”無拍子”
受験終わったー!!
「そうか。・・・ちなみに、撤回は聞かねえからな」
少年はそう言うと、構えていた武器と共に手を下ろした
面白い物、と言っていたが・・・その準備だろうか
そして暫くしてから少年が再び構える
「準備は出来たのか?」
「おうよ。・・・さっきの言葉、直に悔やませてやるよ」
「それは楽しみだ。一体どんな―――
言いかけて、気がつく
少年が居ない
さっきまで少年がいた場所にあるのは
私が蹴り飛ばした際に出来た穴ぐらいだ
・・・一体、どこに―――
鈍い音と共に私の背中辺りに衝撃が走る
振り向くと、背後から少年が武器を振り下ろしていた
「っておい・・・効かねえのかよ!」
「いや結構効いているぞ?」
背中の辺りでジワジワと痛みを感じる
面倒なので痛覚を遮断する
そして前を見ると、直前まで近くに居た少年は、既に結構な距離を取っていた
少なくとも私の羽は届かないであろう距離に
「流石、驚きもしねえかよ」
・・・驚いていない、だと?
違うな、素直に感嘆しているだけだ
今まで私の攻撃をを防いだ人間すらいなかったというのに
こいつは、この少年は、それを簡単に凌駕してくれた
・・・こいつなら、楽しめるか?
そんな考えが浮かび、私は笑いを抑えきれなかった
☆
「私の目に留まらないほどの速さ
そして私の背後をとれるほどの気配を消すのの上手さ
・・・人間が、それほどまでに強くなるか」
「褒めても何も出ねえぞ」
「いや、これは素直にそれだけの力を手に入れた貴様への賛辞だ
・・・名を、聞かせてくれるな?」
「そいつぁどうも。竹中正一郎だ」
どうやら褒められたらしい
よかったな爺、”無拍子”は神にも通用するらしいぞ
喜ぶ爺の姿が目に浮かぶようだ。・・・少しうざいが
――――”無拍子”
それは別にファンタジックな能力などでは無い
むしろ、努力次第では会得できる技だ
簡単に言うと、初動を無くす事で相手に動いていると言う事を認識させなくする技だ
人間は基本、初動や体の動きによって相手が動いているかどうかを判断する
遠近法で相手が動いているか判断できる奴なんて、ほぼいない
ならば、それらを見せなければどうなるか?
簡単だ、動いているようには見えない
つまり、相手が考える事が出来るなら、・・・まさしく時間を止めると言う事が出来る
もっとも、相手の視界内で体が動けば、その時点で効果なんてなくなるが
大体、剣道をやっている人でも、一握りの達人が四~五十台
更にその中でも天性の才の有る達人が、三十代後半で覚えるらしい
爺もこれを覚えた時は三十六だったとか
しかし、何の因果か俺はこの技だけが異様に上手く出来て
その自慢話を聞いてから一週間後には出来るようになっていた
その頃は確か・・・九から十歳辺りだったと思う
その辺りからか、俺が”化け物”扱いされ始めて、爺意外に敵が居なくなったのは
「竹中正一郎、・・・竹中正一郎。ふむ、覚えたぞ」
「そうか」
「さて・・・当然、それだけではないのだろう?
まだ私は見入るほどに”魅せられて”はいないぞ」
・・・爺、困った事にこの観客はお目が高いらしい
・・・あ、泣いた。・・・余計にうざいぞ爺
それにしても
さっきの一撃、全く効いていないっぽいな
最悪だー、力は調節していたとはいえ効かないとは・・・
・・・いや、唯のやせ我慢かもしれん
もう一回試してからでも遅くは無いな
☆
『正一郎』と名乗った少年が再び構える
先程の高速移動をまた使おうとしているのだろうか
・・・しかし、腑に落ちん事が一つある
―――私の眼は、光速程度なら捕えられるはずだが
それ以上の速さで動いているとでも?
・・・まさか、有り得ない
そんな事をすれば体がもたないだろう
だとしたら、何故、『正一郎』の動きを捕えられない?
何か理由が有るはずだ
―――それを突き止めれば私の勝ち、か
ふふ、久しぶりに手応えが有りそうだな
☆
”無拍子”を使い、再び羽女の背後に回り込み―――竹刀を振る
またも堅い感触
問題は”直撃しているのに”、だ
・・・結構加減は少なめにしたはずなんだが・・・
攻撃が効かない敵。・・・どう倒せと?
「ふふっ、本当に見えないな。貴様の移動術は」
羽女が俺の方を向き、心底楽しそうに笑った
「楽しいな。その移動術も興味深いが、今はこの闘いが楽しい」
羽が数枚俺の方に向かって飛んでくる
それを竹刀で撃ち落とす
続いて少し遅れて第二波が向かってくる
「”光壁”!」
それを作り出した壁で防ぐ
!左上段からの蹴り!
身を屈め、避ける
羽女の目が少し見開かれた
今がチャンスだ!
「”突閃”!」
その攻撃は、ギリギリのところで避けられる
避けられた時がついた瞬間に、俺は回避行動に移る
繊細に、すり足の要領で体を動かさずに動く
数瞬後、俺がいた所に羽が突きささった
・・・あぶねー
「・・・やはり、面白いな」
羽女がポツリ、と漏らす
「何がだよ」
「人間が、だよ
今の攻撃、先程蹴った時のと同じ順序で攻撃したのに気がついたか?」
「・・・」
あ、ホントだ
「前と違い、今回は避けれただけでなく、反撃までしてきただろう?
・・・少なくとも、私が今まで戦った神には闘いの中で進歩する物などいなかった
その点だ。・・・神には、進歩がない。だから、貴様と闘うのが、とても楽しく思える」
相手が強くなって楽しいって・・・それ何処の狂戦s――
そこまで考えて、気がつく
・・・あ、なんか俺もどっかで楽しいとか考え始めてる
痛いのに、めっちゃ痛いのに
これでアリスとかがやられたら帰れなくなるってのに
それでもどこかで、楽しいと感じてる
・・・なんか俺、誰かに感化されてないか?
ま、いいか。これも鍛錬の内には入るだろうし
だが
「そうだな、俺も楽しいよ。出来る事ならすっっっっっげえ長く戦ってもいいかなって思う
だけど―――これと、それとは、話が別だ
もう、俺が理不尽にここに連れて来られて一カ月ぐらいか?
・・・生憎、俺は帰る事を諦め切れてねえんでな
アリスを殺されると、困るんだよ。早く終わらせて守ってやんねえとな
確かにあいつは、ドの付くSで、結構バカで、いつも偉そうだ
けど、あいつにも良い所が―――」
・・・ねえな
「悪い、無かったわ」
俺がそう言うと
視界の端で、フリストと闘っていたアリスがきっ、と俺の方を睨んでくる
(何を言うか!沢山あるだろうが!)
「そんな事言う前に自分の相手に集中しようなー」
ほら、余所見するから必死で防ぐ羽目になるんだ
「・・・ま、んな訳だから」
「如何言う訳だ?」
「・・・気にすんな。そろそろ決めんぞ」
俺はそう言って構える
「・・・名残惜しいが、仕方がないか」
そう言うと羽女も構える
「じゃ、行くぞ・・・!」
”無拍子”を使って羽女の背後に回り込む
流石に予測していたのか、羽が二本ほど飛んでくるが、もう遅い
「こいつで・・・終わりだぁッ!」
俺は竹刀を”全力”で―――振った
俺は・・・やりきったさ、やりきったんだ
シ「ああっ!作者さんが灰になってます!」
ガ「・・・放っておきましょう、姫様」
ジ「そうですよ、その内復活しますから」
ル「・・・するとーいいですねー?」
三人「「「ルシア、何したの!?」」」
ル「いえー、特に何もしてませんよー?」
三人「「「ホントか(なあ)(ですかね)・・・?」」」
ル「それではー次回予告ですー」
シ「えっ?もうですか?」
ル「そうですー、ギョーカイヨー語でけつかっちんなんですよー」
ガ「何だそのギョーカイヨー語とは」
ル「早く次回予告に入りましょー」
ジ「な、何でそんなに早めたがるんだか解らないけど・・・」
ル「さあさあー」
ガ「私から行こう
遂に決着!?上界の決戦!」
ジ「”ある”決まりを破ってしまった正一君!一体どうなる・・・?」
ル「次回ー、代償ー」
シ「期待していてくださいね!」




