正一郎千里行その二”外の空気”
「奴だ!捕まえろ!」
「右に曲がったぞ!先回りするように伝えろ!」
「いたぞー!構えろ!」
ザッ
急に目の前に現れた兵士たちが武器を俺に向けてくる
・・・いや、早すぎだから君たち
どんだけ訓練されてんのよ
脱走からかれこれ5分も経ってないぞ?
「悪いな、捕まる訳にはいかないんでね!」
魔力を靴に溜める
そして、そのまま壁を蹴る
ドゴオッ
そんな音と共に壁が砕ける
「あばよー、とっつあん!」
そう言って俺はその穴から飛び出す
「な・・・中庭に逃げたぞー!」
(ルパO?)
某三代目の泥棒の真似だ、気にすんな
地面に降り立つ
ふい~、やっと一息・・・
「陣形、”虎穴陣”」
付けなかった!
直に待機していた、部隊長みたいなやつが陣形指示を出す
「手荒でもいいから、取り押さえろとの命令だ。覚悟しろ!」
部隊長みたいなやつがそんな事を言う
・・・一つ、気がついた事がある
(何だ?)
この国、俺に対しての容赦とか優しさとかが足りないと思う
(・・・あの国王がそんな事を言うとは思えんのだがな?)
「お前ら!それは一体誰から許可貰ってんだよ!?」
・・・まさか国王で無い事を祈る
「”人面”様だ!大人しく捕まらないようなら袋叩きにでもして捕まえろ、とな」
・・・あんにゃろう
(確実に仕返しだな)
俺が何をしたというんだ!
(寝起きざまに頭突きをかましたり、捕まえる時に手荒に扱ったとか?)
・・・ごめんなさい、結構やってましたね
「大人しく降伏しろ!でなければ・・・・」
兵士たちが構えを改める
・・・・・捕まりたくは無いからな
逃げるとしたら・・・
1、上・・・ガラスみたいなのでおおわれている
2、前・・・敵兵沢山
3、後ろ・・・壁
な、三つの選択肢しかない訳だが
・・・詰んでるね、うん
(チェックメイト?)
・・・ま、そんな簡単に諦めないのが俺なんだけどね
「{断ち切れ}{持続せよ}”閃剣”!」
壁に向かって剣を振る
そうすると、そこが切れて穴状になる
「って事で・・・またな!」
その中の部屋に入って一連の動作を繰り返す
一つ、二つ、三つ、四っ・・・おお、懐かしき外の光!
「な・・・何て荒技だ!冗談じゃねえ、あんな奴に勝てるものか!」
さて、・・・・どっちに行けばいいんだ?
(向こうだ、あの山の方向)
流石は神様、仏様、アリス様、ナイスだ
(・・・少し馬鹿にされているのは気のせいか?)
勿論気のせいだ
また魔力を靴に溜める
そして・・・溜める
更に・・・溜める
(あまり魔力を凝縮させ過ぎるなよ?爆発するぞ?)
・・・怖っ!じゃあ、そろそろいいか
靴に溜めた魔力を放出する
それと同時に景色は凄まじいスピードで変わっていった
おや?
正「シリアスの様子が・・・?」
ケ「おかしいぞ?」
ラ「危険から逃げだした正一君!
しかし、逃げ出した先もまた危険だった!?
次回!一難去ってまた一難、リターンズ
期待しててね!」
(私の出番は!?)