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エロゲ世界でハーレム無双? ふざけんなあっ!  作者: 空也真朋
第一章 エロゲ世界クエスト
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19話 帝国の侵攻

 ガタゴト ガタゴト

 馬車で街道を上り、クエスト帰還の私達。


 「うーんサクヤ様ぁ、キスぅ~」


 あーもう、私の膝で、なんて寝言ねごと漏らしているのよノエル。

 いくらしばらく、ちゃんとした寝床がとれなかったからって、欲求不満もらさないでよ。

 陽気に話し込んでる男二人には聞こえてなかったようだけど。


 「わはは。しかし今回は大手柄だったな。なにしろ帝国の手先を叩きのめしたのだからな。なぁクライブ」


 と、上機嫌なラムスは御者のクライブさんに話し続ける。 

 彼はリーレット領の若手従士で、領軍の士官候補生。

 私達【栄光の剣王】を馬車で送迎してくれているのだ。


 「いや大したもんっすね、さすがギルド最強最高と名高い【栄光の剣王】。その刺客から【ザルバドネグザル】の名前が出たのもすごいっすよ。そいつはドルトラル帝国の重鎮。こんな大物の名を引き出せたなんて流石っすよ」


 「わはははは、そうだろうそうだろう! 惜しくもそいつは自決してしまったが、まあいい。どうせまた似たようなのが来るだろうから、その時にでも捕まえて洗いざらい吐かせてやろう」


 と、ラムスはいつものようにこう言っているが。

 どうにも私は、原作では開拓部への遠出が大きなイベントの開始になっている関係から不安になってしまう。


 「今回の罠、そんなに軽いものかな」


 「んん? サクヤよ。いったい何をさっきから思い悩んでいるのだ。いいから言え。オレ様がそんな悩みは木っ端みじんにする素晴らしいアイデアを出してやる」


 「わかった。杞憂かもしれないけど言うよ。今回の罠は、帝国が大く動く前準備じゃないかと思うんだ。向こうにしてみれば、私達【栄光の剣王】は思わぬ強敵。不確定要素を始末したのちに、大きな動きをするつもりかもしれない」


 「なるほど。サクヤさんは、これから帝国が動くであろうと予想するわけっすね。僕の口からは詳しくは言えないっすが、大きく外れてはいないっすよ」


 「なんだ、いよいよ帝国との戦争が始まるのか」


 「いえ、だから言えないっすから! いちおう軍の機密っす」


 と言いつつ全部話してしまうクライブさん。

 ああ。この口の軽さのせいで、こんな時期に士官候補生が冒険者の送迎なんてやらされているのか。


 「まぁリーレットの役割は、国王陛下が王国軍を編成するまでの時間稼ぎっす。そのため国境にあるわが領では、それなりの数と練度をもった軍の編成を義務付けられているっす。たとえ今すぐ帝国が攻めてこようと、十分受けとめられるっすよ。何も心配することはないっすよ」


 そのセリフ、ゲーム中のモブ兵士も言ってたな。

 なのに、ザルバドネグザルの軍にあっさり壊滅させられてしまったんだよ。



 ◇ ◇ ◇


 時刻は夕方。

 長の旅程を経て、ようやく城塞都市である領都の城壁が見える場所までたどり着いた。

 だがそこで、いきなりクライブさんは馬車を止めてしまった。


 「こらっクライブ、何をしている! 急いで城壁の中に入らなければ、今夜も野宿になるではないか。夜になったら、壁の間の出入りは完全にできなくなるのだぞ!」

 

 「わかってるっすよ。でも、あれ。変じゃないっすか? もうすぐ夜になるってのに、あんなに街から出ていくなんて」


 馬車の外を見てみると、クライブさんの言うように、もう夕方だというのに領都の方角から大勢の集団が速足で流れてきている。

 荷物を背負った者も多く、その姿は何かに追い立てられているようだ。


 「……ま、まさか!? すいやせん、誰かあそこの人達に、何があったのか聞いてきてくださいっす!」


 「あ、行きます」


 「ちっ、仕方ないな。行ってやる」


 私とラムスは馬車を飛び降り、流れていく人波に駆けていった。


 「おい、きさまら何をしているっ。もう夕方だってのに、どこへ行こうというのだ」


 「ヒイッ!? あ、あんたら盗賊?」


 「ちがう! この領最強の冒険者パーティー【栄光の剣王】だ! それより何だ。もうすぐ夜だというのに、こんな大挙して街から流れてきおって。本当に盗賊やモンスターでも出たらどうするつもりだ」


 この世界の夜道は本当に危ない。

 街の中ですら野盗が出るかもしれないのに、街の外へ出るなどスゴ腕の冒険者でもない限り自殺行為なのだ。


 「仕方ねぇんだよ、領軍がドルトラル帝国に負けて全滅しちまったんだから」


 ―――!!!?


 「このまんまリーレットに残っていたら、奴隷狩りにあって帝国に連れ去られるだけさ。なぁあんたら。本当に【栄光の剣王】ってんなら、ここでクエストを受けちゃくれないか? 俺達が隣のルクセン領につくまで護衛してほしいんだ。金はみんなで出し合って弾むからさ」


 「ごめんなさい。私達、領主様のクエストを達成した帰りで、報告をしなきゃいけないんです。私達は領都へ向かいますが、お気を付けて」


 「残念だが、ご領主キンバリー様は亡くなったよ。とにかくひどい負け戦だったからなぁ」


 「な、何ィ!? 総大将まで死ぬとは、そんなに領主軍というのは弱かったのか!?」


 「たぶん弱くはなかったとは思うがよ。けど、ありゃしょうがねぇさ。相手は魔界の魔物だっていうしな。そいつらが領主軍の軍勢丸ごと喰っちまったのさ」


 魔界の魔物……って、【ザルバドネグザル】!?

 名前だけじゃなく、もうラスボス登場時の『圧倒的実力差でかませ犬ブッコロシ』まですませたの!?

 展開早すぎだぁ!!!



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[一言] >展開早すぎ まあこの作品の方向性からいって、ちっとも意外に感じない。
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