第五・五話 俺の最後の一日。
こんにちは、スラルです。
今回投稿させていただいたのは、ある意味、番外編にあたります。
詳しくはここでは言わないので、また後書きで会いましょう。
業を終わらせ、俺は帰路についた。
俺は最志 日糸二十四歳社会人だ。
毎日、出勤して同じ仕事を繰り返す。なんの変哲もない普通のサラリーマンだ。
「疲れたなーー」
疲れるのも無理はない、現在午後十一時。会社とマンションは近いので歩いて帰っている。
同僚のミスで一部のデータが消えてしまい、同じ部署総勢でデータの修復などと今日は散々な目にあった。
ぶっちゃけ、サービス残業だ。部長は定時になったら消えるように家へと帰った。
ふざけるな手伝えよ――。
家への帰り道、俺は昼休みの事を思い出した。
俺は、コンビニにおにぎりとコーヒーを買いに行っていた。その道中、近道するために路地裏を通ることにした。その時、紺色スーツに身を包んだ男がいた。
「疲れているように見えますが、この疲れが取れる飴はいりませんか?只今、無料で配布中です」
飴か――久しぶりに食べてみるか。
明らかに怪しいが、疲れが取れるならもらっておくか。
もし取れなかったら、訴えてやろう。
黒スーツの男は、アンケート用紙を受け取ると、俺の右手に飴を握らせ、深々とお辞儀をした。
「ありがとうございました。ご武運をお祈りします」
何を言っているのだろうか。スーツの男を背に俺は飴を頬張った。
「あ、うまい」
ったくよぉ、全く疲れが取れてないじゃあないか。それどころか疲れたぞ。
気のせいではなく、何と言うか体がだるい――。熱もあるみたいだ。
自分のでこに手を当てると、びっくりするほど熱かった。
「やばい、ふらふらする」
ここは住宅街の路地裏。あまり街灯はなく、どちらかと言うと暗い。
近くではいつも工事が行われているが、明かりがついてないことから、もう終わってるようだ。今歩いて家まで、約十五分程度。タクシーなど来るはずもないので諦めて歩くことにした。
しかし、だ。本当にヤバイ!壁に手をつかないと歩けないぐらいだ。
なんだか体が痛いし、違和感がある。
足がもつれてしまい、間違えて工事現場に入ってしまった。
起き上がらないと。しかし、足に力が入らない――。
俺は、近くにあった水たまりに移った俺の顔を見た。
そこには、見慣れた俺の顔ではなく、女の顔があった。
なぜだかわからないが、不思議と脳の回転が速く、この女が俺だと直ぐに気づいた。
「なんだよ、コレ――?」
誰もいない工事現場に女の声が響く。これは俺の声だな――。
体中から力が抜けていく、眠い。寝ちゃいけないとわかっているのだが、瞼がゆっくり下がる。
これが俺の最後。これが俺の運命なのだろう。
どうでしたか?
今回は、『飴』のよる別の犠牲者の話を投稿させていただきました。
ちなみに、これはプロローグに出てきたご遺体の記憶です。
僕の作品には、意外と伏線が貼ってあるので、意識して読んでいただけると楽しめると思います。
では、また次の話で。