”人面”
・・・・・ん・・・
頭が痛い
目を開けようとする、も開かない
・・・・瞼が重い
なら、このまんま寝ても――――
「ほら、起きろ」
頬をぺチぺチと叩かれる
まだ眠いので目を閉じていると声が聞こえてくる
「・・・どうやって連れてきたの?”人面”?戦って勝ったわけでは無いでしょう?」
「ちょっと薬を使ってね、コロリと」
「・・・殺したような言い方は止めなさい、変な誤解が生まれるだけでも困るでしょう?」
「まあね、死にたくは無いもの」
・・・一つは聞き覚えがあるな
もう一つは気絶する前に聞いた声かな
薄眼を開けて見る
そこには――――――
”人波”と・・・誰だ?
一人は”人波”、これは間違えようが無い
しかし、もう一人は見た事が無い顔だ
う~ん?・・・・
ま、考えても意味無いか
(・・・起きたか?)
お、アリス
(心配をかけるな、一瞬私の奴隷が死んだかと思ってしまったではないか)
悪いな、そして俺は奴隷じゃないといったい何度言えば分かる
(お前は既に私の奴隷だといったい何度言ったら解るんだ?)
・・・頬をビンタされる
目を開けてもいいよな
(駄目だ、許可せんぞ)
何故?
(・・・なんとなくだ)
・・・・・一瞬でも理由があるのかと考えた俺が馬鹿だったな
(ったく、知らない人に着いて行くなと私はあれほど―――
お前にそんな事を言われた覚えはないぞ
・・・頬を抓まれる
・・・痛い
「起~き~ろ~!」
・・・あの、そろそろ看過できない痛みになってきましたが・・・
(耐えろ、目を開けたら負けだ)
何に!?っていうか、痛い痛い痛い!頬が落ちる!美味しくもないのに!
痛い痛い痛い痛い!取れる取れる取れる!!
「痛いわ、ボケえ!」
頭を前に出す
ゴツン
何かとジャストミートした
「っつ~痛いわね!何すんのよ!」
目を開けるとどうやら当たったのは見知らぬ人らしい
「こっちのセリフじゃボケえ!こっちだって頬がとれるかと思ったよ!?」
「そんなの3つや4つ取れたって痛くもかゆくもないわよ!」
「痛いに決まってんだろ!何ならてめえも味わって――――――
ガシャン
この目の前の女にもおんなじ目に遭わせてやろうと手を前に出そうとした所に、金属音
・・・恐る恐る後ろを向いてみる
そこには―――――――鉄の手枷
・・・・SM?
んな訳ないな
・・・・・・捕まった?
可能性としては一番高いな
・・・・・・脱出?
出来るかな?
幸い、服やらに持つやらは身に付けたままだ
だが、手が届かなくては意味が無い
・・・いや、そうでも無いか
転移石でも使えれば一発だ
魔力を集中させ―――
・・・出来ない
(ふむ・・・どうやらその枷に魔力妨害がかかっているな)
「・・・魔力妨害?」
「そ、正解。よく分かったわね、一発で」
いや、聞いた事をそのまんま言っただけなんだが
「そういや、”人波”、こいつ誰だ?」
後ろの方に居た”人波”に尋ねる
だが、それに答えたのは目の前に居る奴だった
「私は”人面”、”人天森海”の副長よ!」
黙ってればクールビューティにも見える奴が答える
しかし、人間誰にだって短所と長所がある物で――――――
「嘘だな、お前みたいなお子ちゃまが副長だったら世も末だ」
この目の前の奴もその例外ではなく、体つきが貧相
・・・悪く言えば、幼児体型
「な!?私は17よ!」
「おおう、十七にもなってそれか」
「それって言うなあ!!」
「あぶねっ!」
俺の顔面の横に矢が飛んでくる
それを間一髪回避できた俺は凄いと思う
「”人面”、諦めなさい、人間誰にだって不可能というものは存在するのよ」
”人波”がそのロケット・・・いや、大きい胸を隠す事もなく言う
「”人波”!その勝ち誇った笑みを止めなさい!この年増!」
「なっ!なんですって!?もう一度言ってみなさい!」
「年増!年増!・・・婆!」
・・・あ、言っちゃったね
「こっのっ!言わせておけば!呑み込め”大津――――
「おい!ここでそんなん使ったら俺がおぼれ死ぬ!」
そう、ここは地下牢っぽい一室
そんな所にあれだけの水が出てくればどうなるか?
結論、水で溢れる
「・・・ごめん、すこしからかい過ぎた」
”人面”が謝る
「いや、こっちこそ」
・・・女とはかくも恐ろしきものなり
「・・・・仲直りしたなら教えてほしいんだけどさ、俺はなんでこんなとこに繋がれてんの?」
”人波”が答える
「そういえば閣下から言伝があったんでした」
その佇まいを直してから”人波”は言う
「え~っと・・・”私の元に着くのだったら解放してやる”だそうです」
・・・選択肢が無えな、おい
再び始まる!
正「シリアスな!」
ケ「物語!」
ラ「迫られる決断!
その時正一君の出す答えは!?
次回!正一郎千里行
皆!期待しててね!」
(お株を奪われた!?)