正一郎千里行その三”不安定”
そして・・・視界一体が緑で覆われた
「!?何だ?」
気がつけば俺は地面に伏していた
如何言う事だ?なんで急に―――――
(・・・魔力遮壁がここら辺一帯に作られたのかもしれん)
魔力遮壁?
(その名の通り魔力を遮る魔法だ、が・・・ここまで大規模なのは久々だな)
・・・ちなみに、どれくらいの魔力を必要とするんだ?
立ち上がりながらアリスに尋ねる
(ふむ・・・ここまで大規模なのを作るにはそれこそ神並みの魔力でも持ってなければ・・・)
・・・無意識に首元を見る
そこには引力の石が有る
・・・だが、感じられる魔力量が少ない
っつー事は、だ
魔力だけ盗まれたとか?
(あながち間違いではないと思うぞ?)
で、解除方法は?
(術者が死ぬか意識が無くなれば消えるな)
発動はこの城の中からなんだな?
(ああ、そうだな・・・上の方だな)
上?オッケー、解った
じゃ、先ずは・・・目の前に居る奴らからだな
兵士等は追ってきていて、もう近くまで来ていた
さて、一気にやりますか
「竹中無想流術無刀参の型”影踏”」
俺は一度思いっきりバックステップをする
その後、姿勢を低くして突撃
速度差がありすぎて奴らには今頃消えたように見えている事だろう
そのまま後ろに回り込む
技名はこの時に相手の後ろに立つことから来ている・・・筈だ
さて、気づかれないうちに――――
「有刀参の型”突閃乱舞”」
後ろから突閃を連続させて相手に当てていく
・・・よし、終わったな
あらかた気絶しただろ
「こ・・の・・」
おや、まだ意識がある奴がいたのか
ま、止めなんかささないけどね
「化け物、・・め」
・・・化け物、ね
「それ以上言わないでくれるか?否、言うな
俺は”あの夢”を短期間に二度も見たんだ、現在情緒が不安定なんだよ」
忠告する
だが、それは受け入れられなかった
「この・・怪物、め」
プツン
何かが俺の頭で切れる音がした
――――――――――セノリ視点――――
「――――発動せよ!”魔力遮壁”!!」
一見、なにも起こっていないように見える
だが、その実態は凄まじいまでの範囲の魔力遮壁が作り出されている
窓から外を覗く
彼がここからでも盛大に転ぶ所が見えた
またあの”高速で移動する術”を使おうとしたんだろう
だが、今回は私の方が一枚上手だったという訳か
兵士たちが彼に追い付いているのが見えた
投降する事を勧めているようだが・・・受け入れはしまい
彼は忠義を尽くす人間のようだからな
だが・・・何故だ?
何故自分には付いて来てくれない?
自分とあの愚王を比べて見る
・・・有る一点以外全てが勝っているはずだ
その一点とは、彼の様な者がいるかいないか
だから、欲しい
人材収集家、と呼ばれた事もある
自分でもその悪癖は解っているつもりなのだがな・・・
それでも変えられない自分に苦笑する
さて・・・彼を引き入れるには如何したら良いのだろうか・・・
国中の美人でも送って見るか?それとも・・・
まあ、焦らずとも・・・何とでもなる
あの愚王は城を一気に取ったようだが・・・馬鹿としか言えまい
態々少ない兵力を分散して何になると言うのか
自勢力の兵数に合わぬ数の城を手にいれようとも、使いこなせぬだろうに
各個撃破される危険性が解っていないのか?
だから愚王だと言うのだ
部屋の中央まで戻り、玉座に座る
奴に彼は勿体無い、私なら使いこなして見せる
そして私は溢れてくる笑いを留めずに笑う
外で起こっている事態も知らずに
シリアス!
正「To!」
ケ「シリアス!」
ラ「何かが切れた正一君!
いったい何が起こる!?
次回!暴走
期待しててね!」
(これパターン化していないか!?)