第四話・後編 僕が学校へ行った日。
こんにちは、スラルです。
もうすぐでゴールデンウィークですね、というわけで!
結構前にコンテストに出して、落ちた作品を投稿することにします!
こうご期待。
さて。いつもなら、男子の友達が話しかけてくるのだが――。一応女子の姿だと話しかけずらいのだろうな。男子は誰も来ない――泣くぞ?
男子は来なかったが、女子グループが来た。モテてるわけじゃないけど、悪い気はしないな。
「かわいねー、渚ちゃんでいいかな?」
えぇ『ちゃん』?やめて欲しいんだけど――。
居心地が悪いので、ダンゴムシのように体を小さく丸めた。話しかけないでアピールを出しているが、女子は容赦なく話しかけてくる。
「うぅ。えっと…渚ちゃんで、いいです…」
「おっけー!!」
後ろに何かが乗っかかる感じがした。後ろを向くと、歌志希が抱き着いてきた。
おい、まじか。
「渚ちゃんは、まだ初めてのことが多すぎてびっくりしているのです。みんなでサポートしよう!」
「「おぉー!」」
歌志希の呼び掛けに、女子全員が声をあげた。
おぉー!じゃない!やめない?
「ちなみに…本当に女の子になっちゃったの?」
話しかけて来た子は、僕の小学校から友達。ていうか幼馴染の、波吹 実弥。
明るい性格から、クラスの女子グループのリーダに君臨している。
ちなみに、数少ない歌志希の理解者でもある。
「え?お、おぅ。何なら触るか?」
予想しなかった返事が返ってきたのか、実弥は少し驚いた顔を見せて、ゴクリとつばを飲み込む音が聞こえてきた。きっと自分の中で葛藤しているのだろう。
「幼馴染の体を触るのはちょっと…」
だろうな、安心した。
両手を胸の前で合わせて実弥は謝る。
しかし!油断しいてた僕が悪かったようで。
「やっぱり、触りたい!」
急すぎて、のどの奥から驚く声が漏れた。
「渚ならいいかなー?って思ったの」
さっきまで手を合わせていたのに、今では、
僕に向けて手をにぎにぎしている。やる気満々かよ――。
「好きにしろ~!別に減るもんじゃないしな」
「じゃあ、遠慮なくー」
実弥だけで終わると思っていたが、僕の周りに来た女子全員が触ってやっと終わった。
「あー、満足満足!まさか本当に女の子なんてね?一緒にトイレでも行く?」
「遠慮しとく、って!頭なでなですんな!」
さっきは歌志希が抱き着いていたが、今は実弥が抱き着いて頭をなでなでしている。
「えー、妹みたいでかわいいもん!」
僕が手を振り払うと、中学生とは思えないほどに床で見事な駄々をこね始めた。
「はーい、いい子いい子。制服汚れちゃうから床で駄々をこねないの!」
歌志希は、実弥のお腹を撫でてなだめている。飼い主と愛犬のようだ。
授業が始まるので。背中を軽くたたいて、ほこりを落とし早歩きで実弥は席に戻って行った。
一体、何がしたいのだろうか?
僕が女の子になったという事実は、次の休み時間には学年中に広まった。
世の中の大人は、中学生の情報網を舐めては痛い目を見ると思う。
僕自身こんな早く広まるとは思っておらず、少しびっくりしている。
休み時間にて問題が浮上した、トイレだ。いや、やり方を忘れたわけじゃなくて、公共の女子トイレを使うのは少しどうかと思う。
世の中には男性の心を持つ女性、トランスジェンダーが存在する。その方々が、女性トイレを使うことに対して、少し問題があるそうだ。
ここで僕が疑問に思ったのは、さっき挙げた方々が女性専用車両を使っても、問題は起こらないという事だ。つまり気持ちの問題なのだ、僕は今この状況に陥っている。
いろいろ挙げたが、我慢しても意味がないので結局行くことにした。一部の女子からは複雑な目線を注がれ、出た後は男子から恨めしい目線を注がれた。
やりたくてやっているんじゃない。
「わっ!!何?」
何か、怖い夢を見ていた気がする――。
が、内容は覚えていない。
だが、『死ぬほど』怖い夢なのは確かだ。
時計を見ると、社会の授業は残り五分程度だ。
社会の授業を受けた記憶がほとんどない、時差の勉強した後の記憶がないのだ。
時間でも飛ばされたか?
てか、なんで目が覚めたんだっけ。
その後は特に何もなく一日が過ぎた。
そこで、一日過ごして分かったことがいくつかあった。
それは、筋力などが落ちていない事だ。
昼休み、女子とドッチボールをしたが筋力は全く衰えていなかった。瞬発力なども同じく全く衰えていなかった。少し肩に違和感があるが。
またカリスマも健在だなと改めて思った。例えば、ボールを投げるフォームなどもしっかり覚えていた――。
さて、長らく説明を先延ばししていたが、この場でカリスマについて説明しよう。
僕の言う『カリスマ』とは、僕の家族の持つ――能力みたいなものだ。
世間はギフテッドと言うが、それとは少し違う。
青島家の家系は、それぞれが別のカリスマを持っている。参考程度に僕の家族のカリスマを説明しよう。
まずは凪帆のカリスマは領主《プレジデント》だ。
具体的には、人々を従えるリーダーのカリスマだ。これもあってか生徒会長を務めている。
妹の莉凪は音楽《ミュージシャン》だ。
音楽の才にかけており、海外の音楽学校から推薦が来て、ただいま海外留学中。
父さんのカリスマは運転《ドライバー》だ。
その名の通り、車の関連ではゲームも含めて最強だ。
母さんは本来なかった。
しかし、なんかヤダとか言って、必死に勉強し料理《シェフ》のカリスマを得た。多分、僕の家族の中では一番の努力家だろう。
さてと。待たせたな僕の番だ。
僕のカリスマは記憶《メモリー》。
記憶のカリスマの具体的な能力は、一度見たら二度と忘れない。一度見たら一瞬で覚える。などと言った能力だ。
僕は家族の中で唯一の特異体質で、三つのカリスマを持っている。そのうちの一つが『記憶』だ。
少し話は逸れるが、記憶力のいい人とは一体何だと思う?
例えば、A君がいるとしよう。彼は漢字の五十問テストの問題を、テスト直前にドリルを見ただけで満点を取った。
大勢の人は覚える力がすごいなどと感想を持つだろう。
しかし、僕は違う考えを持っている。
記憶力のいい人っていうのは思い出す能力が優れている人の事を指すと思う。
例えば、学校でソーラン節をした子どもが、五年後いきなり踊れと言われたら無理だ。
しかし、音楽が流れると、自然と踊れることもある。簡単に言うと『体が覚えている』だ。
これが、記憶力のいい人の真相を解くカギになると僕は考えた。
人間は一度見たことは、確実に覚えている。と僕は仮説を立てている。
じゃあ、なぜ、テストなどでは答えられないのか――。
それは思い出す能力が優れていないからだ。記憶は体などに蓄積されているが、膨大な情報量故に、思い出せないのでは?と考えた。
つまり『思いだす能力』が優れている人を、記憶力のいい人と言うと僕は四歳の頃に考えた。
長々と書いたが、僕の記憶《メモリープレイヤー》のカリスマはそれ単体では意味がないということだ。
よって、四歳の頃の僕は追憶という二つ目のカリスマを得た。
欠点と言えば、前述したようにこれまでの記憶は、信じられないほど膨大な量を有している。
四歳の頃の僕は、そんなこと考えもせず追憶を使用して、二日ほど熱が出て寝こんだ。
しかし、今の僕は世界中の書籍が頭の中に入っている。好きな時に読もうと思ったら、思い出せばいいのだ。目を閉じれば昔読んだ本や、昔見た映画などが瞳の裏には映し出される。
あと『記憶』の真の使い道が存在するがそれは今後紹介するとしよう。
帰りの会が終わった後、同級生の一人が話しかけて来た。
「なぁなぁ!一緒に廃病院探索に行かねーか!!」
どうでしたか?今回初めて、カリスマについて説明させてしました。
カリスマについては、もう少し時間をかけて説明させていただきます。
ちなみに、次回は『僕が私になった日・IF』です。
今回の話の最後がキーポイントになっております。
ここから、少し学校での日常を書いた後に、ダンス大会編を投稿しようかなと考えております。
では、また。