無策
・・・最近、なんかしらないけど睡眠時間が極端に短くなってきた
一日三時間寝るだけで大丈夫なのは異常なのだろうか・・・
・・・慣れって怖いネ☆
「よくぞ戻った、アレックスよ」
「はっ!」
「して・・・成果はあったか?」
閣下がそう尋ねると、辺りが少しざわついた
もう噂が回っているのだろうか
まだ戻ってきて三十分も経っていないのに、ご苦労な事だ
「はい、敵国王アーノルドを捕縛してまいりました」
辺りのざわつきが更に大きくなる
閣下はそれを手で制し、言った
「よくやった、何か希望の褒美はあるか?」
・・・望みの褒美ならある
だがまだ言えない、ここで言ってはまだ早い
「・・・他の者がいない時では駄目でしょうか」
これは賭けだ
気がつかれたら俺の負け
だがもし気がつかなければ・・・
閣下は少し考えてから、言った
「よかろう、・・・他には何もないな?
では馬車の用意をしろ、帝都に帰還する」
「「「はっ!」」」
☆
「見えてきましたね、王都・・・」
シェディが馬車の横の窓から身を乗り出しながら言った
「姫様、そろそろ戻って下さらないと、気がつかれてしまいます」
「あ、すいません」
それをガーネットさんに注意され、いそいそと戻るシェディ
「・・・で、なんか策はあるのか?」
「策?」
シェディに尋ねると、意味が分からなかったのか
小首をかしげるシェディ
「国王助けるための策だよ、なんかあるんだろ?」
「あ、それならありますよ!もちろんあるに決まってるじゃないですか!」
お、良かった、少し安心だ
流石に無策で敵本拠地に乗り込んで勝つ自信は無いからな
見ると、シェディの死角にいる人たちは全員胸を撫で下ろしていた
きっと全員俺と同じ考えだったのだろう
「で、どんな?」
「私が囮になっている間にケインと正一さんが潜入です!そして助けます!
・・・あ、ガーネットとジェシカ、後ルシアは私の護衛ですよ?」
・・・うわお、凄え作戦だ
今時の小学生ですら思い付く作戦ではないだろうか
いやむしろ、この数倍良い作戦を思いつけるかもしれない
「ひ、姫様、流石にそれは―――
「?」
「・・・いえなんでもありません」
ガーネットさんが突っ込もうとして、止めた
・・・まあ、普通あんな自信に満ち溢れた顔に駄目出しは出来ねえよなぁ
{おい、ケイン}
{ん?どうした正一郎}
だからと言ってこのまま無策で行くのも危険なので、小声で隣に居たケインに話しかける
{お前あんな作戦で行けると思うか?}
{無理だろ}
バッサリと切り捨てた
シェディに聞こえてないからといっても流石に可哀想だ
{じゃあなんか代わりの作戦は無いのか?}
{あー・・・姫様が囮になるって所からして変えたいんだが・・・}
ケインがシェディの方を一瞥する
件のシェディはというと・・・自信満々で隣のガーネットさんに作戦の凄さを語っていた
{・・・あの様子じゃ無理だよなあ}
{だろうな}
あの顔は自分に対して一切の心配とかない顔だ、絶対そうだ
だってアリスが偶にやる表情だもの、間違いない
{とすると、自由に動ける俺達が決めるしかないんだが}
{そうだな、何かいい案はあるか?正一郎}
俺かよ、・・・そうだな・・・
{俺もシェディとは別の場所で囮になる}
{・・・実動隊は俺一人じゃねえか}
何?勘違いしてるぞこいつ
{違う、お前一人じゃないぞ}
{はあ?他に見えない仲間でもいるってのか?}
辺りをきょろきょろと見回すケイン
{いねえよ、んなもん居る訳ねえだろうが}
{・・・いや、お前なら出来そうだな、と}
おいおい、こいつの中で俺はどんな存在なんだよ
{お前、俺をどう認識してんだよ}
{・・・高度三千メートル位から落ちても死なない奴}
・・・確かに
{まあそれはいいとして}
{いいのかよ。ああ、そういや俺は一人じゃないって言ってたな、如何言う意味だ?}
{俺が居るじゃないか}
{いや、お前は囮だろ?敵に囲まれて動くどころじゃないと思うんだが}
{正面突破だ}
{いやいや無理だろ、敵がどんだけいると思ってんだよ}
無理?馬鹿な事を言う奴だぜ
{任せろ、どれだけ囲まれてても正面突破ぐらいはできるから、多分}
{・・・お前、どこの神様だよ}
{本気を出せば雑兵なんて怖くないな、無双シリーズ的に千人切りをしてやるぜ}
{・・・無双シリーズが何だかは知らんが、お前なら本当に千人切りをしそうで怖いよ}
{囲まれたら無双乱舞っと、それだけで数十人は逝けるぞ}
{・・・なんか、お前が敵じゃなくて本当に良かった気がしてきたよ}
それだけ言うと、ケインは額を抑えて黙ってしまった
・・・あ、そういや武器が壊れてた
まあ、そこら辺は魔法で補える・・・だろうか?
ケ「今回は俺達が出張って来たぜ!」
ラ「ここが空いてるなんて珍しいね?
いっつもは作者さんと正一君、あとは変な電波が占拠してるのにね」
聖「それに関してだが、今回は変なテープが送られてきていたぞ」
ケ&ラ「「変な?」」
聖「うむ、宛先しか書かれておらんのだ
あと特筆すべき点は・・・全て血文字で書かれている所か?
斬新だな、自分の身を削ってまで親しき人に送る手紙とは―――」
ラ{ねえケイン、あれって多分・・・}
ケ{・・・十中八九、正一郎か作者のだろうな}
聖「そもそも最近は故郷の親に手紙を書く人も減っていると言う
全く、嘆かわしい事態―――」
ラ{・・・裏に何か書かれてるよ}
ケ{読んでくれ、こっからじゃ少し遠い}
ラ{分かった・・・えーと・・・”たけすて”・・・}
ケ{・・・取り敢えず竹を捨ててくれ的な意味では無いだろう事は確かだな}
ラ{・・・再生してみる?}
ケ{それが・・・送り主の望みだろうな}
ラ{じゃあ行くよ・・・}
ケ&ラ{{VTR、どうぞっ}}
☆
正「俺は悪くない」
(・・・貴様、人のショートケーキを喰っておいてそのセリフか)
正「いいじゃねえか、只のケーキだろ?」
(・・・あれは、二時間以上並んで買った超有名店のケーキだったのだが?)
正「はっ!喰われたくなきゃ名前でも書いとけってんだよ!」
(・・・ケーキに名前を書く奴が、いるかぁ――――――!!!)
正「やる気か?」
(そちらがやる気ならば、な)
正「上等じゃねえか、勝てると思ってんじゃねえぞ!」
(それはこちらのセリフと言う奴d―――
お二人さん、そろそろ後書きのコーナー始まるから準備を―――
「(あん!?)」
・・・良いかお前ら、今日こそは作者様の偉大さって奴をだなぁ
正「・・・俺、ちょうどサンドバッグが欲しかったんだよね」
(私も古今東西拷問器具の試運転をだな)
・・・べ、別に怖くなんてないからな!
そ、それで脅せたと思ってるんじゃねえぞ!こんにゃろう!
あとアリス!何でそんなもんもってんだよ!
正「そして見て見ると丁度いい獲物が目の前に」
(奇遇だな、ちょうど私もそいつを狙っていた所なのだ)
・・・あるぇ?なんかターゲットが俺に代わってるような・・・?
冗談、だよねッ!?
・・・なんで無言で近付いてくるの?
なあ!何か言ってくれよ!
おい!腕を拘束するなよ!
あ、ちょ待てお前それはやばいって取れる!腕が!
ケイン!ラスティ!聖騎士!もしこれを見てたら後は任せ―――
☆
ラ「・・・ケイン、想像以上にスペクタクルな光景が映るだろうから切ったけど
僕の判断は正しかったよね?」
ケ「正しいな、むしろ大正解と言っても良いだろう」
聖「つまり最近の手紙を送らないという風潮は
むしろアマゾンの森林伐採活発化へとつながっている訳だが―――」
ラ「・・・で、あっちの既に真理に行きついちゃった人はどうする?」
ケ「ほっとけ、その内直んだろ」
ラ「んまあ、任されちゃったんだし、最後ぐらいがっちり決めて見せる?」
ケ「そうだな、じゃあ行くぞ・・・次回予告!」
ラ「ほぼ無策で突入する帝都!
蟻VSインベーダーなほどの戦力差に一体どう対抗するのか!
次回!一発逆転の鍵!」
ケ「激動の次回を見逃すなッ!?」