あともう少し、キミに手が届いていたら?
___僕の好きな女の子は、僕と同じクラスで他の男と付き合っている。
隣のクラスの、大島という男だ!
___それと、大島は僕の親友だよ!
・・・だから?
嫌でも、僕は彼女と顔を合わせて話もするし。
僕の気持ちを彼女に絶対に知られてはいけないと思っているんだ!
・・・それと、親友の大島にもね!
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『___ねえねえ三条君、聞いてよ! この前さ~佑典がね?
三条君が私の事、好きなんじゃないかって言ってきたのよ~!
そんなのあり得ないよね?』
『___えぇ!? そりゃ~ないよ! 何、言ってるんだアイツは!』
『___ほら~やっぱり! 佑典がおかしな事言ってたんだ~ごめんね!
三条君!』
『・・・別にいいよ! 気にしないで!』
『___うん! ありがとう。』
『___あぁ!』
___彼女に、あんな事聞かれて、、、。
・・・正直、焦ったけど?
何故? 大島が、彼女にそんな話をしたのかが凄く気になったんだ!
*
___学校帰りの放課後。
僕は、親友の大島に今日の事を話したんだ!
『___なあ、大島! 今日さ~“お前の彼女”が変な事、聞いてきたぞ!
あれ? なんなんだよ!』
『・・・・・・い、いや? すまん!』
『___えぇ!? かなでから聞いたよ! 本当にすまん! 俺はてっきり
お前が、かなでの事を好きなんじゃないかと思ってたから。』
『___なんだよ、それ!』
『___お前の、かなでを見る目だよ。いつも優しい眼差しで見てるだろう?』
『・・・普通だろ! なんでそんな風に思うんだよ!』
『俺とお前は、親友だからな! アイツの事も気になるけど? 俺はお前の事
も気になるんだよ! どっちも俺にとっては“大切な人”に違いないし!』
『・・・大島、』
『お前は、本当にいいやつだよ! ずっと俺の味方でいてくれて! でも?
お前は自分の気持ちを言わないだろう! 俺はお前にも幸せでいてほしんだよ!』
『・・・あぁ、ううん。』
『___まあ、それだけだから! あんまり気にしないでくれ!』
『___あぁ!』
___大島が、僕の事も大切だと言ってくれてた事が嬉しかったんだ。
・・・だけど?
自分の気持ちをアイツに言える訳もないし!
___大島が、彼女を大事に想っているのは?
一番近くで、ふたりを見ている! 僕がよく知っている。
___大島は、彼女をいつも笑顔にさせているし!
僕にだけ! アイツの心の内を話してくれた事もあったよ。
『___アイツの笑顔だけは、どんな事があっても守ってやりたいんだ!
いつも、かなでには笑っててほしい!』
・・・真剣な顔で、僕にそんな事を話してくれた事。
*
・・・たまに、こんな事を本気で思うんだよ!
何故? アイツの彼女が僕の好きな人なのだろう?
___もっと大島が、女にだらしないやつなら?
僕は、彼女を絶対に奪い取るのに、、、。
何故? 僕の親友と彼女が付き合うようになったのか?
僕の方が、もっと早く彼女を見つけていたのに、、、。
・・・僕の方が、アイツよりずっとずっと彼女を好きなのに、、、。
何故? 僕の想いを彼女に伝えられないのか?
___あともう少し、キミに手が届いていたら?
・・・僕は、君に好きと言えたかもしれないのに、、、。
そしたら? 僕と彼女の関係は変わっていたのかもしれない!
・・・でも現実は? そんな風に、ならないのにね。
最後までお読みいただきありがとうございます。