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ミオロリナ・タナサヤキさん家に着いた。迷子になったりエンお兄ちゃんに会ったりして、少し時間が掛かってしまった。
トントンとドアをノックしてミオロリナ・タナサヤキさんを呼んだ。
「はいはいっと、ん?お嬢ちゃんは?」
「あ、私ギルドの依頼で来ました!チカです!」
「ああ。お嬢ちゃんがお買い物をしてくれるのね。ありがとう」
「はい!!」
とても優しそうな依頼人で私はホッとした。何せ初めての依頼で怖い人が依頼人だったら失敗してしまうかもしれないからだ。人は見た目によらないと言うが、小心者の私はそんなの無理だ!!相手にはほんっとに申し訳ないが。
「じゃあ、チカちゃんこのメモどうりお願いね」
「はい!おまかせください!」
「字は読めるかい?」
「だいじょうぶです!じゃあ、行ってきます!」
早く買い物終わらせて次の依頼に行かなきゃ!えっとメモに書いてあるのはタネ芋3個とジンニモ2個とタレス1個とウルフ肉をブロックで1つ。タネ芋って日本で言うじゃがいもに近い物かな?ジンニモは人参かな?名前が近いし。違くて分からなかったら、売ってる人に聞けばいいよね!
「あの、」
「ん?お嬢ちゃん野菜を買いに来たのか?」
「そうです!タネ芋3個とジンニモ2個くたざい!と、これお金です」
ミオロリナさんに渡された野菜分のお金を渡した。「タネ芋3個とジンニモ2個ね!毎度ありっ!」と八百屋さんのおじちゃんは野菜をくれた。あれ?見た目全然違う。てことは味も違うのかな?これも異世界あるあるだ。
次はお肉屋さんでウルフ肉のブロック1つだ!……やっぱり私って目立ってるな。色んな人がジロジロ見てくる。路地裏近くは通らないように気をつけなきゃ。市場だからって危険が無いわけでもないしね。危機感はちゃんと持ってないと危ないしね。私の今の見た目はロリコンほいほいだと思うし。
「あの!ウルフ肉のブロック1つ下さい!それと、これお金です!」
「ウルフ肉のブロックね。ん?お嬢ちゃん1人かい?」
「あ、はい」
「お使いかい?」
「お買い物代行の依頼中なんです」
「頑張ってね」とお肉屋さんのおばちゃんが言ってくれた。ウルフ肉のブロックも買えて頼まれた物は買い終えたのでミオロリナさん家に戻ろう。
トントンとミオロリナさん家のドアをノックして、ミオロリナさんを呼んだ。
「チカちゃん速かったねえ。ありがとうね。じゃあ、依頼書にサインするね」
「はい!」
「お疲れ様。これ、受けてくれたお礼ね」とサインされた依頼書とお菓子をくれた。初めて依頼を受けたのがミオロリナさんので良かった!すっごく優しくてまた受けたいなってなったもん!
白蘭は今どうしてるんだろうなあ??討伐依頼で怪我とかしてないといいんだけど。
フェンリルって言っても心配なんだよね。幾ら強くても怪我する時は怪我するし!
というか、なんかさっきから見られてる気がする。他の人達のような視線の感じじゃない。まさか、あの男爵子息の仲間とかかな?と、とりあえず!拐われたりしないよう気をつけよ!
「よし!次はお庭の雑草抜きだ!!体力勝負だからがんばろ!」
私は依頼場所に奇跡的に迷わず到着した。けど、依頼人からは「ごめんね!!息子がやってくれて綺麗になっちゃったんだ。今日依頼を取り下げに行こうとしてたんだ」と断られてしまった。
なんともまあ、タイミングの悪いこと。
今日の依頼は終わってしまったけど、どうしようかな?もう一個受けようにも時間的にも厳しいよね。17時にギルドで待ち合わせだし。1時間半なら街ぶらぶらしてた方がいいっか!
後に、、私はこの時ぶらぶらせずギルドで先に待っていれば良かったと後悔する事になる。