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誰か私をつけてる気がする。フード付きの服にすれば良かったかもしれない。顔が見られないよう対策するんだった。次来る時は帽子被るなりしよう。
「あれ?いつの間にか路地裏に……」
早く路地裏から抜けなきゃ。流石に人気がないから危ないよね。こんなとこで襲われたりしたら、誰にも気がついて貰えない。だから助けが見込めない。
「お嬢ちゃん、お菓子上げるから着いてきてくれないかい?」
多分この人だ……ずっと私を着けてた人。フードで顔隠して見えないから分からないけど、なんとなくこの人だって私の感が言ってる。白蘭に保護の魔法を掛けてもらってるとはいえ逃げなきゃっ……でも、怖くて足が動かない。
「おじちゃん悪い人じゃないからおいで?お菓子も沢山あげるからさ」と口元だけ見える口が気持ち悪くニタっと笑いながら言ってきた。悪い人ではないと言ってはいるが十中八九悪い人だ。今考える事はここから逃げる方法だ。
私は今とても後悔をしている。さっき呑気に考えず対策をちゃんと考えていれば、今こんなことになってはいなかったと。
「今より幸せに暮らせるからおいで?」
「い、…いか、ない」
どうしよう!怖いよ、前世の時もこんな人気がないとこで刺されて死んぢゃったし。目の前の人はだんだん近づいて来る。後ろは壁横も壁、私今八方塞がりだ。方向音痴でもなければ、今こんなことにはなっていなかっただろう。誰か助けてっ……
「聞いてるかい?」とローブで顔を隠してる男が私の腕に触ってきた。その時バチっ!と音と共に男が吹っ飛ばされた。これは白蘭が掛けてくれた保護の魔法が発動したのかな?
「な、なんだ?!」
「おい、貴様。我が主に触れるな!貴様が触れていいお方ではないぞ」
目の前に急に白蘭が現れた。私は白蘭が現れたことにより安心した。何で目の前に現れたのかとか考える暇もなく、勝手に瞳から涙が流れた。
「チカ様大丈夫ですよ。安心して下さい。目の前のこいつはしまっ、……掃除しておくので。少し目を閉じてて下さい」
「おい!お前だれ、」と目の前の男は話してる最中に急に黙ってしまった。何か様子も可笑しいから白蘭が何かしたのかな?
とりあえず目を閉じておこう。なんか白蘭は見て欲しく無さそうだから。流石に殺すことはしないよね?大丈夫だよね……多分。
「目を開けて貰って大丈夫ですよ」
「はくらん……こわ、かったの」と泣きながら言った。やっぱり5歳児だから子どものように泣いてしまった。涙を止めたいのに止められない。
「申し訳ありません。やはりチカ様のお側を離れなければ、」
「ひっく、ううん!ちが、うよ!私がいったことだもんっ、ひっく、」
「ですが、」
私は必死に泣きながらだが、白蘭のせいではなく私の自業自得だと伝えた。私のせいで白蘭が落ち込んでしまった。これからは、ちゃんと考えて行動をしなければ。
「チカさん!大丈夫ですかっ?」とエンお兄ちゃんが走りながら後ろから現れた。何でエンお兄ちゃんは路地裏に??
こんなところに用事などあることはないと思うのに。
「エンお兄ちゃん、ひっく、どう、してここに?、ひっく、」
「実は、誘拐犯を追っていたのです……。それが、まさかチカさんが狙われていたとは」
「そうなんだ、ひっく、」
横に無造作に倒れてる人が誘拐犯だったなんて……私は自衛出来るように早く魔法を教わらなければと思った。
「チカさん、すみません。私がこいつを見失わなければ怖い思いなどしなかったのに……」
「エンお兄ちゃんのせいじゃないです。私が路地裏に入らなければこうなってなかったので」
白蘭に抱っこされたことにより涙は止まり普通に話せるようになった。
エンお兄ちゃんはとても落ち込んでいるが、人混みが多い中追跡するのはとても至難の業だ。少し遅れてはいるが誘拐犯がここだと分かっただけでも凄いことだ。だから、エンお兄ちゃんには、笑っていて欲しい。
「チカ様今日は帰りましょう。ギルドには明日達成したことは伝えましょう」
「うん。そうする。エンお兄ちゃんばいばい」
白蘭はエンお兄ちゃんが見えない所まで歩き、何かの魔法を使いお城まで転移?した。




