潜入した人その四
「では第五回戦を開始します
アレックス選手、ケイン選手、両者前へ」
審判がそう言うと俺の目の前の門が開く
そして闘技場の中央にまで行き、相手選手と向き合う
こいつは・・・いや、こいつも接近戦型か
”疾風”のケイン、だっけか?
どっちが早いか、試してみようじゃねえか
「両者、構え!」
構える、俺の目の前の男も構える
「始め!」
ダッ
「”加速・足”」
一気に地を蹴り接近する
男は驚いたように目を見開く
その顔面に向けて拳を放つ
感触が無い?――――っ!避けられた!?
男は寸前で顔を傾け、避けていた
冗談じゃねえ?!今のを避けられるって・・・どんな反射神経してんだよ!?
「へえ、珍しい属性魔法だな、見た事のない種類だ」
冷静に考えろ俺、前の試合の様に重複させれば――――
・・・だけどあれって結構魔力かかるんだよな
あと残ってるエリクサーは・・・一本か
次の試合と指令遂行の時も使うから・・・買い足しておくことが必要か
閣下、経費を使いまくる部下を許して下さい
許していただけ・・・ますよね?
「周囲速度減―――
「させねえよ」
!あっぶね!
男が横に薙いだ剣を後ろに下がってかわす
「お前が一体何の属性魔法だかは知らねえが・・・」
男が話しだす
「俺より早くなれると思うなよ!!」
なんか闘争心燃やしてるし!
「正一郎を倒すために作り出した必殺技・・・」
・・・
「風よりも速く、稲妻の如く速くなれ!
”風電”!」
男の周りに魔力が溜まっていく
そして・・・体全体が緑色の光に覆われる
・・・”風”の属性魔法か
確かに体に張れば速くなれる効果もあるらしいが・・・
”速度”を操る俺より早くなれると思ったら大間違いだ
「”加速・全た――――
「おっと!言わせねえよ!」
「っ!」
的確に胸の急所を狙った一撃を放ってくる
俺はそれをまた下がって回避する
「確かにお前の魔法は凄えよ」
男が言いながら突いてくる
「普通にやったら勝てねえかもな」
?なんで今そんな事を言うんだ?集中力を削ぐためか?
男が突いてくるたびに俺は後ろに下がったり横に避けたりする
魔法を使う暇を与えてくれ無いな
まあ、待っていればその内疲労してくるだろう
「だがよ、今は試合で、ここは闘技場だ
・・・俺の言っている事の意味が正確に把握できているか?」
?如何言うこ――――
更に後ろに一歩下がった所で急に体が落ちていく感覚がする
は?・・・まさか・・・な?
トンッ
足が地面に付く
そしてそれを見た審判が言う
「アレックス選手の場外により、勝者ケイン!」
「へへっ!対正一郎用の必殺技と戦法だったんだが・・・ま、いいか」
そう言って男は笑った
くっ!アルコールめ!こんな所にまで進出してきたか!!
ケ「酒飲んだのか?」
ああ、のんだぞ
ケ「何飲んだんだ?執筆活動に響くような度数の高い奴か?」
甘酒ですが何か?
ケ「甘酒かよ!!」
はい、次回予告
ケ「次回は少し寄り道だ
次回!兎は寂しいと死んでしまう
楽しみにしてろよ!」