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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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第79話 往生際


 映像がぷつんと切れ、元の配信映像に戻る。

 ざわつく教室。



「ねぇ、さっきの見た?」

「須藤ってあんな感じだったんだな」

「めっちゃヤバくね?w」

「大ニュースだよなwww」

「ここ最近の須藤おかしかったもんな」

「ほら、こないだの全校集会でさ!」

「学校来てなかったのもこれが理由か……」

「マジキモイよねwww」

「爽やかイケメンみたいな面して実際は……」

「ここまで気持ち悪い人初めて見たかもw」

「須藤くん好きだったのとか忘れたいwww」

「人生の汚点wwww」



 須藤の評価が地の底に落ちている。

 そりゃそうだ。

 それだけの映像が今、流れたのだから。


 ふとスマホにメールが届く。


『実行完了っす。あとはターゲットを警察が回収して終了っすね』


 二宮さんからのメール。

 実は今回、映像が流れるように二宮さんに依頼していた。


 しかし、これは故意的に流した映像ではない。

 というか、最終的に映像を流したのは“須藤自身”だ。

 

 昨日、須藤の表情を見て何か仕掛けてくると思い、二宮さんや他の常連の力を借りて須藤の動向を探り。

 俺のフェイク動画を流そうとしていることが分かり、もし動画を流そうとすればこちら側が用意した動画が流れるように細工した。


 つまり、須藤の命令により須藤の評価が地に落ちるような動画が流れたのだ。


 この場合を想定し、千葉に声をかけておいてよかった。

 やはりどんなことにも対応できるよう、手数を多く持っておくに限る。


「ねぇ良介くん、あの映像って……」


 花野井と葉月、瀬那に一ノ瀬が俺のところにやってくる。

 やっとこれを伝えられる日が来た。


「これで須藤も終わりだ。だからもう須藤に脅かされることもない。だから安心していい。もう大丈夫だ」


「良介……」


 みんな安心したように一息つく。

 きっと怖かったに違いない。

 瀬那に限っては妹の萌子ちゃんを誘拐されているわけで。

 刷り込まれた恐怖は、簡単に拭えるものじゃなかったと思う。


 しかし、これから須藤が犯した犯罪。もちろん、“俺の家”を燃やしたことも含め、罪に問われるだろう。

 この情報をかき集めるのにも相当苦労したが……これで終わりだ。


「すみませんー!」


「あ! はーい! ただいま~!」


 花野井が客のオーダーを取りに行く。

 須藤との一件は終わったが、文化祭はあと少し続く。

 ラストにかけて客の数も増え続けており、まだまだ忙しさから抜けられそうになかった。


「良介くん! パンケーキ五枚お願いできる⁉」


「五枚⁉」


「九条くん~! アイスとドリンクの追加注文が入って~」


「なんかめっちゃお客さん来たんだけど⁉ ちょっと列整備してくる!」


 慌ただしく教室の外に出て行く瀬那。

 

「うわっ! 鉄板一個壊れた!」


「まだシフト三人足りないんだけど!!!」


「つーか材料! そろそろヤバいかも!」


 ……どうやらこっちの方は、まだまだ一息つけそうにない。

 俺は一度、フードを作ることに集中して手を動かす。

 

 もう俺にできることはない。

 だってもう、終わったのだから。


 ……でもなんだ?

 胸に残る、この嫌な予感は。


「九条! パンケーキヤバい!!! 高速で頼む!」


「あ、あぁ。わかった」





     ♦ ♦ ♦





 ※一ノ瀬雫視点



 教室が人で溢れかえる。

 

 ラストはどこも混むけれど、ここまではさすがに予想していなかった。 

 

「誰かー! 材料取りにいける人いる⁉」


「いけるわよ。確か四階の空き教室よね?」


「そう! ついてきてもらってもいい⁉」


「わかったわ」


 実行委員についていき、教室を出る。

 廊下も人で溢れていて、その間を縫って急いで階段を上っていった。


 それにしてもよかった、すべてが片付いたみたいで。

 これで良介も、安心できるわね。


 ……うん、本当によかった。





     ♦ ♦ ♦





 ※須藤北斗視点



 何もやる気がわかない。


 人生終了だ……もう、ダメだァ……。

 気力もなく、ただ人を避けて四階に上がる。

 この階のほとんどが空き教室になっていて、人気が全くなかった。


 ……もう、屋上から飛び降りるかァ。

 この先のこと考えたら、死んだ方がマシかも知れねェよなァ……。


「なんでこんなことになっちまったんだよ、俺はァ……」


 これまで、俺の人生は完璧だった。

 すべてが思い通りで、誰もが俺に屈服し、羨望の眼差しを向けてきた。

 なのに……。


「九条ォ……」


 あいつに出会って、すべてが変わった。

 あいつがいなきゃ……あいつのせいでェ……。



「これで全部よね?」


「うん! 早く持っていこう!」



 ふと、空き教室から出てくる男と女に気が付く。

 しかも、そのうちの一人には見覚えがあって……。


「ッ!!!」


 その刹那。

 俺の体に電流が走った。

 体が、考えるよりも先に動いていた。



「ッ⁉⁉⁉」



 男を殴り飛ばし、雫の背後に回る。


「ちょ、ちょっと! って、須藤……!!!」


 暴れる雫を抑え込み、“アレ”を突きつける。

 すると雫の顔が恐怖で硬直した。


「そ、それは……」


「動くな。動いたらどうなるか……わかるよなァ?」


 雫がゆっくりと頷く。

 ククッ、いい子だぜェ……。


 まだ終わらねェ。

 もう人生、修復不可能なとこまで来てんだ。

 それも全部、間違いなくアイツのせいで……!

 このままじゃ終わらねェ……なんもなしには、終わらねェ……!!!


「もう終わっちまった俺だ。これ以上何しようが変わんねェよなァ……? ヒヒッ!!!」


 ――九条良介。


 あいつも道ずれ(道づれ)に、地獄に引きずり込んでやる……!!!!!!




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― 新着の感想 ―
他の皆さんが言う通り、見通しや爪が甘すぎる。後手後手になるけど元々のスペックの高さでなんとかなっていただけですし正直毎日更新してなければかなりの冗長で評価落ちていたんじゃないかな、と
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