表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なんでもないようなこと

夜に向かって

作者: 夏野レイジ

 歯車が回る音と共に、私は進む。

 おんぼろ自転車とともに進む先は遥か東。太陽の昇る方。

 されどそこに、青空はない。今ではもう、夜のとばりに月と星が浮かぶばかり。

 足を動かしながら空を見上げれば、上には橙、下には藍色。

 夕方と夜の、その境界。私はこの時間が好きだった。

 寒気をかきわけて進めば進むほど、加速度的に辺りは暗くなってゆく。

 明るい場所にいる自分から暗い場所にいる自分へと。

 己の中のスイッチが切り替わっていく、そんな感じ。

 目的地なんて決まっていない、少しばかりのひとり旅。

 ただひたすら、ひたすら、光と闇のグラデーションを他眺めながら進んでいく。

 そうして、辺り一面真っ暗になったら引き返すのだ。

 帰り道は藍一色。空の向こうに、微かなオレンジが見えるくらい。

 そのことに妙な満足感を覚えながら、私は今度こそ本当の帰路についた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ