秘密と過去
「結局さっきのはなんだったんですか?」
「それは私も聞きたいな」
さて、と
ここで俺がどう答えるかできっと変わるな、この先
今思いつくのは
1、実は俺異世界から来たんですと告白
2、ふははははは、実は私は魔王だったのだ!!
3、実は神の使いなんだと言ってみる
・・・いい選択肢がないじゃん
あれか?全部おんなじ痛い目で見られるエンドへと直行かい?
1では信じてもらえないだろうしさあ
2に関しては全世界を敵に回すよ絶対
3だと・・・まあ痛い子ってことになるよな・・・
しかたない、ここは新たな選択肢の
4、しらぬ存ぜぬを貫き通す
にしようジャマイカ
「いや、本当になんも覚えてなくって」
「本当ですかー?」
「エエ、ホントウデスヨ」
「・・・まあ信じるけども・・」
おお、ありがとうジェシカさん!!君なら分かってくれると信じていたよ!
「んじゃ分かってもらえたところで行きませんか?
あと少しで町が見えるはずでしたよね?」
「ええ、この先には確かに町はあるわよ」
「じゃあ行きましょうよ、野宿よりかはましでしょう?」
「それは・・・」
急に黙るガーネットさん
「ん?町があるはずではなかったんですか?」
とりあえず聞いてみる
「あるにはあるんだけれども・・・治安がね・・」
「治安がどうしたんですか?」
なんか読めてきたような気がする
「治安がとても悪くってね」
やっぱりな
「え?そんなに悪いんですか?」
「肩がぶつかったら殺し合いが始まるぐらいには・・・」
うわっ悪すぎだろ
せめて喧嘩にしようよ!
人間話せばわかりあえるさ・・・多分
「じゃあその街の前ぐらいで今日も野宿ですね」
「ええ、そうなりますね」
そしてみんなまた黙ったまま馬車はうごきだす
どなどなどーな
怖い!沈黙って怖いよ!!
アリス!助けてアリス!
返事がない
・・・・・・・・アリス?
もう一度呼びかけてみる
返事がないただのしかばOの様だ
あれ?どうしたんだろうアリスの奴
昼寝か?
じゃあ俺も・・・
「すまん、寝てていい?」
シェディに聞く
「ええいいですよ?」
二つ返事で返してくれた
やっぱいい人だ、うん
ぐーーーーー
そのころ
―――シェディ視点―――
いったい何なのだろうこの人は?
一回目は空から降ってきて助けてくれて
二回目はあんな力を急に出して助けてくれるなんて・・
それこそやはり”伝説の勇者”ではないのかと思ってしまう
ガーネット達にはそんな人いるわけがないといわれるが
きっとあの魔力を見たのだから信じるはずだ
「ねえ、ガーネット、やはり私にはこの方は伝説の・・・」
「まだ言っているんですか?姫様?」
ガーネットに呆れられる
「そんな存在が居るはずがないんですよ」
さらに言われる
「で、でもこの方の魔力とあの金色の光は!」
そう、昔話にあった”伝説の勇者”と同じなのだ
「金色の光なんて見間違いかも知れないじゃないですか!」
「そんなことないですよ!!」
語気が荒くなる
「むぐ?いや違・・・」
「「!!!」」
「違うってば・・・」
「なんだ、寝言ですか」
「びっくりしました、気をつけて話しましょう」
私はこの人にまだ伝説の勇者を信じているなんて知られたくないと思っていた
「ガーネット、この話はあなたと私の秘密ですからね」
「ええ、姫様がそういうなら」
ジェシカとルシアは外で馬車の進路取りをしているので幸いこのやり取りは聞かれていない
「化け・・なんかじゃ・・!」
「化け?いったい何の夢を見ているんでしょうね?」
「さあ?」
「待・・・よ・・俺・孤・・・て」
―――正一郎視点―――
起きたころにはまた空が真っ黒だった
嫌な夢だった
夢で見たものはできればもう二度と思い出したくない
でも脳っていうのは勝手で
できれば封印したいくらいの出来事も夢に出てくることがある
「あいつらが”化け物”なんていうから・・・」
・・・・・外に出て気分転換でもしよう