃあ、何が知りたいんだい?」


「あなたたちが、王家のために何が出来るかよ」


「「「王家のため? 俺たちは君の愛人だ!」」」


「ただの愛人ではありません、王太子妃の愛人なんですから、無能では困ります。功績をあげてください」


 三馬鹿は何か考えている。


「……俺は牧場にいる時が一番落ち着くんだ……藁の匂いが好きなんだ」


 愛人一号のエドワードが話し出す。


 そんな事を聞いているんじゃないけど……。


「好きなものがあることはいいことですね」


 私はエドワードに笑いかけた。


「あ、ありがとう!」


「牧場なら、農産物の生産や管理、効率化出来ることはあるでしょう。エドワードにはこれらをお任せします」


「分かった!」


 二号のルーファスに目を向ける。


「俺は、木の香りが好きで、森の中が落ち着きます」


「森ですね。木の管理は重要な仕事です。大変ですが、引き受けてくれると助かります」


「はい! 頑張ります!」


 そして、三号のヴィンセントだ。


「俺はレンガの焼ける匂いが好きだ……」


「レンガ……建築ですね! 我が王国には古くて修繕の必要な建物も多いですから、仕事は多いですよ!」


「もちろん、任せて」




 こうして三人の王子に国の仕事を任せた。


 好きな事をやっている三人は生き生きしていた。


 一号が品種改良した農作物は他国にも人気で輸出が増えている。


 二号は森を管理してくれるようになって災害が減っている。


 三号のおかげで建物と道路の不備が減り、生活の質が向上している。


 国が発展していき、王子たちは国民から尊敬を集めている。


「オフィーリアのおかげだよ」


「俺たちは好きな事をさせて貰ってるだけです」


「ありがとう」


 三人の愛人たちが満足そうで私も満足よ。



◆◇◆


 国が発展していく間に、私は王太子のセドリックと結婚して、正式な王太子妃になっていた。


 セドリックも妹のマリアベルが好きだと言うので、適材適所で離宮に送って仲良くやってもらってる。


 王と王妃は王位を私に譲って引退したいと言うけど、あまりに仕事が増えすぎても困ると待ってもらってる。


 三人くらい子供が生まれたら、王位を継いでもいいかもしれない。



「最初は俺の子供を産むだろう?」


「俺ですよね?」


「俺でしょう」


 たった一人の愛に比べて損だった三人の愛人は、重すぎる三人の愛に育ってしまった。


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― 新着の感想 ―
愛人全部王子だから血筋的にも問題無いのかw なんというコペルニクス的発想なんだw
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