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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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番外編 初デート


 ある日の休日。


 駅でとある人を待って、時計台の前に立っていた。

 時刻は九時四十分。

 待ち合わせまではあと二十分もあるし、気長に待っていようと思ったのだが……。



「あ、良介~!」



 パタパタと駆け足でやってくる彼女。


「おはよう、良介。随分と早いわね」


「それはこっちのセリフだよ、一ノ瀬」


 俺が言うと、一ノ瀬は照れくさそうに微笑んだ。

 そして俯き、口先をとがらせて言う。


「だって……今日は良介との初デートだもの。一秒でも長く一緒にいたいと思うのは普通でしょ?」


「うん、そうだね」


 一ノ瀬がそう思ってくれているのが素直に嬉しい。

 なんて会話をしていると、駅の方から間もなく電車が来るというアナウンスが聞こえてきた。


「ちょっと早いけど、あの電車に乗って行こうか」


 そう言って歩き出す。


「うん、そうねっ」


「うおっ」


 一ノ瀬が俺の横に並び、腕にしがみついてきた。

 ふわりと香るフローラル系の匂いに、押し付けられる豊かな胸の感触。


「行くわよ、良介っ」


「う、うん」


 思わずドキドキしてしまう。

 一ノ瀬を待たせまいと早く来たのだが、その選択は間違ってなかったようだ。

 だってこんなにも可愛い彼女と長く一緒にいれるのだから。


 一ノ瀬と密着しながら改札を潜る。


「♪~」


 やけに上機嫌な一ノ瀬に、頬が緩んでしまう。

 楽しみにしてくれているみたいでよかったな。



「……行ったね?」


「うん、私たちも……」



「二人とも~! 早くいかないと置いていかれちゃうよ~」



「ちょっと! 声デカいって!」


「気づかれちゃうよ⁉」


「ごめんごめん~」










 その後、電車に乗ってやってきたのは大型ショッピングセンター。

 

 今回のデートは一ノ瀬に全て任せており、最上階にある映画館に入った俺たちは、最近流行りの恋愛映画を堪能。


「あれが世の中のカップルなのね……勉強になったわ」


「楽しみ方が違う気がするんだけど……」


 二人で映画館を出る。



「うぅ、うぅ……時子ちゃん……よかった……よかったよぉ!」


「泣きすぎだから。ほら、私たちも行くよ!」


「恋愛っていいね~」


「のほほんとしすぎだから!」



 そして次にやってきたのは、レストラン街にあるタイ料理。


 実はこの大型ショッピングセンターに来たのは、一ノ瀬がこのタイ料理を食べたいと言っていたからで……。


「カオマンガイにパッタイ……ん! 美味しい……!」


「(なんかもさもさ食べてて、小動物みたいで可愛いな)」


 すると一ノ瀬が俺の視線に気が付き、


「な、何よ」


「いや、一ノ瀬は可愛いなって思って」


「っ! もうぅ……不意打ちはダメなんだから」


 照れる一ノ瀬。

 なんだかこっちまで気恥ずかしくなってくる。

 


「きぃいいいいいいいいい!」


「落ち着いて! バレちゃうから!」


「我慢我慢~」


「このぉ……」



 そして次に訪れたのは猫カフェだった。


 ファンシーな部屋をとてとてと我が物顔で歩く猫たち。

 餌を持った一ノ瀬の周りには、猫たちがたくさんすり寄ってきており……。


「す、すごいわ良介! 猫さんがいっぱいいるわ! わぁ……!」


「あははっ、よかったな」


「えぇ!!」


 猫に目をキラキラと輝かせる一ノ瀬。

 俺から見れば、世の中の可愛いをすべて集めたような景色が目の前に広がっていた。

 これがデートか……楽しいな。


 猫カフェも大満喫の俺たち。



「すごい……! 猫ちゃんがこんなにいるなんて……! あ、あたしの餌食べたんだけど⁉ 養いたい……!」


「宮子ちゃん⁉ 隠しきれない母性出てるよ⁉」


「猫飼いたいな~」


「二人とも⁉ 普通に満喫しないでよ~!」



 その後はゲームセンターに雑貨屋、そしてカフェで一休憩したりと一日デートを満喫し……。


 気づけば辺りはすっかり暗くなっていた。


「次に行く場所が最後なのか?」


「そうよ。初デートに必ず行こうと思ってた場所があるの」


「そ、そうか」


 そう言う一ノ瀬だったが、現在俺たちは飲み屋街を歩いていた。

 当然飲み屋に入れる年齢じゃないが、一ノ瀬は構わずずんずんと奥に進んでいく。


 だんだんと人気が少なくなり、不安に思っていると……。


「着いたわ、ここよ」


「え? ここって……」


 ピンク色の照明に、『休憩』と書かれた看板。

 間違いない。ここは……。



「ラブホテルよ」



「ら、ラブホテル⁉」

 

 思わず聞き返してしまう。

 

「ほら、私たち付き合ったじゃない? だからそろそろ……ねぇ?」


「いや、そうだけど……」


 困惑していると、一ノ瀬が俺の腕に抱き着いてくる。

 そして口を俺の耳に近づけると、息をたっぷり含んで囁いた。



「良介ってあんなに強いのに……ふふっ♡ こういうことには弱いのね?」



「っ!!!」


 背筋がぞくっと震える。

 一ノ瀬は魅惑的な笑みを浮かべながら、入口の方へ俺を引っ張り、そして……。





「「「ちょっと待ったぁああああああああ!!!!」」」





 背後から声が聞こえてくる。

 振り返ると、そこには鬼の形相で駆け寄ってくる花野井たちがいた。


 すぐに俺と一ノ瀬の間に割り込むと、慌てたように肩を掴んでくる。


「何考えてるの二人ともっ! は、初デートでほ、ほ、ホテルなんて……! ダメ! 不純異性交遊ダメ!!!」


「いや、その……やっぱりつけてたんだな、俺たちのこと」


「……へ?」


 俺が言うと、三人が呆気にとられたようにぽかんと口を開く。


「気づいてたの⁉」


「そりゃな。待ち合わせしてた駅からだろ?」


「う、嘘……」


「さすが九条くんだね~」


「さすがじゃないから……全く、人のデートについてくるなんてありえないわよ」


「初デートで彼氏をホテルに連れ込もうとしてることの方がありえないでしょ!」


 瀬那が一ノ瀬に迫る。


「別にいいでしょ? だって私たち“付き合って”るんだから」


「「「っ!!!!」」」


「で、でもぉー!」


 揉め始める四人。

 ホテル街を通りかかった人にはものすごく見られ……。



「ねぇねぇ、あれ修羅場じゃない?」

「うわ、男めっちゃイケメンじゃん」

「それに女の子たちも全員可愛いし……」

「需要しかない修羅場だな」

「ほんとにね」

「若いっていいなぁ~」



 俺たちはホテル街でありえないほどに注目を集めていた。

 しかし、四人はそんなのお構いなしに依然として揉めている。


「邪魔するんじゃないわよ! 今から私と良介は初体験を済ませて、晴れて一つに……」


「絶対ダメーーーーー!!!」


「あ、あはは……」


 苦笑いを浮かべるしかない俺。


 できることは増えた俺だけど、こういうときの対処方は情けなくも全くわからない。

 やはり女の子というのは難しいし、わかる日は来そうにない。


 ……そして。


 まだまだこれからも騒がしい高校生活が待っているんだろうなと、俺は四人を見ながら漠然と思うのだった。



番外編でした!

ここまで読んでくださり、ありがとうございます(o^―^o)ニコ


お知らせです!

新連載がスタートしました!


「俺のフラれる動画がバズったら、他校で有名な美少女たちが殺到しました」


です! よかったらご覧ください!→(https://ncode.syosetu.com/n0622km/1/)

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一ノ瀬としか付き合わないのなら ハーレムというより純愛かな?
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