総力戦、その一”勧誘”
シリアス全開
まあ、ここからが急展開、ということで
「・・・来た、か」
聞こえるのは行進音
それも半端な数では無い
これだけの数と真正面から戦ったらまず勝てないだろう
そんな数だ
「予測通り、なのか?」
言ってた通りに次の日には来たな
まあ先ずは交渉の余地はあるのか聞いてみようか
門から正面に出て、そのまま敵軍付近へ向かう
「何だ貴様!何者だ!」
先兵らしき兵に尋ねられる
いや、尋ねられるっていうか尋問?
漢字は同じなんだがな
「リスティーナ王国騎士竹中正一郎だ、そちらの軍団長と話がしたいんだが」
決まり文句?を言う
「お、お前があの”セルムの英雄”だと!?ふざけるな!冗談もたいがいにしろ!」
信じて貰えなかった、残念
「ふざけてなどはいない、正気だ」
「ま、まさか本当に?おい、ちょっと諜報部に確認だ」
兵士が走り去って行き、帰って来たと思ったら兵士に耳打ちする
「すまない、疑って悪かったな、どうやら本物の様じゃないか」
そう言うと少し小柄な兵士は俺の前に座る
「まあお茶でもどうだ?」
随分と口調が柔らかになる
「これから殺し合いをするかもしれない相手に対して随分と優しいんだな」
「そう言うな、今謁見の準備中だ」
そう言うと兵士は俺の前にお茶を置く
「?どうした?飲まないのか?」
しばらく待っていると怪訝そうに聞いてくる
「いや、お茶が急に黒くなったりしないか心配でね」
思ったままの事を率直に言う
「あははは!お前も意外と面白い奴だな」
そう言ってひとしきり笑った後に報告が来る
「準備が出来たそうだぞ、来い」
そう言って連れて行かれた先には―――――
・・・またマントか
王族ってのはマント好きなのか?
そのマント男(俺命名)が喋り始める
「お主が竹中正一郎、とやらか?」
「ええ、そうですが?」
「私がティルト国王セノリ=ティルトだ、来た用事というのを聞こうじゃないか」
セノリ、と名乗った男が一気に言う
「こちらとしては”人波”は預っており、直にでもお返しできます
いかがです?ここはそれで退いてもらえませんか?」
こちらも負けじと一気に言う
「ふむ、それについては追加で一つ条件がある」
「条件、とは?」
嫌な予感がひしひしとするが、聞き返す
「身柄の引き渡しと、お主の無条件降伏だ」
来たか
「お断りです」
交渉決裂、となると次に来るのは―――――
宣戦布告
「そう言うとは思っていたが、やはりお主程の人材は惜しい
こちらには”人面”の代わりに人天森海の一人として迎え入れる準備があるのだが」
「それでも、お断りです」
そう言うと急に顔が暗くなる
「あのような愚王と道を同じにするのは何故だ?」
「愚王かどうかは私が決めます」
「しかし、奴は忠誠を誓う価値もない男だぞ?
悪いことは言わん、こちらに付け」
再三の降伏勧告
だが、それでも答えは――――――
「お断りです」
「そうか・・・お主のような人物がこちらに付いてくれるともなれば百人力だったのだがな」
「それでは、失礼します」
そう言って席を立つ
テントのような所から出るとさっきの兵が居た
「どうだったんだ?誘いは受けたのか?」
「ん?なんで知ってるんだ?」
盗み聞き?いや、それにしては―――――
「我等が王がお前にご執心なのは結構知れ渡ってる事だぞ?
で、どうだったんだ?」
更に聞いてくる
「断ったよ、勿論」
「そうか、断ったか・・・
じゃあ次に会うのは戦場、だな」
「ああ、会わないことを祈ってろ」
「そうだな、なるべく後ろに居るよ」
そう言う奴の顔は・・・なぜか笑顔
「後ろじゃなくて山にでも隠れてろ、じゃないと死ぬぞ?」
俺はそう返す
何故だかは分からないが、俺はこの気の合う兵士には死んでもらいたくなかった
だがその男は
「おお、怖い怖い」
と、返しただけだった
「じゃあな」
有る程度近い所まで来てから言う
「なんだ?陣の近くまで送ってやろうと思ってたのに」
「いや、ここでいいよ、じゃあな」
そう言うと俺は靴に魔力を入れて飛ぶ
この力を見たあいつが戦場から居なくなることを願って
まだまだ続くよ!
正「シリアスモード!」
(・・・・着いて行けん)
さて、しばらくは姫と三人集の出番は有りません
まあ出来るだけ頑張ってシリアスモードを書きますね
シリアス飽きたー、という方には
兎桜さん作『白の剣と黒の剣』をお奨めします
正「いや、あっちも少しシリアス入ってきているような・・・」
気にすんな!
次回予告!ジェシカ任せた!
ジ「任せて!
開かれる戦端、初撃はどっち?
次回!総力戦、その二
皆、待っててね~」