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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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第52話 夏休みだ!


 セミの声が開いた窓の外から聞こえてくる。


 差し込んでくる日差しの眩しさにやられて、思わず目を細めた。


「明日から夏休みが始まるわけだが、とにかく節度を持って楽しむこと。夏休みに遊ぶのも学生の本分だからな。以上。号令」


 担任教師の淡白な言葉。

 日直が待ってましたと言わんばかりに号令をかけ、それと同時にチャイムが鳴り響く。


 呆気なく、夏休みがやってきた。


「良介、帰るわよ」


「おう」


 一ノ瀬が早々に俺の席にやってくる。

 すると慌てたように花野井もやってきた。


「ま、まだ帰らないよね⁉ 私を置いていこうとしてないよね⁉」


「残念だわ。私は乳牛を置いていこうと思ってたから」


「なっ! そ、そうなの良介くん⁉」


 花野井が半泣きで俺に訊ねてくる。


「一度も置いていこうとしたことないだろ」


 一度も一緒に帰る約束もしてないけど。


「よかったぁ……」


 安心したようにほっと胸を撫でおろす花野井。


「あ~もうみんな集まってる~」


 太陽に負けないくらいの笑顔でやってくる葉月。

 こんなにも暑いというのに、全くそれを感じさせない。

 それは一ノ瀬にも、花野井にも言えることだけど。


「夏休みだね~」


「もう⁉ って感じだよね! 思えばここ最近、結構あっという間だった気がする!」


「期末テストがあったくらいで、特に何かあったわけじゃないものね」


「そうだな」


 なんて会話をしているうちに帰り支度が終わり、鞄を肩にかけて立ち上がる。

 するとある女子生徒が花野井と葉月の前にやってきた。

 金色の長い髪が夏風にふわりと膨らむ。


「あ、宮子ちゃん!」


「やっと夏休みだねぇ。マジ暑いけど」


 瀬那がワイシャツをパタパタと仰ぐ。

 その隙間からちらりと下着が見えて、思わず目をそらした。

 

「一応夏休み入るし、挨拶しとこうと思ってさ」


「夏休みも会う予定立てようね~」


「それいいね! 絶対! 約束ね!!!」


「あははっ! うん、めっちゃ楽しみにしてる」


 楽しそうに笑う三人。

 ちなみに、一ノ瀬は瀬那たちの会話を黙って聞いていた。

 同じ美少女四天王とはいえ、あまり仲良くないしな。

 そもそも、一ノ瀬が仲よくしている特定の人があまり思いつかないが。

 まぁ何と言っても“孤高の美少女”だからな。


「じゃ、私は帰るから。また今度ね」


「うん!」


「ばいば~い」


 瀬那が軽く手を振って、俺の席の横を通っていく。

 その一瞬。ちらりと瀬那が俺を見た。

 相変わらず瀬那の目は怖い。

 ギャル特有の圧があるというかなんというか。

 でもこの二人と仲がいいなら、間違いなくいい人なんだろう。

 ……今は少し怖いけど。


「…………」


 花野井が瀬那をじっと見つめる。


「どうした?」


「いや、そういえば須藤くんいなかったんだと思って」


 須藤の名前を聞いて、ふと須藤の席を見てしまう。

 そこは空席になっていて、荷物は一つも残っていなかった。


 あれ以来、須藤はずっと学校に来ていない。

 その理由は不明だが、俺たちはあのときの須藤を見ているので察しがつく。

 やはり相当精神的にダメージを受けていたんだろう。

 エースなのにバスケ部の練習にも来ていないみたいだし、問題の根は深そうだ。


「このクラスは来ない人多かったね~」


「そうね。そういえば“あの人たち”も体育祭以来来てないし」


「……そう、だね」


 花野井が沈んだ様子で千葉たちの席を見つめる。

 体育祭の一件で謹慎を食らった千葉たちだが、謹慎明けも結局学校に来ていなかった。

 

 そりゃそうだ。

 だってあれだけのことをしたのだから。

 学校での立場を考えると来づらいのは間違いない。

 それもカーストを気にする彼女たちならなおさらだ。

 

「花野井は気にすることないからな」


「……うん、ありがと」


 やはり花野井は優しい。

 あれだけ暴言を吐かれ、濡れ衣を着せられそうになったにも関わらず千葉たちの現状を憂うことができるのは花野井の良さだなと思う。


「ま、私たちは私たちで楽しむだけよ。せっかくの夏休みだもの。満喫しなくっちゃ」


「一ノ瀬が前向きな発言するなんて珍しいな」


「良介は私のことなんだと思ってるのよ。私だって一女子高校生として、楽しみにしてたわよ」


「そうなのか。何か予定でもあるのか?」


「……まぁね」


「それはよかった」


「九条くんは予定あるの~?」


「俺は店の手伝いするくらいかな」


「そっか~。わかった~」


 葉月がニコニコと笑顔を振りまく。

 

「そろそろ帰ろっか!」


 花野井の言葉を皮切りに、俺たちは教室を出た。





     ♦ ♦ ♦





 夏休みが始まって、あっという間に数日が経った。

 

 代わり映えしない生活を送っており、今は炎天下の中買い出しに行っていた。

 さすがに外は暑い。


 一度涼んで、休んでから開店準備を始めよう。

 時間もまだまだ余裕があるし。

 

「ただいまー」


 扉を開けると、冷気が俺を出迎えてくれる。

 涼しいな……。


「ん?」


 あれ? こんなに靴多かったっけ?

 しかも全部女性ものだし。

 …………。


 ひとまず、買い出しの品を冷蔵庫に入れる。

 すると俺の部屋の方からゴソゴソと物音が聞こえてきた。


「…………」


 物を入れ終えてから、ようやく部屋の前に立つ。


「ちょっと乳牛! そこは私が先よ!」


「早い者勝ちって話だったよね⁉」


「本がいっぱいあるな~」


「りょうちゃんの匂い……落ち着くぅ♡」



「………………」



 勢いよく扉を開く。


 すると部屋には、想像通りの光景が広がっていた。




「「「「…………あ」」」」





「……何してんの、みんな」




 


 

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