4話「お茶を楽しみます」
色々あって魔王のもとへ送られることとなってしまった私、あれからなんだかんだで心地よく過ごさせてもらっている。
魔王は相変わらず素っ気ないが冷たくはない人物だ。それゆえ異種族である私のことも受け入れてくれ、城内に置いてくれている。また、時折気遣いの手紙を送ってくれるので、彼には彼なりの優しさがあるのだということを私は既に知っている。
で、最近はというと、私はよくポポとお茶をしている。
「なんというか……いつもスミマセン……」
誘うたびポポは申し訳なさそうな顔をするのだけれど。
「いえ。私、貴女といるとほっとできるんです。だからこうしてポポさんとお茶をできることがとても嬉しいんですよ」
いつもわがままを言って付き合ってもらっている。
「そ、それはそうですが……貴女には、陛下が……」
「そうですね。でも私はここでこうしているのが好きです。まったりほっこりできますから。あ、でも、陛下のことを嫌いと言っているわけではないですよ」
暇潰しにちょうどいい、なんて言ったら失礼だけれど。
とにかくほとんど気を遣わずに関われる彼の存在というのは大きいのだ。
「んはぁ!? こ、こここ、これはッ……ポポクラトエスティー!?」
「あ、気づかれましたか」
「はい! これは! 自分の大好きなお茶です!」
「良かった、やはりそうだったのですね」
こちらをじっと見つめて。
それから、キノコのじくの部分とも言えるような位置、首を傾げるポポ。
「実は、侍女の方から聞いたのです。ポポさんが好きだというお茶について」
「んはぁ!? 情報流出ぅ!?」
「すみません、勝手なことを」
「あ、いえいえ」
「でも私、ポポクラトエスティーなんて初めて知りました。ここにしかないお茶ですよね。ここのお茶は聞いたことのない名前のものが多くてユニークで楽しいです」
侍女から聞いた話によれば、ポポクラトエスティーの材料であるポポクラトエスという植物はポポがかつて住んでいた地域によく生えていたものらしい。
だから好きなのかな?
懐かしい、とか、昔を思い出せる、とか、そういう意味で。
「あ、ええと……エーメラ様はポポクラトエスティー、平気なのですか?」
「え」
「人間は嫌うと聞いていたのですが……」
「なぜですか? 美味しいですよ」
どうでもいいことを話せる時間が何よりも愛おしい。
いつまでもこうしていたいくらいだ。