表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏の顔がヤバいイケメン君が狙う美少女を助けてから、気づけば彼のハーレムごとブチ壊して美少女全員オトしていました  作者: 本町かまくら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/86

第12話 論破されるクソ女+デジャヴ須藤


「もうやめたら?」


 思わず声をかけてしまう。

 まさか体操着を忘れて戻ったらこんな状況になってるなんて……。

 でも、さすがに見て見ぬふりはできなかった。


 それに俺はこうなるかもしれないと思っていた。

 ここ最近感じていた、不気味な雰囲気の正体。

 それは花野井に対する、千葉たちの嫌悪の感情だったから。


「は? 誰あんた」


「ほら佳奈子。一ノ瀬さんの……」


「あぁ、あの陰キャかww」


 陰キャで覚えられているのか。

 いや、間違いじゃないけど。


「何、やめたらって。ヒーロー気取り?w マジキモイんですけどwww」


「あ、もしかして九条、花野井さんのこと好きなん?w絶対そうでしょwww」


「やっぱり陰キャに好かれてんだwww狙い通りでよかったね!wwww」


「っ……」


 花野井の表情が歪む。


「し、失礼だよ、九条くんに」



「「「……は?」」」



 花野井の言葉に、女子たちが明確に苛立った。


「何あんた、この期に及んでそういうこと言うわけ?」


「やっぱりこいつマジでキモイわ。善人気取りやがって……!」


「でもよくないよ! 陰キャとかそういう風にクラスメイトを悪く言うなんて!」


「っ!!!」


 さっきまで委縮していた花野井が言い返す。

 あんなに自分のことを言われても黙っていた花野井が、だ。


「アッタマきた。あのさ、ちょっと周りから好かれてるからって、調子乗ってると――」



「だからやめろよ」



 強引に話を遮る。

 すると千葉が俺のことを睨んだ。


「黙ってくんない? 陰キャに発言権ないからwwww」


「それは俺が学校でのカーストが低いからか?」


「そうに決まってるでしょ? 身の程わきまえてくんない?ww」


「なら、身の程わきまえてないのは千葉たちもじゃないか?」


「……は?」


 千葉が俺を睨む目をより険しくさせる。

 しかし、これで怯むような俺ではない。


「だってさ、千葉たちより花野井の方がカースト“高い”だろ。千葉の論理で言えば、千葉たちに花野井をとやかく言う権利はない」


「ッ!!!!」


 うろたえる千葉たち。

 俺は続ける。


「花野井はクラスの委員長で、しかも美少女四天王って言われるほど男子からの人気も高い。普通に考えて、学校の地位で言ったら花野井はトップクラスだ。それで千葉たちはその四天王の中に入ってるのか?」


「そ、それは……」


「もちろん容姿がすべてとは思わない。けど、花野井はクラスで色んな人に慕われてる。それは同じクラスならよくわかるだろ」


 これで黙り込んでくれたらよかったのだが、


「あ、浅いからそんなの。だってこいつは善人ぶってるただのぶりっ子! そんなんで人気集めても意味ないから!」


「でもさ、“人気だから”千葉たちが嫉妬してるんだろ? さっきの話聞いてる限り、千葉たちが花野井のことをひがんでるようにしか聞こえない」


「なっ! あ、あんたねぇッ! さっきからペラペラとうるさいのよ!!!」


「散々花野井に言ってた千葉たちの方がうるさいだろ。自分を棚に上げるのはやめてくれ」


「ッ!!! 九条ッ……!!!」


 千葉が俺の方に一歩踏み込んでくる。


「陰キャは黙っててッ! なんの取柄もないくせに!!!」


「それはそうかもな」


「クッ……こいつ!!!」


 俺が全く相手にしないとわかると、また花野井の方を見た。


「よかったね。クソ陰キャにフォローされてwww」


 そしてもう一度、嘲る笑みを浮かべて俺を見る。 


「でも知ってた? こいつは須藤くんに好かれたいために善人ぶってた偽善者だから! 九条なんてただの踏み台だよwwwww」


「そんなことない!」


「偽善者は黙ってろッ!!!!!!」


「っ!!!」


 もうこれ以上見てられないな。

 早く終わらせよう。


「……須藤に好かれたいのは千葉たちだろ?」


「ッ⁉」


 三人が驚いたように俺の方を見る。


「知ってるよ。千葉たちがいつも須藤のこと見てるの。それに花野井たちがいないとき、積極的に話しかけてるよな? “クソ陰キャ”だから、クラスはよく見てるんだよ」


「な……!」


「邪魔だったんだろ? 気に入られてる花野井が」


「うるさいうるさいッ!!! うちはただこいつが気に食わないだけだし!!!!!」


「それ、同じ意味だよ」


「こ、この……ッ!!!!」


 千葉が殴り掛かる勢いで俺に迫ってくる。

 ――しかし。




「「「ッ!!!!!!!!!!!!!!」」」





 千葉を睨み返し、圧を出すと足を止めた。

 顔が恐怖で滲む。


「な、なんなのあんた……」


 千葉の顔が強張る。

 俺はトドメと言わんばかりに、三人に言い放った。




「花野井はすごい奴だ。こんなに周りから好かれてる奴を俺は知らない。実際俺もお世話になってる。それは千葉たちもだ。だから――これ以上はやめろ」




「ッ!!!!」


「か、佳奈子行こ」


「こんな奴相手にしなくていいよ」


「う、うん」


 二人に連れられ、千葉が逃げるように教室から出ていく。

 顔は生気を失ったようにげっそりとしていた。


 ……少し大人げなかったか。


「大丈夫か、花野井」


 声をかけると、ハッとする花野井。


「う、うん! あ、ありがとね! その、色々と」


「いいよ、別に。俺もカッとなって言ったところあるから」


「そっか。……カッとなってくれたんだ」


 そう呟く花野井の頬が赤いように見える。


「大丈夫か? 顔赤いけど、熱でもあるんじゃ……」


「っ!!! だ、大丈夫! 大丈夫だから!!!」


「でも……」


「大丈夫だから!!!!!」


「そ、そうか」


 ならこれ以上俺が言うことはない。

 ちょうど夕暮れ時だし、夕陽のせいなんだろう。





     ♦ ♦ ♦





 ※須藤北斗視点



 夕日に染まった廊下を歩く。

 

 実は練習が早く終わり、教室で作業してるだろう彩花の下に向かっていた。

 きっとあの量は時間がかかるはず。

 ここで俺が手伝いに行き、二人きりで作業すれば……クックックッ。


「また好感度が上がっちゃうな……!!!」

 

 全く、女というのはチョロい。

 俺の手にかかればチョロすぎる。

 直近で例外はあったものの……まぁ、あれもいずれ俺の勝利で幕を閉じるに違いない。

 

 おっと、間もなく教室だ。

 さて、軽く好感度を稼いで……。



「っ⁉⁉⁉⁉⁉」



 教室を見て驚く。


「な、なんで九条がいるんだァッ⁉⁉⁉」


 既視感しかねェんだけどォ⁉


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ハッキリ言って、平気で人を陽キャだ陰キャだの明らかな差別用語を以て指す輩は決まってクズと相場が決まってるんだよね。 普通マトモな人間ならば、んな差別用語でしかない言葉を使わんものだし。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ