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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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第66話 終わりの始まり


 あっという間に夏休みが終わり。


 新学期が始まった。


「ねぇあれ見て!」

「何あのオーラ! カッコよすぎなんだけど!!!」

「新学期早々に“九条くん”見られるなんて、幸先よすぎ!」


 桜並木の道脇に立ち止まり、キラキラと目を輝かせる女子生徒たち。

 さらには……。


「おい見ろよ!」

「一ノ瀬に花野井、葉月に……瀬那まで⁉」

「美少女四天王が勢ぞろいじゃねぇか!」


 男子生徒たちまでもが、ある男女五人に熱視線を送っていた。

 

「新学期から大注目だね、良介くん!」


「宮子ちゃんも一緒に登校してるしね~」


「あ、あたしはそこでたまたま会っただけだし!」


「たまたまにしては誰かを待ってた感じだったけど?」


「っ! うっさい!!!」


「あはは……」


 随分と賑やかな集団。

 その中心にいる俺は、四人を微笑ましい気持ちで眺めていた。


 四月は俺一人でこの道を歩いていたのが、気づけば一ノ瀬と仲良くなって、その後に花野井、葉月、そして瀬那と話すようになって。

 こうして五人で登校することになるとは思ってもいなかった。


「……九条っ」


「うおっ!」


 瀬那が俺の腕にしがみつき、集団から抜け出す。


「宮子ちゃん⁉」

「ちょっと抜け駆け~?」

「何してるのよ!」


 三人からの声を受けながらも、瀬那が俺をじっと見つめる。

 そんな瀬那の顔はほんのり赤かった。

 

「ど、どうした?」


「い、いーや? ただやっぱり熾烈な争いだなって思っただけだし……?」


「熾烈な争い?」


「そ。でも……さ?」


 首を傾げると、さらに瀬那が密着してくる。

 そして上目遣いで小悪魔的な笑みを浮かべながら言った。




「九条はあたしのオトコだかんね?」




「「「ッ⁉⁉⁉」」」


「え? それってどういう……」


「九条は何も考えずに、あたしに身を預けてくれればいいし。そしたら……ふふっ♡ とびっきりの幸せをあげるっ♡」


 なんだこの妖艶で危険なオーラは。

 そういえば、一ノ瀬たちにも感じたことがあるような……。


「宮子、ちゃん?」


「っ⁉」


 本能が危機を察知して振り返ると、そこには俺と瀬那をおぞましい雰囲気で見ている花野井が立っていた。

 

「一人抜け駆けなんてさせないよ~? 九条くんの大好きは私のものだからね~?」


「は、葉月……」


 葉月までもが危険なオーラを放っている。

 そして……。


「良介は誰にも渡さないわよ? 絶対に、ね? ふふっ♡」


「一ノ瀬まで……」


 一ノ瀬が小悪魔……いや、魔女のような笑みを浮かべる。

 四人から命を狙われているかのような気分に陥る。

 この視線を一手に受けていると、心が全く落ち着かなかった。


「良介くんっ!」

「九条く~ん!」

「良介っ!」


「うわっ!」


 三人が俺にぴたりとくっついてくる。

 これで計四人が、まるでコアラのように俺にしがみついていた。

 

 なんだこれは……。

 柔らかい感触が文字通り体全体を包む。

 甘い匂いが充満しているし、何より四人の“目”がヤバい。

 獲物を狙う肉食動物のような、今にも食べられてしまいそうな……。



「ふふっ、あたしだけ見てよ、九条♡」

「良介くん、他の人に心動いちゃヤだよ?♡」

「九条くん、大好きだよ~♡」

「私だけを幸せにしなさい、良介?♡」



 囁かれる甘い言葉の数々。


「えっと……」


 なんて答えればいいんだろうか。

 そもそも、俺は……。



 ――キーンコーンカーンコーン。



 予鈴が鳴り響く。

 

「わ、もうホームルーム始まっちゃう!」


「今日はここら辺にしておこうか~」


「だねぇ。また今度」


「行くわよ、良介」


 四人が学校に向かって歩いていく。

 俺は四人の後ろについて、再び歩き始めた。


 ……いつか必ず来るだろう“その日”をぼんやりと思いながら。





     ♦ ♦ ♦





 ※須藤北斗視点



 車からそっと、学校へ歩き出す五人を見る。


「……雫、彩花、弥生、宮子…………九条、良介」



「…………許さない、許さない……許さない。許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」



「……………………ヒヒッ」



 お前をどん底に突き落としてやるよォ……どんなことをしてでも、なァ……。





     ♦ ♦ ♦





 その日はたまたま俺だけ進路関係で用事があり、学校を出たのが午後五時を過ぎたあたりだった。


「一人で帰るのも、随分と久しぶりだな」


 最近は必ず誰かが俺の家まで一緒に帰ってくれたわけだし。

 そのおかげで、毎日がこんなにも楽しい。

 夏休みの時も思ったが、誰かと一緒にいることがこんなにも楽しいとは思わなかった。


 中学の頃も、それ以前も俺は友達がいなかった。

 父さんが裏の人間で、家には見た目が怖い人ばかりいたし、それが噂になって避けられていたから。


 でも、別に俺はそれで構わなかった。

 常連客のみんなは俺に優しくしてくれたし、何より父さんが一緒に遊んでくれた。

 父さんが死んでからは、確かに寂しかったけど……それにも慣れてきていた。


 けど、今はその寂しさを思い出せないほど、人に囲まれている。

 いつかちゃんと、この“感謝”の気持ちを四人に伝えよう。

 それから……。



「ん?」



 ふと、空に煙が上っているのが見える。

 それも、俺の家が、店がある方角で……。


「――ッ!!!!」


 嫌な予感が体に走る。

 外れてくれと願いながら家に向かって駆け出すも、近づくたびに予感は大きくなり……。





「ッ!!!」





 路地裏に入り、家が見えたところで立ち止まる。

 赤い炎が、黒い煙が視界いっぱいに広がっていた。



「俺の家が、店が……燃えてる」



 




ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

次回より最終章開幕です。

この物語の行く末をぜひ最後まで見守ってください!


更新に関してですが、12月13日金曜日、20時より再開させていただきます。

同時に新連載ラブコメもスタートしますので、合わせて楽しみに待っていただけますと幸いです…!


諸々の情報は「本町かまくら」Xアカウントや近況ノートで上げることがあるかもしれませんので、ぜひXアカウント、作者フォローしていただけますと助かります!

では、お楽しみに!!!

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― 新着の感想 ―
放火は死刑もしくは無期懲役または懲役5年以上……なんだけど、放火したのが須藤の場合、心神喪失状態で無罪って可能性もあるんだよな。しかも未成年だし。 うん、警察に突き出すのだけはやめとけ。
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