正一郎千里行その一”説得”
「それじゃ”人波”、何とか上手く説き伏せなさいよー」
そう言って”人面”が牢屋を出ていく
・・・・さて、ここで出来る事を上げて見よう
1、降伏・・・・パス
2、諦める・・・・却下
3、どうにかして逃げる・・・・ナイスアイディア!
・・・落ちつけ、俺。そのどうにかしてが知りたいんだよ
「どうだ?早く言った方が楽になるぞ?」
・・・俺は寝返るつもりは無いといったい何度言えば―――――
!アリスさん、お願いがあるんですけど
(いきなり丁寧になるな、気持ち悪い)
酷い!?ここまでの侮辱は―――――
じゃなくて、説得役任せちゃ駄目か?
(説得役?この状況でか?)
ああ、今の状況を打破するにはそれしか無い
(だがこいつがそんなのに乗るか?)
ふ、ふ、ふ、そこに関しては任せろ
こう言うタイプの人間ってのは借りがあると返したくなるもんなんだよ
(・・・つまり?)
脅せ
(さらりと言うな、一瞬元からそんな性格かと思ってしまったぞ)
やだなあ、これは凄く平和的な解決方法だぞ?
(で、売ってある恩は何だ?)
えーっと・・・命やら操やら色々あるぞ?
(・・・鬼畜)
何とでもいいたまえアリス君、戦争とはそういったものだ
・・・と言う事で、よろしく
(仕方無い、人を脅すのは人道に反するが――――
・・・よく言うよ
どうせ満面の笑みを浮かべているくせに・・・
(何か言ったか?)
イエ、ナニモイッテオリマセヌヨ
「”人波”、一つ提案がある」
俺の口が言う
「何だ?条件の譲歩なら出来ないぞ?飯か?」
「私を逃がせ」
「無理だ」
おおう、即答
「そうか?今のお前になら簡単にできると思うが?」
「出来る出来ないの問題では無い、倫理的な問題だ」
「そうだろうな、だが・・・恩人に恩を仇で返すというのも倫理に反するのではないか?」
「っ!」
”人波”が動揺する
「そうだろう?それともお前はそんな人間か?」
「違う!」
「ならば何故私を助けない?」
「個人よりも国の事を優先するのが普通だ!私に反逆の意思は無い!」
「そうか?私は”堂々と逃がせ”、と言っている訳では無い
”囚人に飯を食べさせようとしたら反撃されて気絶した”
こんな事でいいのだが?」
「・・・・・・」
”人波”が黙る
きっと国と良心とが天秤にかかっているんだろうな
ガチャン
手枷が外れる
あ、良心が勝ったみたいだな
「さ、さて、飯を持ってくるとしよう{棒読み」
・・・”襲え”と?
「こ、困ったな、今襲われたら一溜りもないなー{棒読み」
(ごー?)
「ていっ!」
ゴスッ
頭を叩く
「うーわー、やーらーれーたー{棒読み」
ばたっ
誰が見ても演技だと思えるような倒れ方で”人波”は倒れる
・・・こいつ、演技力ねぇな。・・・いや、むしろ狙っているのか?
(さっさと行くぞ、いつ増援が来るか解らんからな)
ああ、えーっと・・・王都って名前なんて言ったっけ?
(・・・知るか)
・・・帰れなくね?
Q、と言う事は?
A、徒歩です
ッざっけんな!?ここから徒歩で逃げろと!?捕まるわ!!
(大丈夫だ!・・・たぶん)
そこは後ろのを外しといてくれると嬉しかったな!うん
そんな事を言っていても仕方が無い、か
牢の出口から出る
「さて・・・出口はどっちだ?」
左右を確認する
・・・ふと、兵士と目が合う
ピンチ?いや、違うな、アイコンタクトで解ってくれるさ
「・・・・・!脱走者だ!捕まえろ!!」
解ってくれなかった!!
いや、敵だから当たり前なのか?
今は取り敢えず・・・逃げますか!
どうも、作者です
正「正一郎です」
(二人合わせて?)
作・正「世紀の馬鹿!」
(だろうな)
逃げだした正一郎の向かう先は?
次回!正一郎千里行その二!
期待しててくれよな!




