第三勢力
その瞬間、戦局は一変した
直前まで仲間だと思っていた兵士は、一部を除いていきなりこちらに斬りかかって来た
優勢だった俺達は、一気に押し返される―――
―――どころか、それまで戦っていた敵が前に居るので、挟み打ちの様な状況に陥ってしまった
「あ、アレックス様!?一体何が―――」
珍しく冷静では無くなった”人波”
珍しいが、今はじっくり観察している暇は無い
「埋伏の毒だ!まさかこんな初歩的な手に引っ掛かるとは!」
そう、俺達は敵軍の引き込み時に最も危険な要素を見逃していた
本心からこちらに協力していない敵
今回はそいつが大量に含まれていたって事
多分父上が命令されていたのだろう
・・・つくづく、油断のならない人だ
そんな事を考えていると、一人の兵士が接近してきた
・・・お、あいつは顔を知ってるぞ、確か俺がいた隊の隊長か何かだったはずだ
「報告します!味方が突然―――
「それは分かってる、知りたいのは数だ。どれくらいがこっちに残った?」
「それが・・・大半があちらに付いてしまい、残ったのは我々一隊のみで――
我々一隊・・・つまりは百人もいるかどうかか?!
で、相手はほぼ五万か
・・・最悪だな。完璧に、嵌められた
どうする?
ここで全滅も厭わず父上を討つか
それとも一点突破で次の機会を待つか
まあ、前者は確実に全滅するだろう
後者は・・・良くて数人退却に成功、悪くて・・・まあ分かるか
くそっ!こんな状況で如何しろってんだ!
「アレックス様!ご決断を!」
俺が決めかねていると、報告にきた兵士が俺を急かした
・・・仕方ない
「一時退却する!敵戦力の薄い所を探して―――「どけどけどけどけぇぇえ!!」
は?
何処からか急に声が響いて、俺の声を遮ったかと思ったら
それと同時に、何人かの兵士が吹き飛んでくるのが見えた
「”光神”こと・・・ってこれは知られてないか?まあいいや
竹中正一郎、国王を助けに参上!」
兵士が吹き飛んできた方向を見ると、そこには―――
―――輝く剣を持って、何かやりきった様な表情で固まっている正一郎がいた
・・・何で正一郎がここに―――「私もいますよ!」
今度は正一郎がいた方向の反対側から声がした
そちらに顔を向けてみると、見しらぬ少女が三人に守られるようにして立っていた
・・・いや、あの三人には見覚えが有る。確か―――
「リスティーナ王国第一王女シェディ=リスティーナです!皆さん、道を開けてください!」
・・・と、その護衛ってか
いきなりの敵国王女の登場に動揺したのか、兵士たちの動きが止まった
そしてそいつらを蹴散らすようにして正一郎が接近してきた
・・・これは上手く使えば、何とかなるかもしれねえな
悪いな父上、そう簡単に勝てるわけでは無い様だぞ?
まだだっ!まだ休みの半分が費やされただけだっ!
ア「アホか」
いやいや、アレックス君、意外とこれって大変な事態なんだよ?
何せ一冊も終わって無い状態なのだから
ア「あれ!?意外とピンチ!」
全くだよ!死にかけだよ!
ア「なんでそんなんになるまで放っておいたんだよ!」
・・・宿題って、つい無視したくなるよネ☆
ア「真性のアホだぁぁぁぁぁぁ―――――!!」
セ「と言う事で恒例の次回予告じゃ!
正一郎たちの介入により、分からなくなる戦局!
次回!潜入と囮と突撃と!」
期待しててくれよな!