第二話 ミオのしたいこと
ミオが幽霊だと知っても関係性が深まっていき、普通の友人としての関係になっていった。
僕は人には見えないナニかが見える。
でも、家が特殊とかそう言うわけではない、ただの普通の高校生だ。
そんな、俺には人には絶対に知られない友人ができた。
それが彼女、ミオ、人には見えない幽霊なのだ。
朝、まだ静かな教室、一番の乗り来ると、彼女は机に座って手を振ってきた。
「おはよう!、宮田君」
「おはよう、ミオ」
朝まだ教室には人がいないため気軽に会話ができる。
彼女の声はもちろん聞こえないが僕の声は普通に聞こえるため、
普通にミオと会話していると、僕が一人で喋っているように見え、さらに変な人物になってしまうからだ。
「宮田君は学校来るの早いね、私なんてさっき気がついたのに」
そう言って背伸びをしてふわ〜と大きなあくびをした。
「僕は朝の静かな時間が好きだし、それに」
僕は荷物を置くと、僕は黒板掃除や簡単にゴミを掃いたりした。
毎日掃除はしているが大体の人が大雑把にしているため大きなゴミは無くなっているが
細かいゴミが残りどうしても気になってしまうのだ、
「毎回見てたけど朝から熱心だね〜」
後ろからひょいと顔を出してこっちを見てくる。
「前から見てたの?それはちょっと恥ずかしいな」
「えへへ、君っていつも、気だるげそうだけど、そう言うところ熱心だよね」
ミオの真正面からの褒め言葉に少しこそばゆい気持ちになったが、なんとか顔に出さないように堪える。
「まあ、もう日課になっちゃったからね」
「えらいね〜もしできたら、私も手伝いたいな、私は見ることしかできないから」
そう、悲しそうに呟き少し肩を落とした。
ふと、ミオの何気ない一言でここで僕はあることに気がついた。
「もしかして、成仏できない理由ってそれじゃないか」
「えっ?」
「だって、ミオは今やりたいけどできないことがあるって言っただろ」
「うん、確かにできないことはいっぱいあるね」
「だから、そのやりたくてもできないことをやっていけば成仏できるんじゃないかな?」
「確かに」と言いながらミオは大きく頷く。
「じゃあ、こうしよう」
そう言って僕はあるノートをミオに差し出した。
「これはノート?」
「うん、このノートにミオがやりたいこと、何個でもいいから書いてみてくれ、それを一緒に叶えていかない?」
「私の本当にしたいことか、でも、君に迷惑じゃないかな?」
「いやいや、僕は元々、暇な人だし、なかなか、僕みたいなミオの話を聞ける人も少ないと思うよ」
ミオは申し訳なさそうに机に置かれたノートを見ている。
「じゃあ、お願いしてもいいかな?」
「ああ、もちろん、僕が言い始めたことだからね」
ミオは何度も僕にお礼を言ったが彼女の助けになれるならそれでいいと思っている。
その日の授業中、ミオの方を見てみると、ずっと考えていたり、何か楽しそうにしている。
それを見ていると、とても楽しくてこっちまでにやけてしまう。
「おい、宮田、何、空見てニヤニヤしてんだ、授業に集中しろ」
「はい、すみません」
僕が注意されると、ミオは少し肩を落としている僕を見てまたくすくすと笑っているのであった。
そうして1日が終わりミオはノートに書き記した。
僕がみるとミオがノートに書いているように見えているが多分見えない人が見ると文字だけが浮かび上がってくるような状況なのだろう。
そんなことを思っていると、ミオは楽しそうに「書けました!」と言ってノートを指差した。
ミオが指差したノートを見るとやりたことがびっしりと番号が振ってあって丁寧に書かれていた。
「これが今やりたいこと?」
「はい、自分でやりたいことを考えているとつい楽しくなってきて、こんなに多くなってしまって」
えへへ、と少し恥ずかしそうに頭を掻きながらこっちを見てくる。
「ああ、やりたいことっていっぱいあっるよな、これから一つ一つ叶えていこう」
「はい!」
そう言うと、ミオはノートを持ち上げた。
しかし、僕のノートはそのままだがミオの腕の中にはノートが抱きしめられている。
「ん?そのノートは」
「ああ、私は物には干渉できないんですけど、こうやって幻影?
と言うか簡単にいえばコピーをとって私も使えるようにすることができるんです」
「へ〜そりゃ便利だ」
「でも、私が使えるようになったとしてもやっぱり現実の物には干渉はできないですけどね」
そう言ってミオはノートどこかへしまった。
改めて、ミオが書いた願いを見てみるとたくさんあり、その数100個あった。
(これは結構あるな)
確かに膨大だが叶えられないわけではない、彼女のことを手伝えるならそれでいいと思う。
「じゃあミオ、これから、この願いを叶えていこう」
「はい!」
ミオは僕に飛びつこうとしたが当然すり抜けてしまう。
当たり前のことに気がついたミオは少し、残念な表情をしたがすぐに笑いいつもの笑顔に戻った。
彼女が心からの幸せが得られるように僕も頑張って手伝っていこうと改めて思った。