侮り
「ただいまー」
ドアを開けながら言う
しーん
「いや、いたら怖いから」
(なら言うな)
「だって淋しいんだよ!あと、なんていうか・・・”様式美”?」
(なんか使い方が違うような?)
「気のせいじゃねえの?」
「・・・お前、誰と話してるんだ?」
後ろから声を掛けられる
・・・・なんていうか、後ろから声掛けられる時が多いな
振り向くとそこには―――――
「誰だ?こいつ、と思ったが口には出さない」
「・・・・・・」
「なんかイジけそうだもんな、こいつ
そんな顔してるもん
・・・・ん?なんで青くなってるんだ?」
「口から全部だだ漏れだあ!」
「ラリアット!?」
「・・・・・やあ、勿論覚えていたさ、ケインくん」
「もうお前の本心は聞いたよ」
「あはは、冗談だから気にすんなって」
「・・・・・・」
あ、やっぱいじけた
「さてと、何をしに来たのかな?リーセンブルケ君」
「リーセンブルクだ!・・・いや、再戦を申し込みに来た」
「・・・・戦ったことあったっけ?
なんか俺がこいつに苦戦している姿が思いつかんのだが」
「まただだ漏れだあ!」
「ダブルラリアット!?」
「なるほど、新しい技を思いついたから今度こそ勝ちに来た、と」
「ああ、そうだ」
「いいけど・・・俺も新しい技ならいっぱいあるぞ?」
「ふん、それでこそ俺のライバルだ!」
「いや待て、いつ俺がお前のライバルになった」
「五日前だ」
え~っと五日前って言うと・・・
「祝勝の宴会の時か?」
「ああ、そうだ、お前も言ってたじゃないか、お前は我がライバルにふさわしいと」
・・・・・記憶に無いぞ?
「その時俺何か飲んでたか?」
「あー、ビールを飲んでたぞ」
・・・・・・・・・まさか俺に酒乱の気があったとは
「・・・・はあ」
「何ため息ついてるんだ?行くぞ」
「勘弁、俺今疲れているんだ」
「なんで?」
・・・・本当のこと言っても信じないだろ、こいつ
「ちょっと焼き鳥を作ってた」
「焼き鳥?それなら俺も作れるぞ?」
・・・・・力の加減なんかまだできないぞ?
「お前は丸こげに成り果てたいのか?」
「ふん、魔法を使う気なら残念だったな、俺にはこれがあるのさ」
そう言って取り出すのは・・・古ぼけた盾
「何?それ」
「聞いて驚くな、”魔法を防げる盾”だ」
何!?これがか?
「・・・・中古?」
「言うな、俺の父さんの物だ」
ま、そういうことならいいか、的が欲しかったとこだしね
「なあ、それちょっと見せてくんないか?」
「いいけど・・・壊すなよ?」
「ああ」
「ほれ」
手に持ってみる、成るほど、軽いな
「”光弾”ミニ」
小さい光弾を一つ作りだして当ててみる
シュッ
「ほんとに消えた、本物か」
「なんだと思ってたんだ?」
いや、偽物かと
「じゃあやりますか、どこでやんの?」
「そうだな・・・向こうの訓練場で」
よし、わかった
「じゃ、行きますか」
「おう」
「あれーどうしたんですかー?」
おや、ルシアさんだ
「いや、ちょっと演習に」
「演習じゃないぞ?決闘だ」
「そうなんですかー私もついてってーいいですかー?」
「ああ、いいですよ?な、リーセンブロック君」
「リーセンブルクだ!」
「トルネードアッパー・・・いや、O龍拳!?」
訓練場にて
「じゃあ始めるぞー」
「おう、どっからでも来な!先手は譲ってやるぜ」
「お?なんだ、なんだ?」
外野が集まって来る
ケインにゃ悪いが
さっき考えたんだけど、危なくて使えなかった技の練習台に最適だと思う
魔力を小手に送る
「よし・・・燃やし尽くせ”インフェルノハンド”」
「「なっ!!」」
俺が拳を前に突きだすと、その形の炎がケインに向かって行く
実物とその魔法が違う点と言ったら、大きさだ
まあ、軽~く一軒家くらいの大きさにしてみた
これで消費魔力は”光弾”と同じなのだから困る
まあ、込めてから時間がかかるんだけどね
・・・4秒くらい
これで一分くらい”光柱”と同じだけの魔力を込めたらどうなるのか気になるが
そんなことをすると、国ごと燃やしそうなので止めておく
「くっ!頼んだぞ!盾!!」
ケインが必至の形相で盾を前に出す
じゅうううううううううう
そんな音を発しながら燃え尽きた
え?これって意外とあいつピンチ?
やばっ
「凍れー”永遠の氷”」
ルシアさんがそう言うと、炎は青くなった、いや、凍った
「た・・・助かった?」
そういうと、ケインは足元に崩れ落ちる
・・・・・おい、アリス
(なんだ?)
これ危険すぎね?
(・・・・今回は迂闊に使ったお前が悪い)
・・・かもしんないな
(・・・・・あまり神々の遺産の力を侮りすぎないことだ)
確かにな・・・この靴だってこんぐらいの力はあるってことだろ?
戦闘用じゃないってだけで
(ああ、そうだ)
「な、何て威力の技だ!魔力無効化の力をごり押しで破るなんて!」
「いや、それを止めるルシアさんも凄いぞ!?」
外野が騒いでいる
そんな中、ルシアさんがこっちに来て
「あんなー危ないー技を使っちゃー駄目ですよー」
と、怒られた
「すいません」
勿論謝る
「反省したんだったらーこっちに来てくださいー」
ルシアさんに引っ張られて、違う訓練場に連れて行かれる
「・・・なんでこんなとこに?」
「名前がーなって無いですー」
え?名前?
「何のですか?」
「必殺技ですー」
いや、なんでそんなことの為にこんなとこまで?
「これからーじっくりとー練習ですー」
「何の?」
「必殺技の名前のですー」
・・・・なあ、帰っちゃだめ?
ふんふんふ~ん、作者です
正一郎「機嫌がいいな、どうしたんだ?」
コメディが!念願のコメディを書けたぞ!
正「そんなことかよ・・・」
そんな事とはなんだ!
正「で、これがお前の言う平和、か?」
やだなあ、ちゃんと”?”がついてたじゃないか
正「ちゃんと平和にしろおおおおおお!!」
わかった×2
次回は平和だから・・・・多分
正「言いきれよ!」
はい、次回予告、シェディ、任した
シェディ「は、はい
練習を終えた正一郎の所に私が!?
用件はいったい何?
次回、こんどこそ平和な日常
皆さん、待ってて下さいね(ニコッ」