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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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第59話 突入


 スマホ越しに聞こえてくる瀬那の息遣いが荒い。

  

 緊急事態が起こったのだとすぐに分かった。


「一旦落ち着こう瀬那。深呼吸だ」


『で、でも……!』


「大丈夫だ。俺を信じてくれ」


 力強く言うと、瀬那が息を吸ってゆっくり吐く。

 混乱状態に陥ったとき、一度呼吸を整えなければ一番近道な解決策は見つからない。

 瀬那が少し落ち着いたのを感じ取ると、本題に入った。


「どうした? 萌子ちゃんに何かあったのか?」


『も、萌子が公園で遊んでるときにいなくなっちゃって! ちゃんと見てたつもりなんだけど、一瞬目を離した隙に!!!』


「萌子ちゃんが……」


 おかしい。

 瀬那が目を離したとはいえ、荒瀧組の組員がサポートしてくれていたはずだ。

 でも実際いなくなったということは……。


 瞳さんのスマホが鳴る。


「もしもし。…………わかった」


 重々しく頷くと、電話を切る瞳さん。

 真剣な眼差しで俺を見る。


「マズいことになったよ。荒瀧組の人たちが襲われて、強引に……」


「っ!!!」


 やっぱりそうだったか。

 元々ターゲットが瀬那だったから、組員の人たちも瀬那をメインに守っていた。

 もちろん萌子ちゃんも守っていたのだが……まさか萌子ちゃんの方をさらうとは。

 

『もしもし⁉』


「ごめん。それで、萌子ちゃんの居場所に心当たりとかあるか?」


『それが、さっき見知らぬ人から電話がかかってきて! メールにも位置情報が送られてきて、ここにあたし一人で来いって! それも、萌子の写真付きで……!!!』


「なっ……!」


 瀬那一人で来いとあっちが言っているということは、目的は萌子ちゃんじゃなくて――瀬那。

 ってことはこの件、やはり……“須藤”の仕業か!


『ねぇ九条! あたしどうすればいい⁉ あたし、あたし……!!!』


 スマホから涙を流す瀬那の声が聞こえてくる。

 ……俺の失態だ。

 荒瀧組の人たちを襲ってまで、強引な手段に出ることを予想していなかった。

 そもそも、組員たちは相当な腕の持ち主のはず。

 それを上回るほどの力があっちにあったなんて……クソっ!

 予測できたはずなのに!


 ……いや、一度落ち着け俺。

 あっちの目的が瀬那である以上、萌子ちゃんに危害が加えられる可能性は低い。

 つまり――ここからどうにかできる。


「瀬那、その位置情報を俺に送ってくれるか?」


『え?』


「とにかく送ってくれ。一分一秒でも萌子ちゃんに怖い思いをさせたくない」


『わ、わかった!』


 瀬那から位置情報が送られてくる。

 ここから……飛ばせば十分くらいか。

 

『九条! やっぱあたしが行くしかないよね⁉ 萌子のためにも……!!!』


「大丈夫だ、瀬那。瀬那が行く必要はない」


『でもどうすれば……!』




「――俺が行く」




 瀬那を安心させるように、できる限り力を込めて言う。

 そして俺はちらりと瞳さんに視線を送った。

 瞳さんは意図を読み取ったのか、頷いてすぐに部屋を出ていく。


『九条が……』


 瀬那の声は、依然として震えていた。

 それに困惑している。

 だからこそ、俺が言う必要がある。


「大丈夫だ。俺が絶対に何とかする。だから瀬那は家で待っててくれ」


『でも、これはあたしの問題で……』


「だからだよ。瀬那が行くのは危険だ。不安なのはわかる。それに……守るって言って守れなかったのは俺だ。その責任がある」


『そんなことないよ。あたしが萌子を守んなきゃいけなかった』


「なら、その気持ちも俺に預けてくれ。大丈夫だ。俺が萌子ちゃんを必ず連れ戻す。今度こそ、必ずだ」


『九条……』


 俺には責任がある。

 言ったのもそうだし、須藤の精神をここまで追い込んだのも俺だ。

 萌子ちゃんが攫われたのも、瀬那が辛い思いをしているのも原因は俺なんだ。


 だから、俺が何とかしなくちゃいけない。

 それに何とかしたい。

 萌子ちゃんが、瀬那が悲しい思いをするなんて許せないから。

 こんな理不尽、あっちゃいけないんだ。


「瀬那は信じて待っててくれ。頼む」


 俺が言うと沈黙が重く横たわる。

 しばらくして、瀬那が覚悟を決めたように口を開いた。



『ごめん。お願い、九条。あたしの妹を助けて』



 言葉を、思いを託され身が引き締まる。


「――当たり前だ」


 そう答えると、電話を切った。

 すぐに家を出る。

 するとヘルメットを瞳さんから投げ渡された。


 バイクのエンジン音が路地裏に響き渡る。

 すでにバイクにまたがった瞳さんが、勇ましくエンジン音を見せつけるように鳴らした。


「行くよ、りょうちゃん」


「あぁ」


 瞳さんの後ろにまたがり、バイクが勢いよく発進する。

 今の内にやれることをやっておこう。

 俺のすべてをかけて、萌子ちゃんを助けよう。


 だって俺は瀬那に約束したんだから。


 ――俺が絶対に、萌子ちゃんを助ける!!!





     ♦ ♦ ♦





 ※須藤北斗視点



 遠くから状況を眺める。

 宮子の妹が奥にいて、その周りを選りすぐりの戦闘員たちが囲っていた。


「ヒッヒッヒッ……完璧だァ」


 あとは宮子が来るだけだが……。


「北斗さん。ターゲットから返信ありました。すぐに来るそうです」


「ッ!!! ……うへへへへ。アハハハハハハッ!!!! そうか、それはよかった!!!!」


 ってことはもうそろそろ愛しの宮子と会えるってわけだなァ?

 うへ、うへへへ……楽しみだぜェ……。

 俺を見て、どんな顔してくれるかなぁ。

 俺が触れて、俺のモンをぶち込んで、どんな顔で、声で喘いでくれんのかなぁ……。


「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!! だのじみぃだぜぇ!!!!!」


 さぁ宮子ぉ。

 早く俺んとこに来いよぉ……なぁ? 

 お前は九条のモンでもなくて、ただ一人。俺だけの……。





 ――ガタンッ!!!!





 突如、扉が開かれる。


「ッ⁉⁉⁉⁉⁉」


 慌てて隠れ、遠くから確認する。

 するとそこには――


「ッ!!!!!!!! アイツはァ!!!!!!」











「――萌子ちゃんはどこだ」











「九条ォッ!!!!!!!!!」


 


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