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裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


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第36話 イケメン君の大失態


 それから数日が経った。

 

 気温が高くなり、本格的に夏を感じ始めていたのだが……。


「九条くんは休日どんなことしてるの~?」


「基本的に店の手伝いしてるな。たまに体を動かしたりするけど」


「そうなんだ~。私も家が美容室だから、家の手伝いしてるんだ~。一緒だね~」


 葉月が手を合わせてニコニコ笑う。

 実はここ数日、というかあの図書室の一件があってから。

 俺と葉月は頻繁に話すようになった。


 俺から話しかけに行くことはほとんどないのだが、 機会があれば葉月が俺に話しかけてくれるようになり……。

 ちなみに、その目的は一切わからない。

 

 そんな俺たちを、周りは当然不思議そうに見ており。


「おいおい。またあの二人が話してるぞ」

「葉月さんまで? 一ノ瀬さんと花野井さんだけじゃないの?」

「美少女四天王のうちの三人と関わりあるあいつマジで何者?」

「噂によると実はとんでもないイケメンで……」

「少女漫画の見すぎだろw」

「でも何かないとおかしいだろ」

「とはいえなぁ……」

「どうなってんだよこの高校は……」


 注目されてしょうがない。

 ただ今はいないが、ここに一ノ瀬と花野井が加わると注目度はかなり跳ね上がり。

 正直誰かに見られることにも慣れてきていた。


「そういえば九条くん。前から思ってたんだけど~」


 葉月が話を切り出した――そのとき。



「何の話をしてるのかな、二人とも」



 須藤が爽やかな笑みを浮かべながら割り込んでくる。

 

「あ、北斗くん」


「やぁ、葉月。もしかして神田ひるまの話? なら俺も混ぜてよ。葉月は知ってると思うけど、俺も神田ひるまの作品が大好きでさ! いいよね、九条?」


「あ、あぁ」


「ありがとう!」


 須藤がさも優等生のように白い歯を見せて微笑む。 

 しかし、この裏の顔を俺はもう散々知っているのでもはや怖い。


「そういえば最新作読んだよ! いやぁ面白かったなぁ」


「そうだね~。そういえば九条くん! 今作に二作品前の『海の街』とリンクするところあったよね~!」


「舞台になってた島が同じだったやつな。あの駄菓子屋が出てきたときは、さすがに痺れた」


「だよね~!」


 葉月がパーッと顔を明るくさせる。

 葉月は感情表現が豊かだ。

 それゆえに、葉月が今どう思っているのか顔を見ればわかりやすい。


「あ、あはは……確かに」


 須藤が苦笑交じりに頷く。


「それと中盤に出てきたセリフ、『海の街』の最後のセリフとリンクしてたよね~!」


「え、えっと……たし」


「あれだけど、そもそも登場人物がリンクしてるところあるよな。『海の街』のヒロインの高校生時代の考えに重なってるって言うか」


「……うん。うん! 確かにそうだね~! 私気が付かなかったよ~」


「す、すごいな九条」


「じゃあさ、四章の場面なんだけど~」


 葉月が興奮気味に切り出す。

 明らかに須藤は話に乗れていない様子だった。

 顔が引きつっており、葉月には見向きもされていない。

 ……もしかしてだけど須藤、葉月に近づくために神田作品読んでるだけで、あんまり好きじゃないんじゃないか?

 なんだかそんな気がしてくる。


「私的に冒頭の情景描写がいいなって思ったんだよね~」


「あ、あぁあそこね! 綺麗な海の描写がこう、切なく伝わってくるような……」





「え? 海の描写じゃなくて“空の描写”だよ~?」





「ッ⁉⁉⁉」


 俺の仮説を裏付けるような、決定的な一言。

 四章の冒頭は物語の山場の始まりであり、象徴的な描写だ。

 つまり、本当に読み込んでいるなら間違えるはずがない。


「そ、そうだったな! あ、あはは……」


 須藤が慌てて取り繕うように後頭部をかく。

 そんな須藤を葉月は見て、にこにこしたまま言った。





「ふぅん、そっか~」





 ぷいっと須藤から視線をそらすと、俺の方を見て話を続ける。

 何でもない相槌。

 しかし、その相槌にはあまりに“感情”がこめられていなかった。

 まるで須藤を諦めたような、突き放したような感じだった。


 そのことを裏付けるように葉月はそれからあまり須藤を見なくなった。

 まるで俺と“二人だけ”で話しているような、そんな感じで。


「ッ……!!!」


 須藤の顔が一瞬歪む。

 しかしすぐにいつもの余裕のある表情に戻り、俺たちの話を静かに聞いていた。





     ♦ ♦ ♦





 ※一ノ瀬雫視点



 お手洗いから教室に戻ってくると、教室中の視線がある一点に集まっていた。

 

「っ! 良介……」


 また良介が“あの女”と話している。

 きっかけは知らないけど、いつの間にかまた女の子を引っかけてきた。

 ちゃんと釘差しておいたのに……ほんっとに良介は罪な人。


 私はこんなにも良介を愛しているというのに……なんで私だけ見てくれないのよ。

 ……でも仕方がないわよね。

 良介はそれほどに魅力的だし、だからこそは私は……。


「良介……」


 良介を見ているだけで体が熱くなってくる。

 今すぐ良介を奪い去りたい。

 どこか二人きりになれる場所に行って、体いっぱいに良介を感じて……




「「ふふっ♡」」




「っ⁉」


 慌てて隣を見ると、私と同じように良介を見て頬を緩ませている乳牛が立っていた。

 こ、この女も……。


「ちょっと乳牛。私の良介を見て興奮しないでくれる?」


「っ! そ、それは一ノ瀬さんもでしょ!!! 私の良介くんを……!」


 睨み合う。

 この乳牛も危険だ。

 私はこんなおっぱい持ってないし、体だって良介の理性を壊せるほどえっちじゃないし……。


 あぁもう!

 どうして私の愛する人は、こんなにも罪深いの⁉



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