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「依頼書って沢山貼ってあるね」
これぞ、異世界って感じ!何百枚とあるー!でも、所々空いてるってことは誰かが依頼書持ってったってことだとよね。早朝はこの倍あったってこと……凄い!!
「はい。これだけ沢山の依頼があるのはサファーファだけです」
「へぇ〜。さっすが冒険者の街だね!」
「チカ様依頼は受けて行きますか?」
どうしよう。服買いに行きたいしな……また、今度にしようかな?白蘭のフェンリルモードに乗れば、簡単に来れるって分かったし。
「ううん!また今度にする!服買いに来たのが本来の目的だし」
「分かりました」
「あ、八百屋?さんかな?」
「そうですね」
「……あれ?地球の野菜ない?」
地球にあった野菜がない。でも、あのお城には置いてあったのに?なんで??珍しいからこの八百屋さんに置いてないだけとか?
「地球の野菜はアイユンダ様からのプレゼントだそうです。消費すると勝手に増えていくそうです」
「へー……神様って有能なのか無能なのか分からないな」
変な所は力入れるって……そこは頼んだとこはちゃんとしてよ。今もこの見た目だから周りが見てるよー。前世歌手で人に見られるの慣れてるって言っても……こんなには流石にないよ……
「おい!お前!!!俺のメイドにしてやる!」
ん?これ私に言ってるのかな?いや、ないか。5歳児の私にメイドなんて絶対無理だし。
「白蘭洋服屋さんもうすぐ?」
「はい。そうです」
「無視をするな!!」
え?!まさかの私に言ってたの?……というか、これさーー……異世界あるある過ぎない?こうならない為に、目立たない見た目にってお願いしたのに。
「私に言ってたんですねえ。謹んでお断りしますー。私まだまだ子どもだもん」
「何?!平民が断れると思ってるのか!」
「はい。あ、白蘭は口出ししないでね〜。大丈夫だから」
「はい。畏まりました」
私すっごい負けず嫌いなんだよね。こういう奴見ると叩き潰したくなっちゃうんだよね。私口は達者の方だし。というか、16歳?位のチビデブじゃん!顔はまあまあいいんだからダイエットすればいいのに。勿体ないなぁ。
「俺は貴族なんだぞ!」
「それが何か?私別に貴方の領地に住んでる訳でもないし、家族や知り合いが貴族の家で働いてる訳でもないので迷惑かけるのないので」
「平民は貴族に逆らってはならないんだぞ!」
「へえ?で?貴方は本当に貴族なんですか?なんか嘘っぽ〜い」
周りは私のやり取りで笑っている。まぁ、こんなふざけた会話だもんね。私も蚊帳の外で聞いてたら笑ってもん。
「馬鹿にするな!!俺は男爵子息だぞ!」
「へー……そんなに選ぶってるからどんなに凄い位かと思ったら男爵子息……っぷ、あはは。それってさ、親が偉いだけであって貴方が偉い訳じゃないよ?」
「わ、笑うな!お前らもだ!!」
周りはもう笑っている人が沢山だ。貴族のこんな姿を見れば笑いたくもなるかー。
「とりあえず、私を納得させる理由がない限り貴方のメイドにはなりません。ばいばい、幼女趣味の男爵子息さん?」
私は白蘭に合図を出して洋服屋さんに向かって貰った。後ろでは幼女趣味の男爵子息が何か叫んでいた。
「おー!ここが洋服屋さん!見た目が可愛いぃー!」
白と水色のお店の外見と店内The女の子が好きそうなお店!!
「あら、ありがとう。お嬢さんも可愛いわよ」
このお姉さん……み、見た目とこのお店と合ってない。胸がばーんっと大きくて色気ハンパないの!タレ目で泣きボクロってやばば。それでいてシルエット丸わかりの黒のワンピースって……え?私を誘ってる?!……て、ないかあ。
「お姉さんが店長さんなの〜?」
「ええ。そうよ。シャラと言うの。お姉さんじゃなくてシャラと呼んで頂戴、可愛いお嬢さん?」
このお姉さん同性にもモテるタイプだ。ちょいちょいかっこいいんだもん。私ドキドキしちゃったもん!!
「うん!シャラ、さん?」
「さんはいらないわ。貴方達は?」
「うん!私はチカ」
「ハクランだ」
ん?白蘭の口調が敬語じゃない。私限定で敬語なのかな?
「チカちゃんとハクランね……チカちゃんの洋服を買いに来たのかしら?」
「うん!そうなの!!私このワンピースしか持ってないから」
「あら、それはいけないわ!女の子は着飾ってなんぼよ!可愛い子なら尚更」
「え、あ、はい」
あれ?これ着せ替え人形にさせられそうな予感。私大丈夫かな……
「予算はどれくらいかしら?」
「金貨3枚だ」
「全然十分ね。よし!こんな可愛い子初めてだもの興奮するわ!」
するって言うかもう興奮してるよね。
2時間後私は着せ替え人形から解放された。白とピンクのフリフリのワンピースや、カフェの店員風なワンピースとか、ボーイッシュなワンピースや、白のシャツと黒のズボンでレースが着いてる服を着せられた。白蘭とシャラ……2人とも興奮し過ぎてやばかった。着せ替え人形から解放されないかと思った。
2人とも「あら!これもとってもいいわね!」、「とてもお似合いですっ!!」ってずっと言ってるんだもん。しかも、目をキラキラさせて。断りたいけど無理だったよね。
私は思った……こんな可愛い過ぎな見た目じゃなければこうならなかったと。神様許すまじ!!