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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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第75話 手遅れだよ、お前は


 日も落ち始めた時間帯。


 騒がしい声が遠くから聞こえてくる。

 対照的に静かなゴミ捨て場。

 そこには俺と須藤の二人だけ。

 触れればすぐに割れてしまうような緊張感がここにはあった。

 

「こうして二人だけで話すのは久しぶりだなァw下手したら四月の校舎裏、俺がお前に忠告した以来じゃねェか?」


「そうかもな。よく覚えてないけど」


「ハッ! お前にとってはその程度の思い出ってことかwさすがの大物っぷりだなァ九条さんよォ?」


「何が言いたい?」


「おいおいw俺と思い出話に花を咲かせる時間もないってか?w忙しいなァ、モテモテで大注目の九条さんはよォwww」


 須藤が薄ら笑いを浮かべる。


「どうだ? あの四人とはもう“ヤった”のか?」


 挑発的な笑み。

 明らかに須藤は、俺をイラつかせようとしている。


「彩花のおっぱいはさぞ大きくて柔らかくて気持ちいいんだろうなァw締まりもよさそうだし、言えば献身的に尽くしてくれるタイプだろ? 弥生は……意外に性欲が強いタイプだなァwたぶん出した後でも腰振ってよがってくるぜw」


 俺は黙る。

 ただ返答を求めていないのか、気にも留めず須藤は続けた。


「宮子はあのなりだ。どうせビッチだからアソコの締まりは微妙だが……プレイは抜群に上手いだろw舐められんのも最高だろうなァwww」


「……だから何が言いたい」


「雫は……アハハ! ありゃ嫌がってちょっと泣きながらも、実は体は求めてるっつータイプだなァwそういうのが一番気持ちいいんだよwどうだ? 何発ヤった? どいつを一番犯したんだァ?w」


「話はそれだけか」


 不快な話だ。

 意図が分かっていても、聞いていたくない。


「それだけじゃあねェよwww」


 須藤はそう言うと、俺に一歩近づく。

 そして汚い下卑た笑みを浮かべながら言った。






「燃えちまったお前の家、こんがり焼けて香ばしい匂いしてたなァw」






「ッ!!!!」


 感情が乱れる。

 すると須藤はニヤリと笑い、俺から距離を取った。


「そんなこえぇ顔すんなよ! どうした? 嫌なことでも思い出しちまったかァ?w」


「…………」


「気にすんなよ! お前の家が“ただ”燃えただけだろ? いずれお前も燃えるし、お前の母親も大切にしてる従業員も、どうせいつか燃えんだからよォwww」


「ッ!!!!!!!!」


 頭の中で明確に須藤の息の根を止めるイメージが浮かぶ。

 今の俺なら五秒とかからず、一瞬にして須藤を仕留められるだろう。


「おいどうした?w 泣くか? 泣いちまうか?www」


 須藤の方に向かって一歩踏み出す。

 すると須藤の口角が上がった。


「いいぜェ、殴っても。やれるもんならやってみろよwなァ? おいッ!!!」


 須藤がさらに俺を挑発する。

 俺はもう一歩踏み出し、須藤との距離を縮め。

 そして……。




「――お前の考えなんてお見通しなんだよ」




「なにッ⁉⁉⁉」


 須藤の胸ポケットから小型カメラを取り出す。

 驚いたように目を見開く須藤。


「どうせ俺を怒らせて手を出させて、それを動画に収めて拡散でもするつもりだったんだろ? ――甘めぇよ、考え方が」


「ッ!!!!」


 須藤に小型カメラを投げ返す。

 

「俺はそんな一時の感情に支配されない。前までは怒りで我を失うこともあったし、きっとあのままだったらお前に手を出してた。――けど、以前の俺じゃない」


 俺のことを心配してくれる人がいる。

 花野井、葉月、瀬那。

 三人が俺を思って、いつもの楽しい日常のままでいさせてくれた。


 それにあの日、薄暗い空き教室で一ノ瀬が俺に言ってくれたこと。

 言葉にならない“思い”を、温かい胸の中で教えてくれたこと。


 そのすべてが俺を冷静でいさせてくれる。

 大丈夫だ、俺は。

 こんな奴には負けない。

 絶対に――負けない。


「須藤、お前の思い通りにはいかない。俺が、俺たちがいる限り絶対にな」


「ッ!!! テメェ……調子乗ってんじゃねェぞォッ!!! 今までのお前は運がよかっただけだァ! すぐに落ちる! 力のねェ奴はすぐ落ちるッ!!!」


 須藤が声を荒げる。


「俺様だ! 俺様みたいな力ある奴が生き残ってく世界なんだよォ!!! だからァ! テメェみてェなぽっと出の奴がいつまでもイキがってられるほど甘い世の中じゃねェんだッ!!!!!!!」



「――そっくりそのままお返しするよ、須藤」



「ッ!!!!!!!」


「お前みたいな表で取り繕って、“裏”が脆くてしょうがない奴は生き残っていけない。そういう世の中だ。だから改心しろ、とはもう言わない。だってお前は“手遅れ”だから」


「手遅れだとッ⁉」


「もうお前に引き返す道はない。落ちていくだけだ。それがお前の未来で、定めだ」


「テメェ……!!!!!」



「これで“最後”にしよう、須藤」



 俺はそう言って、須藤に背を向けて歩き始める。

 もうこいつと話すことはない。“今”は。

 


「クソッ……クソがァッ! 九条ォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」



 もう後ろは振り返らない。

 ただ前に進んでいくだけだ。 



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