量産型異世界転生に成功した男の話
俺は胡蝶悟。どうやらクラブ帰りに車にぶつかって死んだらしい。信じたくはないが目の前の自称神が言ってるからには間違いないのだろう。それより、この状況ならアレが付き物だろう。
「異世界転生、チート能力なんでも引き受けるよ。神様だから。」
「本当か!美男子でステータスが化け物であらゆる能力も持てるのか!...もしかして思考読まれてる?」
「いや、この状況になった時に君みたいな年頃の人がよくその言葉を口にするからね。ところでさ、君の願いはそれでいい?」
「それで頼む。」
「わかった。次こそ良き人生をーー」
意識があやふやになった後、俺は洋式の家で赤ん坊になって生まれた。まさか、本当に異世界転生できるとは思ってたいなかった。それに望んだチート能力を持っていた。主人公になったような気分だ。
俺はこの異世界転生を存分に堪能するぞ!
数十年経ち、私は勇者になり、魔王を倒し、ハーレムを築きあげた。上手くいき過ぎていると感じる程、辛い思い出がない。
つまらなく感じた時に考え事をすると必ず私が望んだ展開がやってきてチートで倒す。それの繰り返し...
異世界モノの本の内容がこれだったら間違いなく売れない駄作だ。まさに、伏線も考えず作者の欲望のみで構成された量産型の駄作を読んでいる感覚。これも神の力によるものだと信じるしかない。
この違和感は私の力では解決できないのだから、考えるだけ杞憂だ。
私はこの世界を見せられているのではないか。そんな仮説は捨て去り、人生を満喫するとしよう。